落ち葉

「博士、何故研究を辞めてしまわれたのですか」

 博士は黙って外の木を見つめている。

「あの研究は、博士の人生そのものだと言っていたじゃないですか」

「……あの木は、妻と知り合った頃に植えたんだ。研究は彼女を繋ぎ止めておく為に始めたんだ」

 枯れ木の足元で落ち葉が一枚、風に耐えるように揺れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る