大好きなあの子は俺(私)を嫌ってるはずの幼馴染み
零
近づきたくて
第1話①
俺、
昔は仲良く遊べてたはずなのに、気づいたら全然話せなくなってしまった。どうしてそうなってしまったのか分からないけど、離れ離れになって俺は自分の恋心を自覚した。
彼女はクラスの人気者でいつも朗らかに笑っている。けれど、俺にだけは一度も笑ってくれなくなった。それどころか目を合わせてもくれなくて、話しかけても怒ったようにそっぽをむかれてしまう。
彼女が俺のことを嫌いなのは分かる。無自覚に彼女の嫌がることをしてしまったのだろう。できることなら彼女に謝って、もう一度笑顔を見たい。昔みたいに仲良くなって、最終的には恋人に……。
それが高望みだということは分かっているけどそれが俺の唯一の願いだった。だから、俺が舞い上がるのも仕方ないと思う。およそ一年前の彼女の誕生日に【誕生日、おめでとう】と送ったきりになっていたメッセージアプリに一通の通知が入っていたことは。
【明日の放課後、相談に乗ってもらえないかしら。5時に体育館倉庫の方に来て】
たったそれだけだったけど俺はすごく嬉しかった。もしかしたらもう一度きちんと話せるようになるかもしれない。そのチャンスが降って湧いたんだ。絶対にモノにしてみせる!
…それに、彼女は知らないかもしれないけど俺たちの学校には一つの伝説があって、体育館倉庫で告白をしたカップルは結ばれる、みたいだ。
俺たちはカップルではないけど、もし上手く彼女の悩みを解決できたら告白も……。失敗してもどうせ失うものなんて無いし。成功したら彼女を思いっきり抱きしめて、もしかしたらキス、なんかもできるかも。
「アァーーーー」
「うっさい、お兄!」
俺が恥ずかしい妄想に悶えていると妹の
「…とりあえず、シャワー浴びよう」
俺は敢えて口に出して浴室へ向かっていった。そこで煩悩を払い落として、ある一つの決意を固めた。
「俺は明日、絶対に告白するぞーー!」
言葉に出すことで俺は自分の退路を絶った。そうして清々しい気分で浴室を出た。そして、脱衣所で寝巻きに着替えてから扉を開けると風呂が空くのを待っていた香織からサムズアップされた。香織はそのまま俺の横を通っていったけど、俺はしばらく動けなかった。
……これでいいんだ。俺は余計に逃げられなくなった。背中を押してもらえたんだ。けどな、それでも、…どうして大声で叫んだんだよ、俺!馬鹿なのか!浮かれすぎだろ!
「はぁ〜。とりあえず返信しよう」
俺は妹からのエールに感謝2割、羞恥8割の心境だった。俺は彼女にたった一言【分かった】とだけ返信した。
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