第10話 葡萄(えび)色のお姉さん

あ「うふふっなんだか最初の自分を思い出して楽しいわねっ(にっこり)」


「あぐり」さんがやたらと嬉しそうなんやけど…


これは想像を遥かに超えた

「恥ずかしさ」やわ…

私、なんて格好してるんや…

自分の水着ですらこ

んな攻めたん持ってへん(´ρ`)


の「はわわわわ…今更だけど絶対わたし似合ってないよぉ…」


ぽ「それ言うたらあかんっ!あたしも似合うてへんと言われてんのと一緒!」


の「ぽ…ぽにちゃんはお胸おっきいし、お腹周りもわたしよりいい肉付きしてんじゃんっ」


ぽ「ムチムチちゃうわぁ…」


の「いいカラダしてるって言ったのっ」


はわわわが止まらない私達に「あぐり」さんが声をかけた。


あ「ダイジョブだよっ(にっこり)みんな最初は恥ずかしいんだから、慣れてくるから。ね?」


ぽ・の「は…はぃ」


なんだか少し気持ちが和らいだ。

「あぐり」さんはなんだか安心させてくれる

声色と話し方をしてくれる。


あ「さて、それでは今日あなたたちを指導してくれる【教育係】を決めなくちゃね」


ぽ「あれ?あぐりさんが手ほどきしてくれるんとちゃうんですか?」


あ「ごめんね?私も教えてあげたいんだけど、基本的にお店全体の指揮をしなきゃいけないから…」


そうや。あぐりさんは【メイド長】や。

実質私達の【トップ】やもんな…


あ「というわけで…ど・う・し・よ・か・な?」


周りを見回す「あぐり」さん。


かわいい…

「あぐり」さんの仕草と声がかわいい。


あ「決めたっ!【し~ちゃん】来てっ」


「し~ちゃん」?

誰や?

どんな人なんやろか?

優しい人がえぇなぁ…


…「あぐり」さんのもとに来た1人の女性。


し「…なんすか?【メイド長】」


目の前に現れたのは

葡萄(えび)色のボサボサめの髪に

長さはセミロング。

眉間にシワを寄せた眉に

垂れ気味の気だるそうな瞳…

声が可愛いけど、雰囲気がこわい…


そして…


あ「お願いっ「し~ちゃん」今日この子達の指導役やって?」


し「はひ…!?私が…ですか?」


あ「うんっ(にっこり)よろしくね!」


し「はひ…仕方ないスねぇ…」


あ「さすが「し~ちゃん」!世話上手!」


し「いや…まだなんもしてないスね…はひ…」


「あぐり」さんがこちらに向かって言った。


あ「紹介するね?【葡萄木紫音(えびきしおん)】ちゃんです。」


ぽ・の「よ、宜しくお願いします!」


…ちょっと怖そうな雰囲気やな。

なんか怒ってるんやろか…

機嫌悪そう…


し「はひ…【しおん】て呼んでね…よろしく」


あれ?そうでも…ない?

にしても見た目や雰囲気が

少し「怖い」かも。


…にしても


しもた。ついつい「しおん」さんを凝視してもうたっ


し「ん?あぁ…わかる。わかるよ。気になるよね…聞かれるだろうから言っとこうか…」


し「めっちゃ「ガリガリ」でしょ?私。」


ぽ「!?」


そう。「しおん」さんはスリムと言うには

ちょっと、いや「痩せすぎ」かも知れないくらいのスタイルをしてる…でも、モデルさんみたいやからそこまで気には…


し「ちょっと色々あってね…?なかなか太らんの」


の「モデルさんみたいでかっこいいです!」


ナイス「のまる」っ


ぽ「そ、そうですよ!スラッとしててかっこえぇですぅ」


し「はひ…なんか照れるな。ありがとうね。」


「紫音」さんが照れくさそうに微笑んだ。


…なにこれ。


はにかんだ時の顔が可愛いすぎるんやけどっ!


にしても「紫音」さんの「はひ」が気になるわ


あ「うふふ。ちょっと怖そうに見えるけど「し~ちゃん」めちゃめちゃ面倒見良くて優しい子だからダイジョブよ?うちのメイドでは私と同じ最年長だから色々頼ってね?」


し「はひ…なんかプレッシャーだな…」


ちょっと【コワモテ】な雰囲気だっただけなんやな。なんか真面目な人みたいで良かったわ。


あ「あ、でも2人とも気をつけてね?」


ぽ・の「?」


私と「のまる」は顔を見合わせた。


あ「女の子大好きだから「し~ちゃん」マジマジ見られてニヤニヤしてくるよ?」


し「!?カミングアウトいきなりします…?否定はしないけど…可愛いモノは尊い…はひ…」


「しおん」さん。変な人かも(´ρ`)


あ「うふふふふっでは宜しくねっ「し~ちゃん」!」


あとは宜しく~と言って「あぐり」さんは事務室に入っていった。


し「はひ…緊張するなぁ…では改めて【葡萄の木】と書いて(えびきしおん)です。よろしくね。2人とも。」


ぽ・の「お願いしますぅ!」


し「そういえば2人とも【源氏名】は決めてる?」


の「私は本名の(のまる)でいきます」


ぽ「ぽにこで!」


し「のまるちゃん…名前かわいい…ポニーちゃんはやっぱポニーテールだから?ネタで付けてみるなら【モブ】とかも…」


ぽ「…」


の「やばっ…ぽにちゃんっ!」


ぽ「モブ言うなっ!」


し「!?」


あかん!やってもた…


し「…はひ。ごめんねぽにちゃん。コンプレックスなんだな…申し訳ない」


【紫音】先輩は深々と頭を下げた。


ぽ「いや…あの…その…こちらこそ突っ込んでスイマセン。あたし【モブ】言われるのイヤで、ここで一発キラキラになれるようランカー目指して頑張りに来ました。あと、突っ込んでもうたけどリアクションの割にはそんな怒ってませんので…はは…」


し「はひ…そうなんだ。【ランカー】の道はなかなか大変だけど頑張ってね。」


ぽ「ありがとうございますぅ…」


この後【しおん】先輩から

仕事のながれや、やり方を教えて貰った。

見た目ダルそうやのにめっちゃ親切丁寧。

接客を見せて貰ったけど、お客さんの前では

「きゃぴっ」とするんかなぁ。思たけどテンションそのままやった。


し「うん。今日はここまでかな。初出勤お疲れ様…」


の・ぽ「うぃあ~…(´ρ`)」


私と「のまる」は更衣室で項垂れた。


し「今日はしっかり休みなよ?緊張でめっちゃ疲れてるだろうから…ね?」


の「ありがとうございましたぁ…(´ρ`)」


ぽ「はひぃ…(´ρ`)あ…なんか「しおん」先輩のうつってもうたわ」


し「…はひ。厄介な口ぐせだわ…可愛くない口ぐせだからやめときな…じゃね。お疲れ様。」


「しおん」先輩は軽くクスッと笑い、背を向けて軽く手を振った。

店舗入り口付近にある喫煙所の方へ向かって行った。


ぽ「はぁあ…緊張したなぁ「のまる」ぅ…」


の「そだねぇ」


ぽ「しおん先輩見た目の割にめっちゃええ人やなっ」


の「失礼な事いうなぁ」


ぽ「やっぱ「しおん」先輩もランカー目指してるんかな?なんかさ」


「あたしみたいなガリガリ女、自分なら絶対雇わんわ…」


ぽ「って言ってたなぁ。」


の「言ってたねぇ。でも見た目だけじゃないからねっ」


ぽ「そやなっ!あたしらもがんばろ!」


の「ゆっくりがんばろうぜぃ」


2人で帰り支度していたら「あぐり」さんが通りかかった。


あ「今日はお疲れ様(にっこり)またねっ」


私と「のまる」は会釈した。


あ「あ、そうそう。ちなみに「し~ちゃん」5位よ?」


…え?


あ「「紫音」パイセンは【ランカー】さんでした~(にっこり)お疲れ様~」


ぽ・の「!!!!!!(´ρ`)」


私達の【初出勤】は終わった。

仕事覚えるの大変で疲れたけど…


最後がいちばん疲れた(´ρ`)


【ランカー】さんにご指導頂いてたんや…


はわわわわわ…


~ 初出勤 ~ おわり

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