じょしせき

次男が小学生のころ、「助」という漢字を教えていた。


訓読みの「助ける」はいいけれど、音読みの「じょ」はあまりぴんとこないようすだった。


「救助」いや、そもそも「救」の字を習っていない。

「助手」! いいじゃない、「手」はもう習っている。


「『助手』の『じょ』だよ」


「じょしゅ?」


「何かをするときに、助けとなるひとのこと。ほら、『選手』も『手』がつくでしょ?」


いまいち分からないようす。

しまった。漢字はいいけれど、言葉が難しかったか……。


「あ! 車の運転席の隣は『助手席』でしょ? あの『助手』だよ!」

我ながらいいことを思いついたと思った。


しかし、次男は首をかしげて言った。


「え? 運転席のとなりは、『じょしせき』でしょ?」


「は?」


「男子女子の、女子。『女子席』!」


「は? じゃあ、後ろの席は?」


「『子ども席』!」


「えーとじゃあ、一番後ろの席は?」


「『おじいちゃんおばあちゃん席』!」


ある意味当たっている。


確かに、夫くんが運転するとき、わたしが隣に座っている。

ゆえに「女子の席」。なるほど。

子どもたちはいつもその後ろの席。祖父母が来たときは、一番後ろの席。なるほど。


もう、運転席の横は「女子席」でいいかな?


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