10円魔力の駄菓子ごはん ~錬金術じゃなくてただの料理です~

とまと

第1話

 8歳くらいの少年と、幼女が手をつないで歩いている。

「あー、お腹ペコペコだぁ」

「キュッ」

「そうか、キュイもお腹ペコペコだよなぁ。今日はどんなごちそう待ってるかなぁ」

「キュイキュッキュッ」

 幼女がぷにぷにのほっぺを赤らめ、にこりと笑った。

「なんだキュイ、想像しただけで幸せそうな顔になってる。まぁ、オイラもだけど」

「キュ」

「あはは、うん、早く帰ろう」

 二人の足は次第に速くなり、いつしか駆けだした。

 大好きな異世界から転生してきた女性の元へ。


 泥団子のお兄さんと呼ばれていたリツが笑顔で子供たちを迎える。


「おかえり!今日はうまいんだ棒サラミ味を使ったハンバーグと、おやつのカルパーン入りオニオンスープだよ。デザートはチィロールチョコのマシュマロケーキよ」




この世界は、一度食べたことのあるものは、なんでも魔石で出せる。


魔石で出した物は複製食品と呼ばれ、複製食品は食べても魔石で出すことはできない。

本物の料理を食べないと、魔石で複製できないのだ。


そんな世界に、本物の料理しか食べたことのない日本人が転移したのだが……。


「魔力が足りなくて、10円で買えるものしか出せない!」




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