何もない

 大切な人を亡くして、あてもない旅路。


 癒やされたい訳ではなかった。


 どうしたらいいのか分からなかった。


「あんた一人かい? 観光って感じじゃないね。ここは何もないけど、綺麗なとこだから、ゆっくりしていきなよ」


 自分にはもう何もないのだと思っていた。


 でも、救いがない訳ではないのかも知れない。

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