第14話 滝壺の獣の中から宇宙ステーション

■第14話■


宇宙編


扉絵


1頁 トンネルの中


火口と滝壺の獣の胃袋を結ぶねじれトンネル


錐揉みをしながら渦の奥へと滑空する翼竜タクシー


ウルスラとルーシーはさけぶ「あァ〜〜れェ〜〜ッ!!」ボッチは中指でメガネのブリッジをあげてウルスラの肩をつつく「お嬢、タクシーはずっと安全運行をしておりますぞ」ウルスラはルーシーに「ふんいきよ、ふ・ん・い・き。ねー」ボッチはハンカチで汗を拭くトホホ………


あれッ? 


しゅるしゅるしゅるしゅるぅ〜


大人の体だったウルスラとルーシーとボッチは15歳と5歳とずんぐり悪魔にもどる


ありゃりゃりゃりゃぁ……


ボッチはいつもの服に着替え「酒場の妖精さんの変身呪文が解けたようですな」


幼くなったウルスラとルーシーは首をまわして肩の凝りをほぐす「あ〜っスッキリしたッ!!」ボッチは「どうなさいました?」「色っぽいオトナのカラダって…すんごぉ〜く…」「疲れるんだねッ!!」


ズコーッ!!


2頁 滝壺の胃の島を通過


ぽんッ


穴から飛びだした翼竜タクシーは勢いあまってパブロ爺の新たな家に突っこんでいくパブロ爺はハシゴを掛けた新築の家の屋根に登って煙突の煤を払っていた浜ではさきほど到着したガルド婆がパブロ爺に紅茶を差しいれているガルド婆は上空を指さしてパブロ爺と手をふるウルスラたちは一直線に家につっこんいく


きゃっほ〜ッ!!ボッチは「ぎゃあああ〜ぶつかるッ〜!! 避けて、避けてえ〜!!」


まだ美女の妖艶さが残るウルスラはグロスで光るくちびるから舌をだして翼竜の角をにぎって思いッきり手前に引っぱる翼竜はパブロ爺の家に激突する手前で腹を見せ水面すれすれで九十度たちあがって垂直飛行をみせる。空中でそのまま腹をみせながらループをえがいて垂直に旋回してもくもくとハートの形を作っていく一旦スモークは消えたかと思うと、奥からまたスモークは現れてスモークで形どったハートの的に矢がささる演出をする


孤島からパブロ爺とガルダ婆は大きく手をふっている


そのとき一瞬、ガルド婆はまばゆくかがやき絶世の美少女になる


ウルスラとルーシーとボッチは大きく息をのんで顔を見合わせる


ウルスラは笑顔になって「あいさつは終わったね!!」「お嬢、充分です。入場料、取れますぞ」


「バイバーイ!」


3頁 宇宙へ


ざっぷッ〜ん!!


滝壺のなかから翼竜が勢いおいよく吹きだす


ウルスラは翼竜にコソコソと耳打ちをする


ギョッ!!


翼竜は目玉を飛びださせるだがそのまま遙か上空へ突きあがっていく雲を突きぬけてジャンボジェットの真横を突きあがってオゾンホールをぬけて成層圏へをぬける…


…ウップ、ウップ、うプッ…


翼竜は酸欠で息苦しそうだウルスラは頭に鉢巻きをまき、手旗をふって応援する


「ぎゃははっ!! がんばれ〜あとすこし!!」


ボッチとルーシーは宇宙服を着、コーヒーと抹茶アイスと嗜む


翼竜は目玉を飛びださせたまま黒い宇宙を垂直に泳ぐ


4頁 宇宙空間でまち合わせ


ウルスラは額に手をあて星々が煌めく宇宙を見渡すボッチは「お嬢、ここになにかあるんですか? 」


ウルスラは「ここでまち合わせだよ」ルーシーも一緒になって宇宙空間のまわり見渡す


翼竜は酸欠であっぷあっぷする…


ボッチは首を傾げる「え? ここで? まち合わせ?」「……それで、どなたと?」


ウルスラとルーシーは真上を指さして「いたッー!!」


5頁 こちら宇宙ステーション


(宇宙ステーションからの星の絵)


「きたきた」


宇宙ステーションの絵、機体には《NISS(ナダル帝国国際宇宙ステーション)》の文字


6頁 集合場所


宇宙ステーションに繋がれたカフカとアリスとカテリーナとドワーノフが宙に浮いて手をふる


ウルスラは上の宇宙空間へさけぶおーい!! 


翼竜は目をとびださせて両の翼を丸めて( OKですか? 私もう帰っていい? )の仕草をする


ボッチはガルド紙幣を払って「お釣りをお願いします。…ええ領収書は上様で結構です」


翼竜は急いで星に急降下していく「二度と乗せるかーッ!!」


7頁 NISSにて


プシュー、プシュー


NISSから切り離された宇宙探査船KFK号ははるか遠い宇宙を移動するのであった


宇宙船内


みんなでキムチ鍋で卓を囲んでいる。ドワーノフが給仕をするアリスのエプロンには《鍋奉行》と書いてある。アリスは鍋を勝手につつくウルスラやルーシーの手を叩き、段取りをしきるボッチは船内を見渡すピッピッピ、ピピ、ピッピ、チキチキ、チキチキ、ピューピューピュー、


宇宙空間で流れる流星や星屑やほうき星やミニ宇宙船軍団などをヒョイ、ヒョイと避ける宇宙船カフカ号


ボッチは目を見ひらいて「これらすべて自動運転とはッ!!」


カテリーナは箸で鍋をさしてアリスにいう「ねえ、時代よねえ、これ、もういいの?」アリスは黙々と取り皿に赤く染みたニラとエリンギと白菜を入れるカテリーナはそれを箸で口に放る「ホフホフホフ…」ボッチの取り皿には豆腐と鶏の団子を入れられ「それで、カフカ殿たちはお嬢がなぜここに来ると?」カフカは牡蠣を入れた口をホフホフさせ、届いた絵ハガキを見せる絵ハガキには


ウルスラの手書きで赤ペンで《☟ここにしゅうごう!!》


ズコッー!!


8頁 止まった星を回転させる


カフカは宇宙船のまわりをさして「で、なんでココなんだ?」ウルスラは真っ赤なはんぺんともち巾着をホフホフさせ「ひふはほほひろはふっとほふのははははは…」(ヒルダのお城がずっと夜のままだから…)「ほひほはいへんはへほうとほほっへ」(星を回転させようと思って」)


みんなは驚いて「ほえ〜、はるほほお、ほふはっはのはッ!!」(へえ〜、なるほどお、そうだったのかッ!!)


「なんであんたらわかるんじゃい!!」ボッチはツッコむカテリーナは笑って「いいチームだわね…」


「へ、ほうやってひゃふほ?」(え、どうやってやるの?)アリスはウルスラに訊ねるボッチは「あんたずっと鍋を食ってないだろッ!!」ツッコむ


9頁 ウルスラ砲


ピッピッピ、ピピ、ピッピ、チキチキ、チキチキ、ピューピューピュー、ピコン!!ピコン!!ピコン!!ハッケン!!ヒルダの星ハッケン!!


宇宙船は腹から手が伸びて星をさす


カフカ「あの星はたしかに自転してない。暗い半球が氷雪で真っ白だ…」ウルスラは「じゃやるね。外に行ってくる」カテリーナとアリスはキムチ鍋に入れたうどんを啜りながら「ずるずる…で、どうやってやるの?」ウルスラはボッチに「あのアームで外に出るから、30億魔力の呪文して」「お嬢、星を全壊さない程度にですか」カフカは「この角度なら陽があたるあの黒い城に打てば」「星は周り始めるんじゃないか」アリスはカフカに抱きついて「さすが、カフカ様」「アリス、もう夫婦なんだからカフカでいいよ」カテリーナはうどんを啜って「あらお熱いこと」アリスは手を組んでカフカを見つめるすると宇宙船中一面に白百合…薔薇…蓮…すみれ…菖蒲…スズラン…かすみ草…その他多肉植物…熱帯雨林の食虫植物などは満開になって咲きみだれるカフカはハンカチで額の汗を拭く


10頁 鍋奉行・派ァ!!


宇宙船カフカ号のアームににぎられるウルスラ


いーよー!!


宇宙船の中でボッチは呪文を唱える


……イムエッサエム…パリス…ヒルトン…シャングリラ……ヒルダ…フリード…ウルトラ・アリスは食べるより…鍋奉行・派ァ!!


ウルスラの口から光線が一直線に自転が止まった星に伸びる


ちゅど〜んッ!!


「…星がまわりはじめたッ!!」


11頁 星へ帰ろうか


ウルスラは宇宙からピース


カフカは「これで問題はすべて解決かな、帰ろうか」アリスは「見て、あれなに?」


海の表面に《地球》と書いてあるカフカは「あそこな、24時間ずっと地表のどこかでドンパチやってるんだ」ボッチは「文明がないのでしょうか…野蛮な星だ…」カテリーナは「ああいうのとは絶対に関わらないほうがいいわね」アリスは「深夜のコンビニの前でうんこ座りする奴らとおなじだわね」カフカは「そそ、ムシムシ」カテリーナは「挨拶に降りたつだけで、攻撃されそう…」アリスは「着陸したら、こっちがお陀仏ね」みんなで「地球…おーこわ」


12頁 緊急事態発生! 


ジリリリリリッ!!「なんだ?」


ピーッ!!ピーッ!!ピーッ!!ピーッ!!「非常装置が鳴っているぞ!!」


中央コントロール室にあつまるみんなディスプレイに映しだされる映像……


「冷凍睡眠室だ………」「あ、ウルスラが……」カフカは焦って「あ、それはダメだ!! その赤いボタンは!!」「なんなの?」「ぼくもわからないけど……」


ウルスラは暖房スイッチを押す睡眠冷凍室の温度がぐんぐんとあがる縦に並んだ棺桶のようなカプセルが次々に開く


パカッパカッパカッパカッパカッ


ぎゃあ〜ッ!!


エイリアンだぁああ〜!!


ウルスラは蒼色と赤色のストライプのボタンを押す「ぎゃ、そそれは……」


船内にアナウンスが響く


…第三エンジン、キカンブ・侵入者発見……アト・29秒でコノシップハ爆発シマス……ハヤク脱出シテ……クダ……サイ……


自爆スイッチだぁッ〜!!


ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!


大変だ〜


10.9.8.7.6…


どうすれば〜いそげ〜もう時間がないぞー!!


脱出しろ〜!!


「脱出のパスコードは……えと」


「は〜や〜く〜!!」


「それ、開け、キムチ!!」


パカッ!!


ズコーッ!!


脱出ポットは宇宙船の尻から飛びでる


どッか〜ん!!


「どうにか間にあった」


13頁 不時着へ


ひえ〜きゃはははっ!!


脱出ポッドにはカフカに、アリス、ルーシー、ボッチ、カテリーナがぎゅうぎゅうに入る、ウルスラとドワーノフは外の窓ガラスにへばりつく


カフカは


「お押すなて!! ぐにゃふ…」「お、あの星わりと近いぞ!」


アリスは「行ってみましょう! 新婚旅行の再開だわ!!」


第15話へつづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る