第12話To the next!

翌日

俺とステラさんは銀貨を携えてアリスラさんの工房を訪ねていた

「完成したよ 楽郎」

「これが」

日本刀のような見た目だが反りが浅い

「光の適性があれば使いこなせるだろ」

「そういえばヴィスターブは風の魔具<ガイスト>でしたよね

こっちのほうが手に馴染むような

適性って魔具<ガイスト>にも?」

「あるよ」

「光の適性なら

光と火と風の魔具<ガイスト>が使いやすいはずだよ」

「この刀からは火と風と光 3つの力を感じるわね

大盤振る舞いね」

「そりゃ気に入った男にはいいもん作るさ

100銀貨だよ」

「ここに」

俺が銀貨100枚を手渡す

この刀ならブラック・シープの角でもきれいに切れそうだ

「確かに

他に用件はあるかい?」

「俺のハーレムに加わってください!!!」

言ってしまった

ステラさんもいる前で

だがそれでも俺は

「ハーレム?

何だいそりゃ」

「え 

えっとハレームっていうのは1人の男性に」

「あたしは職人だよ

もっと花のある女を選びな」

「そんなことないです

アリスラさんは女性として」

「断る」

「分かりました」

仕方ないだろう

文無し旅生活の俺にアリスラさんが付いて来たいわけがない

工房だってないんだ

「アリっさん」

ヘスさんも驚いている

「すいません ありがとうございました」

「あぁ 魔具ならいくらでも作ってやるさ」

俺とステラさんは工房を出る


仕方ないか

「楽郎 ほんと見境ないわね」

「すいません でも俺はステラさんだけじゃなく

自分の欲に嘘をつきたくない」

「正直過ぎて逆に応援したくなるのよね」

「いいんですか」

「だめよ」

「今の流れでも!?」

「でも一時的に他の女性と一緒にいるのはいいと思う

私と2人の方がいいって分からせてあげるから」

ステラさんもこじらせてるというか

いや俺にとっては好都合なんだけどな


アリスラの工房

アリスラとヘスが店の片付けをしている

「アリっさんいいんですか

楽郎くんとの旅

一緒に行かなくても後悔しないですか」

「あいつらがいいやつのなのは

分かってるよ

でもあたしには工房がある

店がある

色々背負ってるものがあるんだよ」

「でも楽郎くんのこと嫌いじゃないんでしょ?」

「バカ 職人は技術と結婚してんだよ」

「それに背負ってるものは全部私に渡せばいい

アリっさんのあれ

楽郎くんの旅に必要なんじゃない」

「あんなもん使えたもんじゃないよ

一流の職人がいなけりゃただのガラクタさ」

「まぁいいよ

アリっさんが決めることだし

店は私1人でもやってく」

「乗っ取る気かい!?」

「じゃーん

店の評価額と同じ金貨がここにあります」

「ったく そんな生意気に育てた覚えはないんだけどね」


翌朝

「アリスラさんはだめだったけど

それでもこの刀は共に」

俺とステラさんは次の街へと歩みを進める

ステラさんによると次の街で俺に魔術を習得できる機会を与えるとのことだ

段々この旅は俺の花婿修行になってませんかね

まぁ ありがたいんだけどな

「よぉ あんたら」

後ろから女性の声がした

「あなたは」

「私はアリスラ

昨日の夜 店を乗っ取られちまってね

街の外にあるあるものと一緒に仲間に入れちゃくれないか?」

「っ!!!

もちろんです!!!」

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