愛していた

「元彼はどんな人だった? 優しかった? 愛していたの?」

 電車で真横に座った男が不躾に言う。

「何でそんなこと聞くのさ」

「いいだろ、教えろよ」

 顔をよく見ると、それは元彼だ。歪んだ顔が迫る――と、そこで目が覚めた。

「夢にまで出て来んなよ。面倒くさいな」

 女は重い腰を上げて、死体を袋に詰めた。

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