【勤勉たれ】

 何があっても仕事を休むな。その言葉だけが父の記憶だ。

 世界を飛び回る彼とは、幼少以来会っておらず、顔も忘れた。

 ある日、父危篤の知らせが親戚から伝わる。

 会社を休み、病院へ。


 しかし病室には誰もいない。

 まさか、もう。


「何があっても休むなと言っただろ」


 振り向くと、なぜか我が社の社長がいた。

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