影泥棒

 良く晴れた日。


 街に影泥棒が出た。


 影は音もなく盗まれて、誰も気が付かなかった。


 しかし学校で、会社で、街中が一斉に異変を感じ始める。


 みんなが明るい。


 自分も明るい。


 心の影が、綺麗さっぱり消え去っていた。


 影泥棒は両手いっぱいに抱えた影を、大きく広げて空に干した。


 晴れ晴れしい笑顔の影泥棒。

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