撃てるんデス! ~自衛官の異世界魔法戦記~
井出弾正(いで だんじょう)
第1章 異世界へ
プロローグ
ここは剣と魔法の世界。私はエルフという種族の
エルフというのは魔法の知識に明るい種族だと言われるが、私も例外ではない。怪我や病気の治癒、体力の回復、それから特に召喚術というものを得意としている。
大型の獲物を相手にした仕事は、この召喚術を使えるからだ。目には目を歯には歯を。こちらも大型の
そのタロスの異能のために、今タロスの腹の中、いや胸の中、心臓のあたりに押し込められているわけだ。コックピットとも呼ばれる場所だが。
「デイヴ! 何をやっている!? 私の指示に従え!」
「サキ、いつもの貴方らしくなわよぅ。 冷静にいこうよぉ。」
声を張り上げた私を、左の座席のクララが
「デイヴぅ、そろそろちゃんと当ててくれないとお姐さんも怒るわよ。大物狙いもいい加減にしなさいな。」
「
タロスの手足を動かしているマチコもイライラしているようだ。無理もない。
デイヴが攻撃魔法でマンティコアを
ところが、新入りの
6対1では数的不利。マンティコアを攻撃魔法で片付け、本命のキマイラとサシで勝負するのが正しい運用だろう。ミスリルゴーレムの防御力ならば魔物の牙や爪でどうにかなるものでもないが、私の魔力が尽きればタロスは動きを止めてしまい、この仕事は失敗だ。
「デイヴ、何度言わせるつもりだ? どうせキマイラを狙って派手な大技を出しても当たらん。おまえの言う
「当たりゃいいんだろ。やってやっから黙って見とけよ!」
もうデイヴに
そして隙ができたゴーレムに向けて
「まずい!
「あーら、見かけによらず知能高いのねえ。お姐さん感心しちゃったわよ。」
マチコは軽口を叩きながら、タロスの膝を立て、首をすくめ、脇を閉め、手の甲を外側に向け前腕で頭部と胸部を守る防御姿勢をとる。が、
悲鳴の響くコックピットの中で、私の
「クララ、私たちでやるぞ。ユー ハブ コントロール。」
「待ってました。アイ ハブ コントロール。」
「お、おい、ちょっと待てえ。どうなってんだ!」
私はあまり得意ではないが、攻撃魔法が使えないわけではない。そしてクララは投擲武器などの扱いに長けている。
「クララ、私が魔力を込める。撃ち込むタイミングをそちらで頼む。」
「
マチコはすぐにタロスの体勢を整え、反撃に備えた。クララが引き金を引く。タロスの口から出た
「仕留めたのは2匹かあ。まだまだいくわよぅ。」
「わーお、クララちゃん、やるじゃない。さすがねえ。」
「その調子だ。しかし・・・。」
残ったマンティコアがタロスの背後から飛び掛かる。1体に振り向きざまに左肘を喰らわせると、その反動を利用して、すかさず逆回転に飛び上がりもう1体に回し蹴り。さらにジャンプして1体をやり過ごし、そこへクララが石礫を放つ。
「あっちでリングに上がってたときだって空中殺法は得意だったのよ。」
いずれも効果はあったが致命傷とはなっていない。別の手で攻めるか。
タロスの前面に六芒星の魔法陣が浮かび、大きな岩の
だが、
タロスの額にあった文字が消え、文字が書かれていた
「人選を間違えた。代償は大きいな。」
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