立ち向かえ

 そこには風の神がいた。

 それは辺りを自由に吹きすさぶ。

 誰にも捕まえることなど出来ず、誰にも止めることなど出来ない。

 ある者が、山の頂に立ち願った。

「どこか彼方へ連れて行って」

 風の神は荒々しく舞い降り、吐き捨てた。

「風に願うな。お前が向かう所などお前次第だ。誰が連れて行く。誰が止める」

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