胸の熱
引き留める手を振り解いてまで、自分の保身のためだけに私は貴方の前から去った。
それなのに、こうして貴方を捜してこの街へ来ている。
どこまでも自分勝手な私は、この胸に感じた熱を恋だなんて思ってしまったけれど、訪れたのは暖かい春なんかじゃなかった。
これは凍える冬へ向かう、寂しい秋だった。
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