第71話 任意同行又は逮捕

 俺は今、警察署に居る。

 今日の朝、伸二さんの家に警察が来て、任意同行を要求された。前もって伸二さんに色々と注意されていた為、すんなりと任意同行に応じる事が出来た。ただ一つ気掛かりなのは、警察が任意同行を求めてくるまでに時間が掛かったことだ。これについては、伸二さんに聞かないと分からない。

 取り調べ室でボーッとそんな事を考えていると、40代ぐらいの男二人が部屋に入って来た。その内の一人は、扉のすぐ横にある椅子に座り、紙とペンを机の上に取り出した。もう片方の男は俺の目にある椅子に座り、机越しに話しかけてきた。


 「君が鬼堕 俊隆君だね?さて、今回の事件について担当直入に聞くが、4を殺したのは君か?どうだね?」


 あぁ、こいつもだ。こいつも相手が未成年だからって、俺のことを下に見てやがる。それに、おそらくだが、扉の近くで書記をやっている男もグルだろう。どうしようか。


 「いえ、私が殺したのはの男、一人だけです。」


 「犯人?ああ、真壁 流也さんのことか。彼、君の父親と同じ会社に勤めてたらしいね!それも同僚だって?仲が良かったんだねぇ!」


 「まぁ、そうですね。」


 「だけどね?君もだけど、彼が犯人だって証拠がんだよ!証拠が!今の時点では、君の方が犯行動機として、何かあり得そうなんだよねぇ!例えば、家族に対して恨みがあったとか。カッっとしてやっちゃったとかね?違う?」


 証拠が無い?何故だ?伸二さんが言うには、撒かれているガソリンとか靴の足跡が証拠になってるんじゃなかったのか?それが無い?

 あり得ない状況にびっくりしながら、証拠が消えた理由を考えていると、相手は沈黙をしていると取ったらしく。


 「何か、心当たりでもあるのかな?最近の未成年に多いんだよね。感情のコントロールが出来ないのか、感情のままに行動する奴。そんなの馬鹿だよ馬鹿!」


 「本当に証拠が無いんですか?撒かれてたガソリンは?指紋を調べたら色々出て来たんじゃないんですか?」


 「チッ。うるさいんだよ!!お前が犯人なんだろ?俺に時間掛けさせんなよ!!これだから、社会を知らないガキは嫌いなんだよ!ガキは黙って大人の言う事を聞きやがれ!!」


 さっきまでの雰囲気とは一変、俺に対して怒鳴り散らかしてきた。これがこいつの本性なのだろう。それにこれは、圧迫面接と言うものでは無いのか?警察も腐ってるな。

 扉の近くに居る警官に視線を向けるが、一切こちらを見ない。


 「ああ?はっ!助けを求めたって無駄だぞ?あいつもグルだからな!分かったらサッサと自白しろ!!俺だって忙しいんだ!!」


 それから4時間近くもの間、警察官からの自白を促されたが、俺は耐えきった。

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