異世界生活50日目:災いの騎士、壊滅
俺たちはヴィネとウルトルさんの敵であるバルトスを倒した。満身創痍の体が言う事を聞かず、その場から動くことが出来ない。刻々と時間だけが過ぎていった(その間にウルトルさんの死体は回収した)
ナリアはまだ目を覚まさない。俺もナリアみたいに寝たいのだが、ここは
いつもカンちゃんが助けてくれるな。カンちゃんがいれば死ぬことは無さそう。でもな……こいつ寝過ぎなんだよな。いつも寝てるため、ここぞという時に起きてるのかという問題がある
最近カンちゃん静かなんだよな。このままで居てくれ。些細なことで頭つつかれてたら、頭蓋骨どころか脳みそも削れる
俺たちはナリアが目を覚ますまで待っていたが、中々目が覚めない。その間、この部屋には誰も来ない。俺たちとバルトスの死体しかいない
探知スキルを使っても人が現れる気配がない。災いの騎士って以外と人手不足なのか??
その割には拠点広いし、部屋の数も多い。人手がいない訳では無いのか??
もし人手不足なら、こんな広い場所に拠点を構える必要もなかったと思ってしまう
「誰か来た」
「え?
……ほんとだ」
「カズヤどうした?」
「誰か来たみたい。注意して」
探知スキルを使うとカンちゃんの言う通り、人が拠点内にいる。複数人ではなく1人。こちらに近づいて来てると思ったら違う部屋に入った
部屋から出る気配がない。1人なら俺らでも倒せるだろう
「違う部屋に入った。でも、出る気配がない」
「倒すか?」
「1人ならナリア抜きでも行けるよ」
ロイスとケールはそれぞれと剣と盾を構えてやる気十分だと言っている。下っ端1人ならナリア抜きでも倒せると思うが、幹部クラスなら倒すのは難しいだろう。どんな奴か確認する必要がある
「幹部だったら倒すのは難しいよ」
「そのパターンもあるのか……確認しないといけないな」
「3人で行く??」
「3人で行くとナリアを置いていくことになるし……」
カンちゃんがナリアのこと面倒見てくれないかな??
カンちゃんが
「カンちゃんさ、ナリアのこと見ててくれない?」
「面倒」
「そこをなんとか…!!!!」
「無理」
「お願いします!!!!」
「……
壁が高すぎる……
頭下げても無理??見張るだけでいいのになんで無理なんだよ。それくらい出来るだろ。いつも寝てんだから少しは役に立ってくれよ
めちゃくちゃ役に立ってたわ。カンちゃんいなかったら、ナリアとケール死んでかもしれないんだ
働いてないフリして、いつも役に立つ。カンちゃんやれば出来る子なんだからここも頼むよ~
「やれば出来るんだからお願いします」
「……」
「あれ??カンちゃん??」
「……Zzz」
「寝やがった……」
寝ると起きないのがカンちゃんである。起こそうとするとブチギレる。ブチギレると死ぬ可能性しかない。ここは起こさないのが賢明な判断
寝るのは反則だ。寝たらこっちは何も出来ないんだからな
「起こさない方がいいね……」
「ナリアどうすんだよ」
「連れて行くか、置いていくか……
連れて行くしかないよね」
「誰がナリア抱っこすんだ??」
「俺はカンちゃんおぶってるから、やめとくよ」
「おぶってねぇだろ。乗ってるだけだ」
ナリアが重いっていうわけじゃないけど、疲れてるのに人を抱っこするのは骨が折れる
どうにかして、ロイスかケールに抱っこして貰えうことは出来ないか……
話し合いの結果、じゃんけんで負けた奴が抱っこすることになった。絶対に負けられない
「「「じゃんけん」」」
「「「ポン!!!!」」」
俺がグーで、ロイスとケールがパーだった
嘘だろぉぉぉーーー!!!!
1人負けかよ……ついてないな
負けたものは仕方ない。俺がナリアを連れて行くしかない
ロイスとケールが勝った時に見たことないような笑顔を見せてきた。あの顔潰してやりたい
「じゃ、頼む」
「ナリアをよろしく」
「クソッ…!!
仕方ない。負けたんだからやるしかない」
俺は寝ているナリアをお姫様抱っこで抱えて、人がいる部屋に向けて歩き出した。ナリアは重くないんだが、満身創痍の体には応える重さをしている
カンちゃんくらい軽かったらいいんだけどな
この不満がナリアの耳に入ったら、俺はどうなるんだろう。死ぬで済むのか??
間違っても声に出さないように、心の中に大事にしまっておこう
「ここだけど……」
「扉の作りがこの部屋だけ明らかに違うな」
「中にいる人、只者じゃなさそうだね」
俺たちが着いた部屋の扉は豪華な装飾が施されていて、中にいる人間が自分は偉いと自己顕示しているかのようだ
ボス戦前みたいな雰囲気出てるな。これ無視した方がいいんじゃないか??
お宝を探せないのは残念だけど、ヤバそうなやつと戦うのはゴメンだ。無視して出ようとロイスとケールに言おうとしたが、時すでに遅し……
2人は一緒に扉を開けていた
何してんだよ!!!!頭おかしいのか!!!???
見るからにヤバそうな雰囲気出てるだろ!!!!!
なんで開けんだよ!!!!!自分から気づかれに行く必要は絶対に無かったって!!!!!
「何してんの!!!!」
「!?
誰だ!!貴様ら!?」
「カズヤが大きな声出すから気づかれたじゃねぇか」
「いやいや……
2人の頭のネジが外れてるのが原因だからね」
「バルトスはどこだ??ウルアもいないのか!?」
扉を開けた先には左手にタトゥーが入っていて、被っている王冠のようなものにも違うタトゥーが入ってる男が豪華な椅子に座っていた。服も高貴な服を着ており、幹部クラスだと言うのは見てわかる。この部屋には長い机と椅子が何脚も置いてある
こいつバルトスとウルアを呼び捨てにしてるってことはここの拠点のボスか?
バルトスとウルアに比べて弱そう。めちゃくちゃ慌ててる。バルトスもウルアも俺たちが倒したしそいつらを呼んでるってことは、ここの
「バルトスもウルアは呼んでも来ない。その2人は俺たちが倒した」
「!!!!
なんだと!?一体何者だ!?」
「何者も何も……ただの冒険者だけど」
「こいつも倒しちまうか」
「ナリア抜きでも倒せる気がする」
全員一致でこいつは弱いと判断した。俺らでも倒せる相手だろう。ラウム、ウルア、バルトスと違って強そうな雰囲気が感じられない
こいつ本当にボスなのか??
「あまり舐めるなよ!!!!」
「ロイス。パス」
「危ねぇな!!反応出来なかったら危なかったぞ!!」
「ナイスキャッチ!!」
俺はナリアをロイスに向けて投げた。ロイスはしっかりナリアを受け止めてくれた
「火魔法・火」パン
「ウッ…!!グハッ…!!」バタン
俺は
やっぱり弱い。こいつボスじゃないな。まだボスが他にいるはずだ
「拍子抜けしたな。こいつがボスな訳ないよな……てことはまだボスがいんだろうな」
「うん。まだボスがいるはず」
「今はこの拠点に誰もいない。ボスはいない」
「誰もいないから、この拠点を漁ってみない??いいものがあるかもしれない」
「そうだな。色々探ってみるか」
「この部屋にも何かあるでしょ」
ロイスはナリアを抱えているので、俺とケールでこの部屋を漁ってみる。倒れている男が座っていた椅子の後ろの壁に触ると、ゴゴゴと音が鳴り始める
マズイ!!何か起動させてしまった!!!
俺たちは咄嗟に周囲を警戒する。だが、触った壁が扉のように開いて先に部屋が現れただけだった
「焦ったぁ~」
「隠し部屋か……何かあるだろうな」
隠し部屋に入ってみると、難しそうな本がずっしりと並んだ本棚と宝箱が置いてある
宝箱を開けてみると中に何かの紙が丸められて入っていた。紙を広げてみると、そこには部屋の間取りのようなものが書いてあった
設計図?なんでこんなところに……
ん??この設計図どこかで見たような気がするな……
マラ王国の城の設計図だ!!!!こんなところに置いてあるのか!!
ここダンジョンみたいな構造してるって思ってたけどダンジョンだったか
「なんだそれ?間取りが書いてあるな」
「こんなの宝箱に入れる価値あるの?」
「何か貴重なのは間違いない。俺が持っとくよ」
俺は自然な流れで収納魔法に設計図をしまった。設計図は俺にとってめちゃくちゃ価値のあるもの。ロイスとケールに捨てられたらたまったものじゃない
元々魔物たちが住んでいて、#災いの騎士__カタストロフィナイト__#がダンジョンを攻略してそのまま拠点にしたんだろう。その際、宝を漁ったりとかはしなかったんだろうな
「他にも探してみるか」
「うん。まだまだ色々ありそうだからね」
「ハァハァ……部外者に我々のテリトリーを漁られるなどあってはならない……」
「こいつ生きてたのか!!!」
「死んだって勝手に思ってた」
男は撃たれた場所を手で押さえながら立ち上がる。そして、服の内側から何かを取り出そうとしている
直感でマズイと感じた俺はもう一度男のことを
「グハッ……!!!!
世界に神の救済を…!!!!」ポチっ
「やばくないか??!!」
「早くここを出よう!!!!」
あいつ死ぬ間際に何か押したな!!
ボタンを押すような音が聞こえてきた。俺たちは走って、拠点の出口へと急いだ。俺たちは息を切らしながら出口に着いた。拠点から離れるために疲れてる体に鞭を打って夢中で走っていた
「ハァ…ハァ……ここまで来れば大丈夫でしょ」
「ハァ…まだ何も起きてない?」
「今のところはね」
「ハァ…ハァ…ハァ……お前らズルすぎだろ。俺ナリア抱えてんだから、もうちょっとスピード落とせよ」
「普通に忘れた」
「前にいると思ってた」
ロイスがナリア抱えてるの忘れてた。俺とケールしかいないから、ロイス先に行ってるのかと思ってた
まだ何も起こってないからセーフでしょ
「あの何かを押すような音は何なんだ??」
「分かんないけど、逃げて正解だと思うよ」
「あれは俺もヤバいと思った。逃げ出して正解だろうな」
「何が起きんのかな??」
「さぁね。良くないことなのはわかるけど」
今気づいたけどもう朝になってる。拠点長い間いたんだな
早くアグロクの森を出て、レイデリアで休みたい。ずっと動きっぱなしで体が悲鳴をあげている
「もう朝になってるし戻ろうか」
「そうだな。早いところ帰るか」
「どうやって帰るの?」
「カンちゃんに案内してもらうしかないな」
「カンちゃん寝てるけどね」
「カンちゃん起きるまで待つ?」
「こいつ起きないからね……何か起きるようなことがあればいいけど」
ドーーーーン!!!!!!!!!!
俺たちが帰り道をどうしようかと話していたところ急に爆発が起きた。爆発のした方向を見てみると、拠点があったところだ。爆発により火が上がっている
あのポチっという音は爆弾を起動させるためのものか。これで拠点を探ることは出来ない
「
「痛っ!!」
「カンちゃん帰り道を案内してくれ」
バサバサ「……」
カンちゃんは俺をつつくと空に羽ばたき、帰り道の案内をしてくれている
痛いな……なんで起きてやることがつつくことなんだよ。こんなやつとずっと一緒にいたら俺の頭削れる
とりあえず、レイデリアに帰れそうだな。長い一日がやっと終わる。帰ったらゆっくり休もう
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