転生したので神になろうと思います

シトロン石見

プロローグ

(最新巻、手に入れたぜ!)


  俺は数ヶ月ぶりに家を出た。漫画の最新巻を買うためだ。俺は重度の引きこもりだ。俺は今、高校2年生ということになっているが、1年のときにいじめにあった。俺には幼馴染がいるのだが、彼女は学校一、いや世代一の美女なのだ。そんな彼女と、なんの変哲の無い陰キャの俺が一緒にいたら、そらゃ虐められるわけだ。それからというもの、俺は彼女と関わないようにした。それでもイジメは続き、俺は立派な自宅警備員へと化したのであるだ。

そんな俺でも外出しなければならないこともある。それがある漫画の最新巻を購入するということだ。この漫画を買うときだけは外出している。まあ、それも勇気のいることなのだが。

  そして俺はついに、最新巻を手に入れることができたのだ。正直、だいぶ浮かれている。なにせ半年ぶりに人と会話したのにも関わらず、購入できたのだから。


(おっ。前の子、結構可愛いな。俺好みって感じ。)


  やはり家から出るとメリットもあるよな、3次元の可愛い子を生で見ることができるという点では。


(でも、何か暗いな。誰にでも悩みの1つや2つはあるか。)

(ん?今、信号赤じゃないか?)


  よく見ると、その女の子は赤信号の横断歩道を渡ろうとしている。と、俺は無心でその後のもとへ走る。


「危ない!」


  俺は急いでその女の子の手を引く。そして思いっきりその子を歩道に突き飛ばす。

(あっ…。)


  俺は気が付いた。俺の右側からトラックが近づいてきていると。次の瞬間、


「ドカーン!」


  ものすごい音を立てて、トラックは俺に追突した。


(ああ…。死ぬなこれ。ただの引きこもりという無能が有能な人間を救えたし、いいか。どうせそろそろ死のうって思ってたし。)


 助けた女の子が側によってきて、なにか言ってる。


「死なないで!死なないで照くん!せっかく再開したのに。死なないで!」


 俺はそれを聞いて、思い出す。


(お前は結以じゃないか!)


 そう、彼女は俺がいじめられる原因となった幼馴染だった。俺、あんな酷いことしたのに愛されてるな。なんかもう、悔いはなくなったな。あるとすれば結衣に謝りたい。俺の都合で傷つけてしまったから。

  段々と意識が遠のいてくる。結衣が泣いている。そんなに悲しまなくてもいいのに。ごめんな、結以。 こうして俺は16年の短い人生を終えれはずだった…。

____________________

「大丈夫ですか?」


 目を開けるとそこは俺の知らない場所だった。


(あれ?俺って事故にあって死んだはずでは?)


「その通りです。あなたはあちらの世界で死んでしまいました。」


  声がしたほうを向くと、とてつもない、地球上にこれ以上綺麗な人はいないような美女がいた。


(き、きれい…。)


  つい、俺は見惚れてしまった。キラキラと輝く銀髪に、宝石のような青い瞳。もしかして地球の人じゃない?地球にこんな美女がいたら有名になるもんな。じゃあ誰だ?この人は。


「きれいだなんて…。そ、それよりも、あなたは儚くも死んでしまいました。」


  そうだ!俺は死んだはずだ。なぜまだ生きてるのか?というかここはどこだ?


「ここは神の世界。いわゆる神界ってやつですね。」


 あれ?俺、声に出してないよね。というか神界って何?じゃあこの人は神ってこと?


「その認識であってます。私は高位の女神なので心を読むことなど容易いのです。」


  なるほど。では俺になんの御用で?わざ

わざここに呼んだということは何か話があるのでしょう。


「察しが良くて助かります。あなたに提案があるのです。転生、してみませんか?」


  おお。転生か。前世ではラノベも読んでたし、折角ならしてみるか。


「転生したいです。」

「まあ落ち着きなさい。あなたに提案があるのです。今、神界ではあるゲームを行っているのです。各世界に5体の強敵を用意して、各世界の神は2人プレイヤーを選出します。その2人にその敵を倒させます 全ての敵を一番早く倒した世界の神が次の総合神になれるというものです。」


  なるほど。神の世界も面白いことしてるな。その話を俺にするってことは…、


「あなたにそのゲームのプレイヤーになってほしいのです。もちろん報酬は用意します。もし私が一番になれたのなら、貴方を神にしましょう。神になれば良いこと尽くしです。」


  やはりな。どうせ転生するんだ。その話、乗った!


「ありがとうございます。もう一人は私が見繕っておきますね。まあ仲間を増やしてもいいですが、それなりのレベルの仲間じゃないと困りますよ。それではいってらっしゃ〜い。」

「えっ、ちょ、ちょっと待って!いきなり過ぎない!」


  その瞬間あたりが光に包まれた。

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