ミステリアスなみすてり明日奈
森ノ内 原 (前:言羽 ゲン
一話 ミステリアスな友達
その人は、私にとって近くて届きそうなんだが、自ら歩み寄ろうとすれば遠くに感じて届かなくなる存在だった。
私、三原あみは普通だ。私の通う大学には、私のような人が沢山いる。
量産型な人間というわけではない。
流行に乗った大学生達とは違い、どこにでも居そうな年相応な性格、見た目である。そして日常生活も何ら支障などなく過ごせている。
そんな私には、少し変わった…いや、少しではない。
先程言った通り、私にとって近くて届きそうだが、自ら歩み寄ろうとすれば遠くに感じて届かなくなる存在の人がいる。
私と同じ年齢、私と同じ性別、そして私と同じ大学に通う一人の友達。
友達と言っているが、なんだか隣にいるだけで、一目置かれるような人だ。それはよくキャンパスライフの中で目撃している。
その人の名前は……
「あっ!明日奈ちゃん。おはよう」
私が向かう講義の教室へと向かう最中、その人に出会った。
『白衣
「あ、おはよう。あみ」
本当に同じ性別とは思えない程に、なんというか、かっこいいような、美少年と勘違いしてしまうようなキレイな声質。
恐らくその声だけでも、私と同じ年齢の女性をターゲットにして電話をしたら、まんまとイケメン男性に違いないと引っ掛かってしまうボイスをしている。
その声も相まってか、その姿も一見達観した美少年か、だが見方によっては仕事を上手くこなす、上司になったら後輩からの信頼を獲得できるであろう年上女性の先輩にも見える。
とにかく明日奈ちゃんは、とても同い年に見えない女子大生なのだ。
「今日も空いてるといいね。いつもの席」
「うん!早めに来て待機しておこっか!」
「そうだね。ところで、今日なんか荷物沢山持ってるじゃん。また景品ゲットしたん?」
私が左手に持っている巨大な白いビニール袋の中に3個ほど景品が入っており、それに指を刺した。
今日の昼からの講義を受ける前に、時間稼ぎにゲームセンターで遊んでいた。その時にゲットした二次元キャラクターのフィギュアを袋の中に入れている。
「あー、まぁね。えへへ」
私はアニメ好きな大学生である。だから気になったアニメキャラクターのフィギュアをつい視界に入ってしまった為に、夢中でゲットしたのだ。
「そっか。あみ好きだもんね。アニメ。今日はどうだったの?」
『はぁ〜明日奈って何でこんないい声なんだろ』
聞き惚れててしまうような声質に、つい明日奈の質問を忘れてしまいそうになった。
「え?あっ!えーと、今日は…下の上かな?あぁんまりぃ〜収穫出来なかったよぉ」
どうしよう…今さっき明日奈の声に聞き惚れていて変な表情になってなかっただろうか?もしなっていたらバレていないだろうか?
そんな事考えてしまった。
「へぇー、そっかぁ。あっ、もうすぐで教室開くね。行こ」
私は、さっきの表情変になってなかったかを気にしていた。だが、この感じだと恐らく変な表情にはなってなかったのだろう。
まぁ、そうなっていたとしても気づかれなかったのだろう。
私は少し安堵する。
「そうだね。行こっか」
そして私達は講義に向かうのだった。
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