28話

そんな感じで、数日が過ぎたある日。

 白鳥から電話が来た。

『もしもし、高村君? 元気してる?』

「……元気してない。ていうか、お前、病院内でケータイ使ってんじゃねえ。ペースメーカーの患者さんに迷惑だろうが」

『大丈夫。今、病院にはいないから』

「じゃあ、何処にいんだよ?」

『裁判所よ。市役所の近くの』

「はあ、裁判所?」

『あなた達も今すぐ来なさい』

 そこで、電話は切れた。

「美和子、何やて?」

「さ、裁判所に来いって……」

 嫌な予感がした。

 白鳥の奴、烏丸の親相手に裁判を起こす気だ。

 烏丸の許可もなしに……。


 裁判所に着くと、白鳥に集められたであろう面々が揃っていた。

 おれ、薫、烏丸。

「あ、阿部っ⁉ お前、何でここに?」

 恋愛相談に来た阿部灯である。

 彼女の依頼がきっかけで、こんなことになっているのだが、彼女に烏丸の過去は関係無いはずだ。

「私、実は知ってたんです。烏丸先輩のこと」

 何処でと聞きたかったが、それは法廷で明かされるのだろう。

 それに、ホストクラブのボスの八神さんと、全ての元凶である烏丸の母親。

 確かに、烏丸の母親は綺麗だ。烏丸によく似ている。

 彼女は状況を察しているのだろう。

 さっきから、烏丸を憎らしげな目で見ている。

 烏丸は苦い顔をしている。

 それが、実の息子を見る目かよってくらいに、冷たい視線を烏丸に向けている。

 修羅場だ。今度はホストクラブの時みたいに、あっさりとはいかないだろう。


 数分後。

 白鳥が姿を現した。

 骨折のため、セバスチャンに車椅子を押されての登場だ。

「では、早速始めましょう、Let、s 裁判」

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