二度と戻れない世界
「昨日初めて買った小説が最高だったんだ」
と言う割には表情が暗い。
「何で落ち込んでんだ?」
「俺もその世界で一緒に人生を歩んでると錯覚するくらいのめり込んだんだ」
「良いじゃん」
「読み終えてしまったんだよ」
「なら読み返せば?」
「それはもう過去なんだよ。俺は一人取り残されてしまったんだ」
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