南の制圧
南の村がウルの村へと移住し、本格的な交流が始まった頃。
俺とエレノア、そしてデモットは南の大地へと足を運んでいた。
スピノサウルスな上に遅れてやってくるビームを放つとか言うロマンの塊を見つけ、更には先の戦争の生き残りにして村を作っていた悪魔の発見。
そしてその村に襲撃をしてきた公爵級悪魔との戦闘など色々なことがあった南の大地だが、俺たちの目的はレベル上げ。
新たな放置狩りの場所を見つけたとなれは、アリの一匹すらも根絶やしにするのが俺達なのだ。
そんなわけで、未だに手付かずの南の大地に降り立った俺達はそれはもう好き勝手に暴れ回っていた。
「........と、言い訳で頼んだよ」
「........(了解)」
西の大地を粗方滅ぼし終えた天魔くんちゃん達を呼び出し、南の大地の殲滅を行ってもらう。
南の大地の殲滅プラス悪魔たちの街を滅ぼせば、俺もエレノアもレベル400ぐらいにはなるだろう。
足りなきゃ、草食恐竜のダンジョンでアルゼンチノルスを狩るしかないな。
アルゼンチノルス君、毎日四時間おきに復活する度に俺かエレノアに速攻で狩られている。
俺復活!!となった瞬間には、既に死んでいるのだ。
リスキルもいいところである。俺だったらブチ切れてるね。
ゲームならば速攻でマッチを抜けるか台パンしながら、ゲームを辞めるが、生憎ダンジョンはゲームではない。
システムとして強制的に復活させられてしまうので、アルゼンチノルスくんの運命は決定づけられているのだ。
流石に可哀想。でも、経験値が欲しいからこれからもいっぱい死んでね。
「そういえば、魔界にはダンジョンが少ないのか?あまり見かけないよな?」
「確かにそうね。今のところ二箇所しか見つけていないわ。出現場所にこれと言った規則性がないから、少なくても仕方がないのだけれど、あまりにも少なすぎる気がするわね」
「ダンジョンは希少ですからね。人類大陸はそんなに多いんですか?」
「少なくとも、俺たちが知っている限り10箇所ぐらいはあるな。大体潰したけど」
「三大ダンジョンと呼ばれる人類では攻略が不可能とされていたダンジョンのひとつを、私とジークで潰したわね。海の中にあるダンジョンで、効率もあまり良くないし何より戦いづらくて不便だったわ」
ダンジョンくん、もっと出てきてくれてええんやで?最近、似たような事ばかりやりすぎて飽きてきた。
まぁ、飽きてもやるんだけどさ。最早レベリングは生活の一部だし、ある程度放置していても経験値が入ってくるし。
全く、人間とは贅沢な生き物だ。
同じことを繰り返すと飽きてしまうのだから。
同じものを食べ続けると飽きて美味しさを感じなくなるように、狩りにも多少の変化が必要なのである。
その味変を担っていたのが、ダンジョンだったのかもしれない。
ダンジョンは狩りのスパイスなのだ。
あまり見かけない魔物や、完全なる別世界を映し出してくれるダンジョン。
なんやかんやダンジョンの攻略は楽しいんだよなぁ。
そんなことを思いつつ、俺達は好き勝手に南の大地を蹂躙していく。
最近になって、デモットも広範囲を破壊する魔術の運用を本格化したのか俺の十八番である“
現在の俺とはレベルさがあまりにも開きすぎていて出力がまるで違うが、それでも初期の頃の俺よりも圧倒的に火力が高い。
デモットもついに環境破壊デビューか。これから毎日森を焼こうぜ。
「お、スピノルスだ。いやーいつ見てもかっこいいな」
「そう言いながら、容赦なく頭を吹っ飛ばしてますけどね........しかも、ちゃんと影の中に回収してますし」
「エレノアがスピノルスの肉が食べたいって言ってたからな。折角だし料理しようかと思って」
「美味しいんですかね?」
「さぁ?食えない程にまずかったら、畑の肥料になるな」
俺が興奮しすぎて食べられなかったスピノルスの肉も確保完了。エレノアが食べてみたいと言っていたので、俺は材料確保も兼ねてレベリングをしている。
エレノアは、取り敢えず初めて見た魔物は食べようとするからな。
多分俺が心の底から拒否してなかったら、あの昆虫達も食ってた。
悪食が過ぎる。が、それでこそエレノアでもある。
流石に人間は食べたりしてないよな?........食べてないよな?
「食べてないわよ。流石にそこら辺の倫理観はあるわよ」
「まだ何も言ってないぞ」
「“もしかして、人間を食べたりしてないよな?”って顔をしてたじゃない」
「ちなみに聞きたいんだが、食べる機会があったら食べてみたかったりする?」
「んー、折角だし食べるでしょうね。どんなに美味しくても我慢するでしょうけど」
折角だからと言って、人間を食べようとするやつと俺は旅をしていたのか。
エレノアって俺が思っている以上に実はヤベー奴なのでは?
「おい聞いたかデモット。エレノアやばすぎないか?」
「やばいですね。その内“人間の肉!!ウマイ!!”とか言って殺戮を引き起こしますよ」
「俺も食われちまうのか........俺の肉は固くて美味しくないぞ!!」
「デモット、今日の訓練は厳しく行くわよ。後ジークは今日一日私の抱き枕ね」
「「えぇ!!そんなぁ!!」」
上手く乗ってくれたデモットに合わせてふざけていると、エレノアが呆れた顔でそう言う。
というか、一日抱き枕はいつもの事では?デモットの訓練が厳しいのもいつもの事だし。
ノリで絶望してみたが、とくに変わったことは無いよな。
「全く。私をなんだと思っているのよ。食べる機会があったら食べてはみたいけど、率先して食べるわけじゃないのよ?多分、気分も良くないだろうしね」
「魔物も悪魔も、同種を殺すことはあっても基本的に食べようとはしませんからね。おそらく、生命がもつ種としての存続、生存方法なんでしょうね。仲間内で殺しあっていたら数が増えませんから」
「本当に最後の最後の手段ってことか。そういえば、ゴブリンなんかも同種は食わないって話だし、言えてるかもな」
魔物、悪魔、人類。
どの生物も自分と同種の存在は食べようとしない。
ゴブリンがゴブリンを食うことは無いし、人間が人間を食おうとは思わないのだ。
余程死の淵をさまよっていない限りは。
そういう点では、俺達皆同じだと言える。
やはり、種としての本能が優先されているということなのだろう。
「逆に共食いをする魔物とかいるのかしらね?」
「どうなんだろうな?近場に飯がなくて仲間を食う以外に選択肢がない!!ってなったらやるんじゃないか?でも、それは切羽詰まった状態だしなぁ。食うものがあったらみんなそっちを食べるんじゃない?仲間を食っていいことないし」
「共食いをする魔物ですか........俺も聞いたことがないですね。いるんですか?そんな魔物」
「分からないから聞いてるんじゃない。でも、少なくとも魔界にはいなさそうね。デモットも知らないんだし」
「そうだな。デモットが知らないならそもそも存在しないわな」
デモットはこの魔界の博士である。そんなデモットが知らないとなれば、この魔界には存在しないのだろう。
しかし、世界は広い。
俺たちの知らないどこかで、仲間内で喰らいあう存在はどこかにいるのかもしれない。
「まぁ、魔物たちからすればジークさん達の方が余っ程恐ろしいてますしね。レベルの為だけに殺しにくる死神。鎌を見たと思ったら既に首を切り落とされてるんですから」
「俺が魔物だったら俺に会いたくないよ。いやほんとに」
「私も勘弁願いたいわね」
こうして、三人のレベリングは続いていく。
で、ダンジョンくん?そろそろ出てきてくれてもええんやで?
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