しまこちゃんは鬼だね

「おれさ、葱買ってくるよ。買い忘れたって言っていたでしょ?」


「あ、うん、ありがとう」

 しまこは麻婆豆腐の葱を買い忘れていたのです。


 夫くんが葱を買ってきてくれて、しばらくしてからしまこはつぶやきました。

「オレンジジュース飲みたいなあ。100%のやつ」

 しまこはちょっとだけ風邪気味だったのです。

 風邪気味だと、果汁100%のジュースが飲みたくなるのです。


「おれ買ってくるよ」


「え?」


「まだ、スーパー開いているし」


「いいよ。だってさっき行ったばかりじゃない」


「だいじょうぶ。おれ、頑張らないと、しまこちゃんに嫌われちゃうから」


「あ、そう、じゃあ、よろしく」


 買ってきてもらいました。



 夜、次男といっしょに洗濯物を干しておりました。

「しまこさー、正直、ジュース買ってきてもらうより、洗濯干してほしかった」


「しまこちゃん、鬼だね。父くん、かわいそう」(次男)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る