爆速レベリング
心理顕現と言う新たな力を手にしたまでは良かったが、これはあまりにも強すぎる。
俺の魂は全ての生命を喰らいつくし、ダンジョンにいた全ての生命を経験値に変えてしまった。
なんなら、身の危険を感じて退避していたエレノアすらも喰らおうとしていた。
エレノアが俺を焼き殺そうとしたように、俺もエレノアを殺そうとしてしまっていたのだ。
最大出力での使用は控えるべきだな。相棒すらも巻き込むほどの威力を持った一撃で最も大切な人を殺してしまったら意味が無い。
もっとちゃんと制御できるように訓練しなければ。手遅れになってしまっては意味が無い。
「ふふっ、そんなに落ち込まなくても別に怒ってないわよ。私も同じようなことをしている訳だしね」
「エレノアが良くても、俺がダメなんだよ。無意識とは言えど、エレノアを経験値にしようとしてしまったのが割とショックだ」
「ふふふっ、私に申し訳なく思うなら、私のわがままでも聞いてもらおうかしらね?今日はジークの胸の中で寝ようかしら?」
俺が若干の罪悪感を持っているからと言って、ここぞとばかりに自分の欲望を押し付けるエレノア。
相変わらずこういう時のエレノアはメンタルが強い。ここで慰めようとせずに、その心を使って我儘を通そうとしているのだから。
まぁ、今日はエレノアの言うことを全部やってあげるとしよう。エレノアが望むならば、できる限りの事はしてあげるつもりだ。
「ところでジーク。面白いほどレベルが上がったと思うのだけれど........」
「あぁ、それはもう楽しいほどにレベルが上がったな。一回の狩りでレベルが50も上がるだなんて初めてだ。レベルアップに必要な経験値は恐らくかなり多くなったが、この段階ならまだまだ簡単にレベルが上がるだろうな」
「今日ばかりはとっても爽快なレベルの上がり方だったわ。私も同じぐらい上がったのだしね」
俺はニッコニコなエレノアの顔を見ながら、自分のレベルを確認する。
レベル51。
それが今の俺のレベルだ。
レベルがリセットされたことにより、またレベルを一から上げ直すことが必要となったが、流石にレベル1で絶望級魔物やら破滅級魔物を倒すとレベルの上がり方も凄まじいらしい。
一回の狩りレベル50を突破したのを見るに、余裕で三桁に戻ることは出来そうだ。
同じレベル1でも種族によって強さは異なるとは知っているが、上位種になっただけでここまで違うとは。
最初からレベリングの効率が違いすぎる。そりゃ、レベル1の段階から強いやつの方がレベルが上がりやすいわな。
たとえ必要経験値が多くなっていたとしても、狩りのしやすさは段違いなのだから。
懐かしいよ。ゴブリン10匹殺してやっとの思いでレベルを一つ上げたあの朝が。
今じゃ、絶望級魔物がゴブリン扱いなんなだから、自分がどれほど強くなったのかがよく分かる。
これがインフレ。レベル300になってレベル上昇も緩やかになりインフレが収まった来たと思ったら更なるインフレ。
これでも世界最強には届かないだろうなと思うあたり、その世界の強者達の壁は高い。
恐らく次の進化はないだろうし、あとはレベル上げを頑張るしか無さそうだ。
「もう一つのダンジョンにも行く?竜のダンジョンならもう少しレベルをあげられるはずよ?」
「いや、それよりも先にウルと戦ってみようぜ。初めて出来た魔術は真っ先に師匠に見せに行っただろう?今回も師にその成果を見せてやらないとな」
師匠と共にすごしていた時は、魔術をひとつ覚えたら師匠に“出来た!!”と言って見せに行っていた。
流石に自分だけの必殺技を作ってきた時は隠していたが、その他は大抵習得したその日に見せていた気がする。
あの骸骨顔は表情が分からなかったが、俺達が強くなると師匠の声色がとても良くなるのだ。
師匠の機嫌の見極め方は、声で判断していたね。
「そうね。確かに教えを授けてくれた人への感謝として、その力を見せるのは礼儀よね。なら、早速見せに行きましょうか。悟りを得た大公級悪魔とどの程度戦えるのかも確かめたいしね」
「だな。一旦帰ろう。そして、報告だ。レベル上げはその後にでもできるしな」
こうして俺とエレノアは、ウルに自らの悟りを見せるために村へと帰る。
あ、そういえば展開していた悪魔くん達が全部解除されてしまったから、また放置狩りの為に作り直さないとな。
悪魔君もこの進化の影響とか受けてるのかな?もっとノリが良くなってたりして。
【レベルリセット】
進化をすると強制的にレベルを1にされる。これは、別種族へと生まれ変わった事による反動とされており、魔物も例外では無い。
しかし、ほぼデメリットはなくむしろメリットしかない。レベルをまた上げやすくなるし、何より元のレベルを参照して進化時の能力(身体能力や魔力量)が強化されるので進化するならできる限りレベルを上げておくと良い。
レベルを失って絶望するのは、ジークぐらいである。
村へと帰ってきた俺達は、早速ウルのいる家へと向かった。
心理顕現を得て、更には進化を果たした為かその辺を歩くだけで何もかもが違う。
以前よりもハッキリと悪魔の気配を感じるようになったし、風や匂いにも敏感になった気がする。
肌の感覚が鋭すぎてちょっと落ち着かない。慣れるまで時間がかかりそうだな。
ウルの家の扉をノックすると、ウルが出てくる。
そして、俺たちを見てニヤリと笑った。
「どうやら試してきたみたいだな。どうだった?」
「最大出力で一切加減もしなかったから、ダンジョンの外まで被害が出たよ。普段使いするなら加減しなきゃダメだね」
「そうね。考え無しに使っていい力ではないわ、あくまでも切り札として考えるべきね。今の私達では、最大出力で戦い続けられるだけの継戦能力が無いのよ」
「ハッハッハ!!よくわかっているじゃないか。これなら油断するなと忠告する事もしなくてよさそうだな。それで、大方私と戦いたいのだろう?」
流石はウル。話が早い。
師匠もそうだが、こういう時の話が早いのは助かるな。今俺とエレノアは、自分の力がどこまで通用するのか試してみたくてウズウズしている。
もちろん、最大出力でぶっ殺すみたいな事はしないが、お互いに加減した状態でどこまで戦えるのかを知りたいのだ。
そんな俺たちの心の中を読み取ったのか、ウルはとても楽しそうに笑う。
「ハハッ!!こういう所はノアにソックリだな。アイツも新たに魔術を作ったから実験台になれとか言って、無理やり私を付き合わせたものだ。当時は鬱陶しい以外の何者でもなかったが、今思えばあれほど楽しい時期もなかったな........」
「転移魔術を覚えたら、またそんな楽しい時間がやってくるよ。今度は、師匠の手料理でも味わってみるといいさ。ちなみに、師匠の入れてくれる紅茶はすごく美味しいよ」
「師匠、何気に手先が器用なのよね。修行していた時に暇つぶしとか言ってマフラーを編んでた時はびっくりしたわ。あの人、元は貴族のはずだからそう言うのは苦手だと思っていたのに」
そういえば師匠って元貴族だったんだよな。あれの何処が貴族なのか全く分からんが。
アレか?地獄の貴族か?それなら納得できるぞ。
悪魔よりも悪魔らしい師匠だからね。弟子の事が大好きで、おふくろに可愛がられて満更でもない顔をしていたとしても、本質は変わらない。
そんな悪魔を飼い慣らしてしまったお袋こそが、やはり一番ヤバイのでは........?
エレノアも懐いているし、なんならリエリーすらも懐いている。ちなみに、マリーは男でありながら女であるちょっと変わったヤツだが、普通にお袋が可愛がっていたはずだ。
多分普通に懐いてる。
剣聖は親父の事を結構気に入っていたし、もしかしてウチの家の人達って敵に回すと1番ヤベーんじゃ。
実は我が家がコネや戦力的に世界最強の一家なのでは無いのか。俺はそんな真理に気づきながら、もう一つのダンジョンに向かうのであった。
後書き。
アルゼンチノルス君はもうしばらく乱獲されます。多分過去一可哀想な子。大体実験台にされてボコられる。
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