巨大ダンジョン


 体格が倍以上に大きくなっていたプテラドンを見て、俺は何となくこのダンジョンの事を察した。


 まだ他の魔物を見ていないので分からないが、多分魔界に存在する魔物たちを更に巨大化させたダジョンなんじゃないかな?と。


 もしその通りならば、今まで見てきたダンジョンの中でもかなり異質なダンジョンとなる。


 ダンジョンは実在する魔物を出すのだが、その大きさは多少の個体差はあれどほぼ同じ。


 流石に倍近くもの大きさを誇る魔物を出すことはない。


 倍以上も大きさが違うとなれば、最早それは別の生き物である。


 人間だって自分の身長の倍以上もある人間がいたら、そいつを同種として見るのは無理だろう。


 例え形が同じだとしても、別物の生物なのでは?と思ってしまう。


 まぁ、俺の隣には大きさではなく破壊力で、同じ人類種かどうかかなり怪しい人も居るんですけどね。


 エレノアって言うんですけど。


「ジーク、今失礼なことを考えたわね?」

「まさか。エレノアが人外じみた、最早人類種として定義していい存在なのか怪しいだなんて考えてないさ」

「考えてるんじゃない。全く、この悪い口は」

「イヘヘ」


 素直に思った事を口にすると、エレノアは俺の頬をムニムニしてちょっと引き伸ばす。


 俺は別に痛くないが、反射的にイテテと言ってしまった。


 あるよね。別に全く痛くないんだけど、“痛っ”って言う時。


 特にゲームをやっている時に言う気がする。


 自分のキャラがダメージを受けた時に“痛っ!!”って言ってしまうのは、ゲームあるあるだと思う。


「それで言えば、私からしたらジークも人類と定義していいのか怪しいわよ?普通の人間ではありえないほどの魔力量と、卓越した魔術。何より黒魔術と白魔術を使えるというのは魔術師の常識をぶっ壊しているんだもの」

「あー、確か黒魔術と白魔術はどちらかしか使えないらしいですね。ナレちゃんは普通に使ってますけど」

「ナレちゃんもなんやかんや特別だ物ね。村で唯一全ての属性の魔術を使える子だし。ナレちゃんの魔術は色々と活躍していると聞いたわ」


 魔術を扱う者としての常識として、黒魔術と白魔術は並行して使えないというものがある。


 俺の場合は、本来あったはずの魂と俺自身の魂が存在する状況だからどちらの魔術を使えると言う説明ができるのだが、ナレちゃんの場合は何も説明ができないんだよな。


 実は俺とおなじ転生者でしたとかも考えたが、言動を見る限りそのような様子は見られない。


 ナレちゃんはかなり特別な存在なのだ。俺のような事情があって全属性の魔術が使える訳ではなく、ナチュラルに全属性が使えるのだから。


「ま、ジークが人を辞めているのは今に始まった話でもないしどうでもいいけどね。私の相棒で私の味方であると分かればそれでいいのよ」

「俺もそうだな。エレノアが相棒であると分かっていれば十分だ。だから、頬っぺたムニムニするのやめてくれない?」

「ふふっ、ジークのモチモチな頬っぺたは癖になるのよ。産まれたての赤ん坊のように弾力があって、揉み心地が最高なの」

「いや、最高とかじゃなくて離してよ」


 エレノアは俺の頬をムニムニするのがかなり好きである。


 一緒に寝る時もよく弄られるし。


 俺も別に本気で嫌がっている訳では無いので、結果としていいようにムニられる。


 俺もなんやかんやエレノアにこうして遊ばれるのは悪くないとか思ってしまっているあたり、エレノアにはかなり甘いんだよな。


 と、そんなことを思っていると、ドスドスと大きな足音がこちらへやって来る。


 全員がそちらの方に視線を向け、そして固まった。


「ぱ、パキケファロルス........だよな?」

「滅茶苦茶大きくなっているわね。私達のお腹ぐらいまでしかなかった身長が、見上げるほどにまで大きくなっているわよ」

「パッと見ただけで10倍近くありますよ。頭で吹き飛ばすよりも先に踏み潰されそうです」


 特徴的な頭をした恐竜パキケファロサウルス。


 この魔界ではパキケファロルスと呼ばれる魔物は、本来俺の身長より少し低い程度の体高しか無い。


 だいたい1.2~1.3mほどであり、その強靭な頭と素早い足で一撃を繰り出してくる魔物である。


 しかし、しかしである。


 今俺たちの目の前にいるパキケファロサウルスは、あまりにも大きかった。


 空を見上げるほどに大きく、その大きさは多分10倍以上。


 小さな体格をしていた時は可愛げがあったが、ここまで大きくなられるとティノルスのような圧を感じる。


 やっぱり大きさって重要なんだな。それだけで、強そうに見えるもん。


 実際に感じる圧も強い。


「プェェェェェ!!」

「このダンジョン、既存の魔物を大きくするとか言う少し変わったダンジョンのようだな。ちょっとロマンがあって楽しいかも」

「冗談半分で言った“傷だらけの王者スカーキング”のような魔物で溢れているという事ね。殴りがいがありそうでいいじゃない。拳が疼くわ」

「うん。俺には無理ですね!!」


 俺達を見つけるやいなや、大きな声を上げながら突撃してくるクソデカパキケファロサウルス。


 お前、そんなにデカくて頭突きできるのか?と思いつつも、俺は魔術で迎撃を試みた。


「ふっ飛べコノヤロウ」


 第九級白魔術“白一閃ホワイト”。


 同じ第九級白魔術である“聖なる一閃ホーリーバースト”の極太版である。


 貫通力が少し落ちている代わりに、攻撃範囲が広くなってるいるため避けるのが難しい。


“聖なる一閃”は相手の体が小さい時や、確実なダメージを与えたい時に使った方がいいんだよね。


 ビームが細いから、的確に相手の急所に当てないといけないというデメリットを抱えているし。


 ゴゥ!!


 と凄まじい勢で放たれた白の一閃。


 俺の背丈ほどもある草を巻き込み、一筋の道ができ上がる。


「プェ──────」


 そして、クソデカパキケファロサウルスも開拓され、あっという間に消し炭になってしまった。


 うーん。予想通り。


 元よりはかなり強くなっているのは明白だし、おそらく強さ的にいえば破滅級魔物レベルはあったはず。


 この魔界に来てすぐの頃ならば、多少なりとも苦戦を強いられていたかもしれない。


 しかし、現在の俺は進化済みレベル392。


 破滅級魔物で手こずる事など無いのだ。


 昔は破滅級魔物の魔王を相手に隠れながら持久戦を仕掛けていたんだけどな........俺も成長したものだ。


 見てるかい俺達が初めて出会った魔王、オリハルコンゴーレムくん。


 俺は今や君を魔術一つで消せるぐらいに強くなってしまったよ。


 今度であった時は、ちゃんと捕まえて沢山ゴーレムを量産してもらってから潰してあげるね。だからまた出てこい。


「ま、ジークにかかればこんなものよね。でも、明らかに強くなっていたわよ」

「強い分にはいいさ。経験値が貰えるし。今のところは俺達でも対処できるぐらいの強さしかないからな。問題は破滅級魔物であったトリケラプスとかそこら辺がどれだけ魔改造されているかだな。絶望級なのは間違いないだろうけど、俺たちの手に負えないレベルで強くなられると困る」

傷だらけの王者スカーキングぐらいの強さが丁度いいかしらね?」

「そうだな。それ以上になると、心理顕現のオンパレードだ。ワンチャンダンジョンの階層をぶち抜いて、コアを破壊しかねないぞ」

「うわぁ、世紀末ですねそれ」


 心理顕現のオンパレード。


 この言葉だけでそこが世紀末なのがよくわかるな。


 俺もエレノアも心理顕現を本気で使うと無差別攻撃を始めるし。


 観音ちゃんは欲張りだからね。本気を出すとそこら辺にある経験値は、全て食らいつくそうとしてしまうのだ。


 でも普段は割とフレンドリーな子。イェイ!!とピースとかすると、ちゃんと返してくれるので俺はよく遊んでいる。


 このダンジョンは心理顕現が必要なのかな?


 俺はそう思いながら、このクソデカロマンダンジョンにワクワクするのであった。






 後書き。

 大々的に宣伝していいと言われたのですが、昨日宣伝したよ。

 と言う訳で、可愛いジーク君を出しても良いと言われたので、Twitter(X)にてジーク君を公開しています。杯雪乃で調べれば出るはず。

 あと、Amazonでも見れるらしいです。

 是非見てね‼︎

 ジーク君可愛いやったー‼︎

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