第24話 霧島東神社


「霧島東神社って私の家のそばにあるお社ね」


 お父さんが昔、語り継いでくれたことがあった。霧島東神社は無闇やたらにええかっこしく、参拝に出向くところじゃない。


 あそこには祟り神が祀っている。あそこは何も知らない、無為自然な子供が行くところじゃない、と。


「サヤとミケヌはどうなったの? ミケヌとサヤは誰なの?」


「それはあなたが気付かなくてはいけません」


 天井裏に点いた明かり、風前の灯火がついに消えた。


 積み重ねられた古書も必然と紙質を重きに置いた暗黒さを増していく。



「ミケヌは……、狭野尊のこと? でも、あの言い伝えは本当かどうかも分からないのよね?」


「それもあなた自身が見つけ出さなくてもなりません」


 小夜里さんは綾糸が千切れるような強い口調で言い切った。


「その鏡の片割れはあなたの大事な方が持っておられるかもしれないのです」


「ヒントはそれだけなの? 他には?」


 私は振り払うように叫んだ。ただ、と小夜里さんが付け加えると紺色の袴が小夜中の隙間風で揺れた。


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