第3話
卒業式が終わり、いったん教室へ戻った後、
「それでは皆さん。卒業しても頑張ってください」
クラス担任が簡単な挨拶を述べてから解散となった。
「じゃあな!」
「おう、また明日」
ついつい坂田がいつも通りに告げると、長山は笑顔でツッコミを返してくる。
「いや、明日は会う用事ないだろ。明日どころか、しばらくの間ずっと」
「ああ、そうだったな」
苦笑する坂田。
長山が明日から自動車教習所の合宿に通うという話は、だいぶ前に聞かされていた。春休みの間に運転免許を取得して、さらに自分の車も買う予定らしい。
全てはマミとデートするためだろう。合宿免許にしろ自動車購入にしろ、結構な大金が必要なはずだが、長山は「前々からインターネットで小遣い稼ぎをして、かなり貯まってきたから大丈夫」と言っていた。
校門の前で長山と別れて、一人になった途端、坂田は大きく溜息をついた。
「はあ……。こんな
親友のウキウキワクワクした顔を思い出すだけで、激しい罪悪感に襲われる。
「どうしよう? 今さらネタバラシも出来ないよなあ」
長山が恋人と思っているマミは、実は架空の存在。メールもラインも電話も、長山の相手をしてきたのは、全て坂田だったのだ。
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