ホタル、パソコン、太陽系
「ようやくここまで来た......このデスゲームが始まって一週間、何度も死線を潜り抜けてきた...ラストゲーム、絶対に俺が勝って賞金を手にしてやる!!」
◇◇◇
『お二人ともお揃いですね? それでは只今より始めさせて頂きます、ファイナルゲーム開始です!!』
(こいつが俺の最後の対戦相手か...眼鏡かけてて聡明っぽさがある...流石ここまで生き残っただけあるな...でもやってやる!!)
「お前か...俺の最後の相手は」
「はい、そういう事になりますね」
「眼鏡なんかかけやがって、よく今までのゲームで割れなかったな」
「ああ、これレンズ入ってないので」
「レンズ入ってないんだ!? 伊達メガネ以下じゃねぇか!」
「既にここから心理戦は始まってるんですよ、貴方は今このメガネによって私を聡明なキャラだと認識したようですが、それは違う...さぁ貴方はこの最後のゲームで私に騙されずに居られるかな?」
「な...なんだこいつ...めちゃくちゃ回りくどい言い方で自分が馬鹿ですって自己紹介してやがる!? よく今までのゲームで生き残れたな!?」
「早くゲームを始めてください、ムズムズしてきました」
「ウズウズじゃなくて!? トイレ我慢してるみたいになってるぞ!?」
「ええ、もう漏れそうなので早くしてもらっていいですか?」
「先にしてこいよ!! 命かかってんだぞこのゲームに!!」
『それではお二人にやって頂くゲームのルール説明を行います』
(よく聞いておかないとな、これまでのゲームの性質からして必ずどこかに抜け穴があるはずだ!)
『ファイナルゲームは、お二人の運と知識を試す内容となっております』
「運と知識...略してうんち...って事ですか」
「黙れよ!! ゲーム始まる前にぶっ殺してやろうか!?」
『ゲームの名前は題して───早押しクイズ!』
「は?」
『これから出題するクイズに五問回答できた方がこのデスゲームの優勝者となります』
「いや待て待て!! デスゲームだよなこれ!? テレビ番組出てるんじゃねぇんだぞ!!」
「ク...クイズ? 初めて聞くゲームだ...」
「クイズ知らないで育ってるやつ居た! そんなやつ存在するんだ!」
『回答を間違えると今座っている椅子に電流が走る仕組みとなっています、試しに一度流してみましょう』
「......は!? 痛だだだだ!!!! おい!!」
『と、このようにダメージを受けるので慎重に回答してくださいね』
「待て待て! 今なんで俺だけに流した!? 嫌がらせのつもりかよ!!」
『では早速、第一問!! 地球から見た時、一番大きく見える太陽系の惑星は何か!?』
「人の話聞けよ!! つか問題簡単過ぎるだろ!! 太陽だ太陽!!」
『ぶぶー不正解です!! ペナルティとして電流を流します!』
「痛ッッダダダダダ!!! さっきより威力強いんだが!? つか間違いなのか!?」
『太陽は惑星ではありません』
「え、あ、そうなの!? 要らねえうんちく手に入ったわ!!」
『さぁ解答権が移った! 答えをどうぞ!』
「フッ、こういう事もあろうかと天文学を嗜んでおいて正解でした、ズバリ答えは太陽系の中で最も体積の大きい木星です」
『ぶぶー不正解です!! ペナルティとして電流を流します!』
「あばばばばばッ!!! おい!!何で俺に電流流してんだ!? 間違えたのこいつだろ!?」
『ああ、すいません間違えてしまいました』
「てめえが電流に焼かれろ!! 分かった分かった!! 答えは地球だ!!」
『ピンポン大正解!! 地球から見たら一番大きいのは地球に決まってますよね、では二問目です、ホタルには光らない種類も存在する、イエスかノーか半分か』
「え、半分か!? なに半分かって!? ガキの頃しか聞いたことないんだけど!!」
「ズバリ、イエスです!」
「うわ突っ込んでたら先越された!!」
『イエス!大正解です!! 続いて第三問!! リモートコントローラーの略はリモコンですが』
「急に引っ掛けクイズにし始めたな...最後まで問題聞いておかねえと」
『エアーコンディショナーの略は───』
「ズバリ、エアコンです!」
「まじか、また先越されちまった! 」
『エアコンですが』
「おし! 来たぞ、まだ問題終わってなかったのか!! 痛たたたたた!!!だから何で俺に流すんだよ!!」
「パーソナルコンピューターの略はパソコンですか」
「......」
『......』
「...あ、ですか? 今ですかって言った!? はい、そうです!!答えはそうです!!」
『ピンポン、正解です!』
「気持ち悪っ、なんだ今の引っ掛けクイズ、マイクガビガビで聞き取り辛いんだよ!!」
『第四問!! イエス・キリストを裏切った使徒の一人の名前はユダである、イエスかノーか』
「いや...え、イエス?」
『ぶぶー、不正解です、イエス様ではありません、イエス様を裏切った人です』
「いてっ! 何かもう痛みにも慣れてきたわ!! つか合ってるだろ今の! 何勝手に都合のいいように解釈してんだお前!」
「ふむ...今の二択、外したのは大きいですよ、ズバリ答えは、はいそうです!」
『大正解です! 別にイエスかノーで答えてくださいとは言ってませんからね!』
「クソみてえな引っ掛けクイズだな!! 確かに言ってなかったけどさぁ!」
『では五問目です、2の40乗は?』
「こ...ここに来てシンプルかつクソ難しい問題出してきたな! 解けるわけねえだろこんなもん!!」
「フッ解けない...ですか、答えは初めから提示されていた、貴方はそれに気付けなかっただけです」
「? 何言ってるんだお前、まさかレンズなしメガネのくせして計算がめちゃくちゃ得意なのか!?」
「いえ、全く」
「だろうな!!今から計算するんだからどっか行ってろよ!!」
「このゲームには必勝法があるという事をお見せしますよ、ゲームマスター、私の答えはズバリ、分かりません!!です」
「お、お前...どうせ電流流されるのが俺だからってそんなクソみたいな解答を!!」
『ぶぶー不正解です! しかし今ファイナルゲームの勝者が決定しました!』
「どっどういう事だ?」
「貴方の負けと言う事ですよ、初めに説明されていたでしょう、勝利条件は『五問回答をした方』だと、つまり回答の正誤は関係ない」
「な...じゃあ電流を流してたのは...」
「下手に回答されない為のカモフラージュといった所でしょう、そして先に五問回答したのは私です」
「いやお前の電流全部俺が食らってたんだけどね!? だが...クソっ俺の負けか...ちくしょう!!」
『優勝した貴方にはお金で買えるものならばどんなものでも一つ差し上げましょう、優勝賞品です』
「そうですねぇ、では───」
「替えのズボンを下さい」
「漏らしてたのかよ!!通りでずっと臭かったわけだわ!!」
◇◇◇
その後、電流を流され続けた彼はゲームマスターから『電流流し過ぎちゃってごめんね』と言われ解放された。
紆余曲折を経てメガネとコンビを組んでクイズ大会に出場したが普通に予選落ちしましたとさ。
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