異世界生活44日目:悪事を働く人間をシバく
ダンジョンをクリアした際にあった宝箱の中身はカンちゃんが強奪していた。だが、その中身は城の設計図だった。俺は睡眠時間を削って設計図を覚えようとした
しかし、複雑な構造をしている城の設計図は覚えるのは一筋縄ではいかない。たとえ覚えても今ある設計図は初期のやつであるため実際には違う可能性もある。だが、カンちゃんが覚えろというので仕方なく夜中に1人で設計図と格闘していた
カンちゃんは俺が夜中に起きていたことなんてし知ったこっちゃないため、いつも通りの時間に起こしてきた。起きるのを少しでもためらったら、くちばしで1突きされる
俺は寝不足のままギルドでケールたちと合流して、物資の輸送の護衛をすることになった。順調に進んでいたが、隣国レイデリアまであと半分というところで盗賊に遭遇した。悪事を働く人間はシバいてあげないといけない
「気をつけろよ。何してくるかわかんねぇ」
「えぇ。こいつらなんか不気味だしね」
「隠密スキルが厄介だ」
「カンちゃん、わかるからどこにいるか教えてよ」
カンちゃんの方を向くとこいつは寝ていた
何寝てんだよ!!!!!危機感持てよ!!!!!
あ……そうだ……こいつ何言っても聞かないんだった
自由な性格(自分勝手)だから、どんな場所でも寝るんだ。闘技場でも寝てたしな
「Zzz………」
「カンちゃん?」
「こいつ寝てる……」
「えー!!それじゃ、どこに敵いるか分からないじゃん」
「何とかするしかないね」
(寝てるだけなら付いてこないで欲しい)
「とりあえず攻撃してみるわ」
「俺も攻撃するよ」
(なら攻撃はケールとナリアに任せよう)
「俺は隠密スキルが通じるかわかんないけど試してみる」
「俺は2人の防御に専念する」
攻撃はあの2人に任せて盗賊の気を引いてもらおう。その隙に隠密スキルで近づいて近距離から攻撃する
この盗賊たちみんなタトゥーが左手にある。リーダー格の男に関しては顔にタトゥーが彫ってある
「剣術強化・
「水魔法・
「闇魔法・
「私の魔法が消えた!?!?」
「俺の斬撃も消えてる!?!?」
ケールの斬撃とナリアの水魔法が盗賊の出した魔法陣に当たった瞬間消えた。魔法を相殺する魔法
隠密スキルでさえ厄介なのにそれは無しだろ
それだけの力あってなんで盗賊やってんだよ
「闇魔法・
「力が抜ける……」
「剣が重い!?」
「今だ。やれ」
「風魔法・
「土魔法・
「氷魔法・
弱体魔法によってケールとナリアが弱っている。ロイス1人で防御は出来ると思うが、さっきと同じような弱体魔法をかけられれば一網打尽だ
本来なら手は出したくなかったが、ロイスの負担を軽減するために魔法を使ってしまった
「あそこにもいる。探せ」
(やっぱり気づかれたか)
「火魔法・
「水魔法・
「殺すな。生け捕りにしろ」
「……」
(無言で頷いてる。不気味だ)
隠密スキルで近づく作戦も破綻した。ケールとナリアは弱ったまま、ロイスが1人で猛攻を何とか凌いでいるところ。俺も位置がバレたため猛攻撃を食らっており反撃には移せない
あいつ生け捕りにしろとか言ってたな。生け捕りにしてどうするんだ?売り飛ばす気か?
「お前いつまでそこにいる」
「見たらわかるだろ!!動けないんだよ!!」
(こいつ危ないところで起きてくるな)
「殺せ」
「え?今なんと???」
「殺せ。生きててもろくなことをしない奴ら」
「殺すのは王様だけにしたい」
「早く
エアガンを使った方が確実に数は減らせる。だが、これは殺傷能力がものすごく高いため魔法すら切り裂くとカンちゃんが言っていた。魔法を切り裂くなら人の体なんか簡単に貫通出来る
こんな強い魔法が使えていいのかと思ったが、どうやらこれは人間の中では俺しか使えないらしい。カンちゃん曰く、バフの暗殺術の中にこれも入っているとのことだ
「躊躇うと捕まる」
(ロイスも耐えてるけど確実に押されてる)
「お前は
「それはそうだけど……俺が人を殺すなんてできるのか」
(罪に問われるとかじゃなくて、人を殺すなんて覚悟は出来ない)
「なら捕まって売られる」
「…………仕方ない」
人は殺したくない。これは誰もが思うことだろう
だが、時には殺さないといけない時もあるのかもしれない。仲間のためだと思ってやるしかない
悪人はどこまでいっても悪人
生きていてもいい事はしない
「隠密スキル発動」
「消えた!!?」
「まだそこら辺にいるはずだ。捕まえろ」
「雷魔法・
「……はぁ」パン!!
俺の手から発砲された空気の弾は盗賊の雷魔法を切り裂いて盗賊の脳天を貫通した
盗賊は力無く後ろへ倒れ込んだ。生きているなんてことはありえない。俺はこの手で人を殺めたのだ
殺めてしまったという罪の意識が俺を責め立てる
「よく殺った」
「え?」
(初めて褒められた?)
「まだ残ってる。油断するな」
「わかってる」
カンちゃんが急に優しくなった?
なんで急に???でも、カンちゃんに褒められたのは初めてだから嬉しいな
「死んだ!?!?」
「隠れてるやつは殺して構わん。だが、あの3人は捕まえろ。女は丁寧に扱えよ」
「隠れてるやつが見当たりません!!!!」
「使えん奴らだな。あそこにいるだろう」
(あいつも真眼持ちかよ。なら、隠密スキルは意味無いな。解いてしまおう)
「闇魔法・
「光魔法・
「小賢しいな。冒険者ごときが」パン
「あ、あ、うわぁぁぁ!!!!!」
リーダー格の攻撃を防いだあと、俺は下っ端をもう1人エアガンで脳天を貫いた
その光景を見た他の下っ端がパニックに陥り、逃げ出した。死にたくないと思ったんだろう
死にたくないというのは人間の本能。当たり前のことだ
「2人死んだくらいで逃げるな」
「闇魔法・
「動け…ない……」
「闇魔法・
「アッ……ウッ……助けて」グシャッ!!!!
リーダー格の男は逃げ出した下っ端を闇魔法で動けなくすると無数の闇の刃で突き刺した
仲間を平気で殺すなんて人外のやることだろ
こいつは本当に人なのか???
だがあいつが仲間を殺してくれたおかげで盗賊は残りリーダー格を含め4人だ
「あいつのようになりたくなかったら死んでも殺すか捕まえろ」
「「は、はい!!」」
「風魔法・
ヒュオオオ!!!!!
「風魔法・
「クソ……!!!!!」
「雷魔法……」パン
これであと3人。リーダー格は簡単には殺れないだろう。周りの下っ端から片付ける
下っ端は逃げたら死ぬ。だからといって戦っても死ぬかもしれない。どっちに転んでも最悪な状況で戦わさせられてるからか集中が途切れている
「早く殺せ」
「は、はい!!!!!わかってます!!!!!」
「土魔法・
(どこ狙ってんだ?砂の弾ひとつも当たってないぞ)
「当てる気がないなら、死ね」
「い、いえ!!?次こそは必ず殺ります!!」
「……次は無い」
「火魔法・
(だからどこ狙ってんだって。一発も俺のところ来てない)
「闇魔法・
「グハッ!!……お許しを…!!次こそは」
「2度は無い」グサッ!!
「アッ……」
リーダー格の男は下っ端の腹を闇の刀で貫いたあと首元を突き刺した。これで盗賊はあと2人になった
容赦がないな。あの下っ端は最後まで許しを乞うていた。それを聞く耳すら持たずトドメを指した
あいつは返り血で服だけでなく顔を汚れている。まるで血に飢えた獣のような目付きをしている
「そこで立っているくらいなら鉄砲玉になれ」
「闇魔法・
「嫌だぁぁぁーー!!!!!!」
パン「文句ならあいつに言ってくれ」
リーダー格の男はロイスと戦っていた下っ端を闇の巨大な手で鷲掴みにすると俺の方へ投げてきた
俺は咄嗟にエアガンで下っ端の脳天を撃ち抜いた
下っ端は即死。残る盗賊はリーダー格の男だけだ
「お見事」パチパチパチ
「何の真似だ?」
「あなたが殺したのはそこそこ実力のある人間。あなたは中々、力があるようだ」
「お前も盗賊のくせに力があるじゃないか」
「盗賊のくせに……か」
「何も知らないあなたにはそう映るんだろう。私から言わせて貰えば何も知らないくせに盗賊という言葉を使わないで貰いたい」
(変な地雷踏んだ?)
「お前のことなんて知りたくない」
「みんな揃いも揃ってそう言う。無知であるにも関わらず」
こいつ急に喋り出したと思ったらなんだ???
面倒臭い奴だな。変なところに地雷埋まってるし
やってることが盗賊なんだから盗賊でいいだろ。それ以外、何があるんだよ
「お前が今やってる事は盗賊そのものだ。盗賊って呼ばれてもおかしくないだろ」
「聞こえなかったのか???盗賊という言葉を容易く使うな!!!!!」
「闇魔法・
「光魔法・
「闇魔法・
「光魔法・
やっぱりこいつは強いな。リーダー格なだけある
こいつも殺してしまうか???
ただエアガンを使う隙が生まれない。無理にエアガンを使っても当たるとは思えない
「闇魔法・
「光魔法・
(これじゃジリ貧だ。何か打開策が欲しい)
「雷魔法・
「!?!?
何故だ!?弱体魔法はまだ効いているはず!?!?」
頭から突如振り下ろされてきたハンマーに反応が遅れた男はそのままハンマーの下敷きになり地面に叩きつけられた
ナリアがやってくれたのか???ナリアが倒れそうな体を無理やり立たせて援護してくれている
この機会を逃す訳には行かない
「光魔法・
「ウッ……グハッ……!!!!!」
「こんなところで……やられる訳には……」
「闇魔法・
(あいつどこ狙ってるんだ?……マズイ!!!!!その方向はナリアがいる!!!!!)
「ナリア!!!!!」「しっかりしろ!!!!!」
(男の光線はナリアの体を貫いた)
「お前…!!」
「盗賊らしく死ね」
「神格魔法・
最後のトドメはカンちゃんがさしてくれた。これであいつは死んだだろう。だが、ナリアは大丈夫か!!
道連れにしようという無情な光線で体を貫かれた。俺がもっと早く仕留めておけば良かった!!!!!
「ナリア!!!!!」
「回復魔法は?」
「俺らは使えない。カズヤは使えるだろ」
「俺は使えるけどさっきの戦いでMPを使いすぎたから使えない」
「回復アイテムは?」
「俺がほとんど使っちまった……俺なんか使う必要なかったのにな」
ロイスは体を張って2人を守っていたんだ。回復アイテムくらい使ったところで問題は無い
ロイスのおかげでケールは無事なんだ
ナリアは俺が悪い。どうにか助からないだろうか
神が見てるならどうか助けてください。お願いします
「聖魔法・
「「え?」」
「傷が治ってる……」
「これで死にはしない。意識を取り戻すのはまだ先」
「「カンちゃん!!!!!」」
「ありがとう!!!!!」
「ありがとよ!!!!!」
本当にありがとう。これは心の底から言える
カンちゃんが助けてくれなかったらどうなっていたか……
カンちゃんには大きな貸しができてしまったな
でも、普段の態度でチャラにしてくれないか???
無理か。普段の失礼な態度と命を救う行為は比べたらいけないな
ただの鳩じゃないけど、それのお陰で俺たちは救われた。感謝しかない
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