夢のマイホーム
遂に夢のマイホームが完成し、俺もエレノアもかなり満足していた翌日。
俺達は、予め見つけておいた場所に家を設置しようという事になった。
ダンジョンが存在し温泉もある素晴らしい立地のあの場所にいえを置いて、ようやく俺達の家は完成するのである。
「うっぷ........気持ち悪い........」
「すまんギルドマスター。空間魔術系統は慣れてないと空間酔いを起こす事を完全に忘れてた。ほら、これで多少は楽になるはずだよ。他の皆もこれである程度は体調が良くなるはず」
「普段私達しか使わないから忘れていたわね。どうしても頭から抜け落ちてしまうわ」
家を設置するにも専門家のアドバイスを聞いた方がいいだろうと言うことで、ギルドマスターと家を作ってくれた人達を呼んだのだが、空間酔いを引き起こして皆仲良くダウンしてしまった。
うーん。完全に忘れてた。
あのオリハルコン級冒険者であるマリーやリエリー達ですら酔ってしまうほどのものなのだから、ギルドマスター達が耐えられるはずもない。
誰かをここに呼ぶ時は、そこら辺を気を付けないといけないな。
特に親父とお袋を呼ぶ時は注意した方がいい。
そんな事を思いつつも、皆の体調を治してやるとギルドマスターは少しふらつきながらも俺達が家を建てる場所をくるりと眺めた。
「いい場所じゃないか。豊かな自然に囲まれた一軒家。御伽噺に出てきそうだな」
「いいでしょ?たまたま良い場所を見つけたんだ。ダンジョンもあって、自然が豊かで人里からはかなり離れているから誰かが不意に訪れることもほぼない。転移で来たから分からないかもしれないけど、ここは森の中でもかなり奥の方にあるんだよ」
「ほー、ダンジョンまであるのか........ん?ダンジョン?」
「そうよ。国にも管理されていないダンジョンね。ほら、そこに入口があるでしょう?軽く見た感じ小さめのダンジョンで、しかもほとんど危険のない素晴らしい実験場だわ。これで周囲の被害を気にする事無く魔術を放つことが出来るわね」
「「「「........???」」」」
“何言ってんだこいつら”と言いたげに首を傾げるギルドマスター達。
普通の家にはダンジョンなんてある訳ないわな。寧ろ、できる限りダンジョンから離れて家を建てようと思うだろう。
ダンジョンは、上手く管理ができないとダンジョンの中から魔物が溢れだしてくるという事もある。
過去には管理されていなかったダンジョンから魔物が溢れ、滅んでしまった街とかもあるのだ。
もちろん、三大ダンジョンもしっかりと管理されている訳では無いので魔物が溢れてくる可能性がある。
今までの歴史の中では起こることは無かったが、だからと言って今後も起こらないという可能性はない。
まぁ、ダンジョンスタンピードとか滅多に起こらないんですけどね。冒険者ギルドの記録によれば、過去に確認されたダンジョンスタンピードの数は二桁も行かないぐらいだし。
しかし、可能性があれば人は心理的に嫌がるもの。
管理されていないダンジョンの近くに家を建てようだなんて、考えもしないだろう。
「オリハルコン級冒険者の頭がおかしいおかしいとは言っていたが、あの武神よりもぶっ飛んでいるな。性に対して寛容的なのはまだ理解できなくは無いが、これに関しては理解出来ん。何を言っているんだ」
「オリハルコン級冒険者ってやっぱりどこかおかしいんだな........あんなに普通そうな見た目をしているのに、人は見かけによらないとはよく言ったもんだよ」
「全くだ。でも、そんな人達の家を作れた事は光栄だな。生涯の自慢話ができたぜ?」
「それは違いないね。私は早速自慢したわ。かの有名な天魔さんと炎魔さんの家を作ったって」
あははと笑いながら楽しそうに話すギルドマスターと、その仲間達。
どうやら彼らにとって、俺達の家を作るという事は自慢話になるらしい。
いいよじゃんじゃん自慢しちゃってよ。変な事を吹き込まない限りは、何を言っても問題ないからさ。
「本来はダンジョンを見つけ次第破壊又は国へ報告しなければならないんだが、オリハルコン級冒険者が管理するとなれば話は違う。今回は見逃すよ。どうせ国に報告したところで同じことを言われるだけだしな」
「あー、そう言えば、国は滅茶苦茶俺達の事を恐れてたな。あの長ったらしい丁寧な手紙はびっくりしたよ」
「軽く脅したらビックリするほど効いていたわよね........私達の噂をできる限り集めてきたのか、貴族が嫌いと知って態々手紙を送ってくるぐらいだし」
「ここだけの話だが、帝都のギルドが本部と連絡を取ったようだぞ?グランドマスターに相談をして、大人しくしていれば基本的には利益をもたらしてくれる存在だからと言っていたらしいな。私にも“ご機嫌は取っておけ”と通達があった。この二ヶ月間で二人の性格も何となくは分かっているから、ご機嫌を取るつもりは無いがな」
「そうして貰えると助かるよ。俺達も下手に下手に出られると対応に困るし、だからと言って高圧的に来られればやり返す。お互い友達ぐらいの距離感が丁度いいよな。時と場所を考える必要はあるけど」
「そうね。そのぐらいが丁度いいわ。下手に気を使わなくて済むしね」
竜の素材を売りまくったら流石にやばいか?という事で軽い脅しを掛けたら、想像以上に国はこの事を問題にしたようだ。
まぁ、ドラゴンをホイホイ倒してくる奴らが“調子乗ったら潰すぞ?”と言ってきたら誰でも焦るか。
俺とエレノアは1人で国を殲滅できるぐらいの力はあるんだし。
今度暇な時に皇帝に会いに行ってみようかな?勝手に入り込んで“皇帝君元気にしてた?”とか言ったらどんな反応をするのだろうか。
そんなアホなことを考えつつ、俺達は家を設置する作業に取り掛かり始める。
ギルドマスター達が計測やら地盤の強度やらを調べ、土台となる地面をどうして欲しいのかを俺に伝え魔術で解決する。
測量には魔術が使われており、専門分野なのでよく分からないが測量士があれこれやっていたのと同じような事をやっていた。
そして、測量と周辺の整備を繰り返しながら土台を作りあげ、遂には家が建つ。
影の中から新居を取り出し、しっかりと地面に固定。
それをギルドマスター達が何度も何度も魔術やら手で確認し、最低限の安全性を確保出来たと判断した所で家の設置は終わったのである。
「これなら問題ないだろう。おめでとう。これが二人の新しい家だ。庭にダンジョンがある家とは中々に斬新だが、こうして見ると悪くないな」
「ありがとうギルドマスター、皆。お陰で随分と理想に近い家が建ったよ」
「そうね。私が想像していたよりも素晴らしい出来だわ。後もう1件を建てる時もお願いしてもいいかしら?」
「もちろんだ。私達が作った家なのだから、最後まで責任をもって作り上げる。それが建築家としての最低限の心持ちという物だ」
遂に完成した俺とエレノアの拠点であり、帰る場所。
まだ来賓用の家が残っているのでそれを建てたら完璧だが、一先ずはここが俺達の家となる。
今から色々と弄るのが楽しみだな。取り敢えず家の管理をしてくれる魔術は作ったし、彼らを配置するとしようか。
でも、その前にやるべき事がある。
俺は影の中から様々な食材と、海の街で見つけたバーベキューセットを取り出すとニット笑ってギルドマスター達に告げた。
「新居祝いにご馳走するよ。酒は無いけど、今までに食べたことも無い様々な物を食べさせてあげる」
「いいわね。私も手伝うわ。初めてのお客様ね」
「いいのか?なら、お言葉に甘えさせてもらうとしよう。みんな、今日は休みだ!!天魔殿と炎魔殿がご馳走してくれるぞ!!」
「「「イェーイ!!」」」
こうして、俺はギルドマスターとその建築仲間達と共に、バーベキューをして楽しむのであった。
肉ならええやろと思ってブラックドラゴンの肉も出したら、ギルドマスターに“は?討伐したのか?”と呆れられたが。
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