天使

「天使って、見たことある?」

 彼女は見透かしたように言う。

「僕は……見たよ、天使」

 彼女がじっと見つめるせいで、僕は彼女の方を向けない。

「ふぅん。今はどこにいるの?」

「どこって……今」

「私の目の中にいるかも」

 ドキリとして振り返ると、彼女の瞳には僕が映った。天使の顔して笑う彼女は悪魔。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る