【さよなら】

 流行りの映画を面白いと感じない。

 そんな時に悲しくなるのだと、昔の彼は言った。

 そんな彼の描く作品が、大好きだった。誰の評価も得られず、闇の中で寂しげに咲く一輪花。

 今やその彼も一流作家。世界から賞賛を浴びる男は、きっと近頃の流行を楽しんでいることだろう。

 もう、私が知る由も無いけれど。

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