弓チョコの告白(エッセイ)
弓チョコ
第1回 アーチェリーが好きです
出会いは大学に入学したての時。
4月辺りって、新入生歓迎集会がどこの部活、サークルでも盛んに行われていて、私も例に漏れず色んな所から声を掛けられました。
色々見たりしながら、サークルではない部活の見学もいくつか経て。
試し射ちやってますとの看板を発見。
面白そうだと、入学式の時に知り合った子と向かいました。
そう、アーチェリー場へね。
そこから、マイナースポーツ特有の新入生に対してクッソちやほやして何とか入部させるムーブ(高校時代ハンドボール部だったので経験あり)をかまされながら、試し射ちがクッソ楽しくて。一瞬で入部を決めました。
これが私とアーチェリーとの出会いですね。前半の部分要りませんね。
私のアーチェリー部入部からの退部してからの社会人チームでのすったもんだもいつかエッセイにしたいと思ってますが、それはまた別の機会に。
さて本題。アーチェリーのどこが好きなのか。
この競技は、射的競技と言われています。
的に射って当てる競技です。
何かが思い通りになるということに対して人間が快感を得るということは、皆さんももうご存知だと思います。
すとーんて。50メートル先ですよ。
すかーんて。ど真ん中ぶち当たるんです。
クッソ気持ち良い。
射的競技とは、いかに同じように射つかです。
『A』という射つフォームがあったとします。それを使って射ちます。矢は的から少し右にズレて当たったとします。
次に、狙う際、先程ズレた分だけ左に狙いを定めて、同じ様に『A』フォームで射ちます。
すると、ど真ん中に当たります。
そういう原理です。分かりますよね。『全く同じ射ち方』を『毎回できる』のなら、『狙いを調整する』だけで『毎回同じ所(真ん中)に当たる』訳です。それを、『Aを使っても真ん中に当たらないからBを使う』というのはもう、どうすれば良いのかぐちゃぐちゃになる訳です。確かに最初は色々試すべきですが、理想は『何百回やっても安定してて怪我しない射ち方』です。それを見付けるのが近道です。今の射ち方が『毎回同じにできているか』が大事です。
単純でしょう? でも難しいのです。それぞれ、腕の長さや骨格、筋肉が違いますので、『自分に合った射ち方』というのは自分専用でオーダーメイドなんです。それを探すのが練習です。そして見付けてから『毎回同じようにする』のが練習です。
問題は、プレイヤーが『人間である』ということ。
体調。呼吸。筋肉の動き。微細な振動。精神的動揺。……『毎回同じ』を妨害してくる厄介なイレギュラーが『人間』なのです。
じっとしようとしても、震えません? 指とか。
『本当に毎回同じ動き』って、基本的に無理なんですよ。人間だから。
人間って、狙いの邪魔なんです。
ボウリングの経験はありますか? それです。ストライク取ったことありますか? それです。『毎回同じように』投げられれば毎回ストライク取れる筈……なのに。難しいでしょう?
弓と違って、銃ならその点、イレギュラーが少ないんです。スナイパーライフルなら安定させるために地面に立てたりするでしょう? スナイパーは寝転がったりするでしょう? あれ全部、『毎回同じ』の為。弓は全てが自分の筋肉による動きなので、『毎回同じ』の難易度が高いのです。だから銃の発明は革命的だった訳ですね。訓練をせずともいきなり強い兵士を作れる訳ですから。いや銃も訓練は必要ですが、同じ精度で射てるようになるまでの弓の訓練と比べれば雲泥の差です。
アーチェリー部入るじゃないですか。
弓具を買います。20万くらいします。エグ……。
怪我しない射型の修得と体作りに1ヶ月です。
自分の弓を引けるようになるまで2ヶ月です。
射てるようになるまで3ヶ月です。
競技できるようになるまで4ヶ月です。
試合に出られるようになるまで5ヶ月です。1年生最初の試合が8月でした。
私の大学では基本的にそんな感じでした。この辺は指導者によって違うかもしれません。
飽きますよ。だってアーチェリーしたくて入ったのにひたすら身体作りと素引き(野球でいう素振りみたいなもの)だけ。最初は軽ーい弓でフォームを身体に叩き込んでから徐々に強い弓に変えていって、ようやく最後に自分の弓。あれ最初は30ポンドあります。弓力とも言われる、『弓の強さ』ですね。あの、弦の付いた反り返ってる部分。リムと言います(コンパウンドではなくリカーブの話です)。
今の私のリムは44ポンドです。強ければ強いほど勢いがあってブレずに飛びます。
そんな強い弓を『ちゃんと』『何百回も』『同じように』引けるようになるまで、『基礎』が続きます。半端な気持ちで入った子はもう辞めてます。全然、入部から半年くらいまともにアーチェリーできないですからね。私はこれまでの部活で一応ザコながら身体はできていたので皆より早く進みましたが。
まあとにかく、『毎回同じ』を目指していく競技。
そこが面白い。
アーチェリーは点数競技です。相手と競います。自分が調子良いからって、相手が失点する訳じゃない。皆『毎回同じ』をやってて、『どこでミスるか』が勝敗を分けます。
私が学生時代にやっていたルールでは、1試合で72射(50m36射、30m36射)します。1射10点満点なので、720点満点。
他の競技のように加点ではなく、減点方式なんです。取れる点の最大値はもう決まってる。
いかに、ミスを防ぐか。厄介なイレギュラーは人間だけではありません。『天候』もあります。土砂降りだろうと強風だろうと試合は続行します。雷だけは、弓が合金の為危険なので中止されますが。
日々の練習でどれだけ積み重ねているかが試されます。
練習した分だけ、『自分に合った射ち方』『毎回同じ射ち方』に近付きます。個人差あれど、少しずつ確実に。
それが、点数となって可視化されるのがもうたまらんのです。
授業サボって射ってましたね。夢中になって。皆集まる公式練習は週に2度ありましたが、私は毎日射ってました。大晦日も元旦も射ってました。
ここで私のスポーツ歴を。
私は小学生の頃からスポーツをやってましたが、
野球……6年生の時に6年生9人居たけどベンチ
柔道……人数の関係で団体戦には出たけど全部負け、他の人が勝ったから県大会まで行ったけど私自身の勝利は無し。
ハンドボール……人数の関係で副部長だったけど実力は『並み』程度。2部リーグ制で万年2部。
クソ雑魚でした。スポーツは好きなのです。けれど、クソ雑魚でした。身長も最前列レベルのチビで体力も無かったです。持久走なんて帰宅部の子より遅かったです。よくいじめられました。
で、諦めずにアーチェリー部。サークルではなく『大学の部活』。本気です。まあ、競技的に少し危険で、ちゃんとした大人の指導者が必要なので当たり前ですが。
私は1年生最初の試合で3位入賞しました。
クソほど楽しくて夢中で練習した成果です。
ビビりました。『私が勝てるの?』と。クソ雑魚負け犬人生だったので、青天の霹靂でした。
勝てるじゃん! もっと! もっと!!
こんな最高の気分味わってたのかよお前ら! ずりぃぞ!
初心者1年生ですが、私はレギュラーで団体戦にも出ました。
ポイントゲッターのエースポジションでした。
2年生の時には部内で2番目に強かったです。
2年生上がったばかりの最初のリーグ戦では自己新どころかチーム新出しました。
その後も個人では入賞に次ぐ入賞。
私のスポーツ人生の最盛期絶頂期ですね。調子に乗りまくりでした。あの頃の私はウザかったと思います。
昔からずっと負け続けでしたから。『勝てる競技』に初めて出会ったのです。これまではスポーツやるだけで楽しんでましたが、勝てるとなるとやはり違いますね。もっとのめり込みます。『勝ち』という麻薬を知ったのです。
退部してからですが、一度個人優勝もしました。
大学生「今日うちに行く?」
パチンコでも麻雀でもありません。
アーチェリーです。
私の青春はアーチェリーです。旅行も恋愛もありません。私の大学生活はほぼ全てアーチェリーに捧げました。
まあ、だから上手くなったのかもしれませんね。
ほとんどの人達が部活引退と同時に弓具を実家の倉庫に仕舞って一生埃まみれになります(偏見)が、私は卒業後も定期的にアーチェリー場に行って射っています。東京に転勤になった時でさえ、弓具を持って行って、東京でも射ってました。
私はアーチェリーが好きです。理由は明白。
『楽しい上に結果が出たから』。
私が小説を投稿して、アカウントを作るのはその後のこと。
その際のペンネームに入れるくらい、アーチェリー(洋弓)が好きです。
この競技は、老若男女が同じルールで同じ試合ができる珍しいスポーツです。いくつになっても、アーチェリーはできます。老いて引退はありません。身体障害者だってできるんですよ。
一生付き合うことになる競技です。コロナの影響でアーチェリー場自体が閉鎖されてからは射ちに行けてないですが。
以上、私が好きなアーチェリーの話でした。もっと詳しく語る際はまた、アーチェリー単体のエッセイを作るかなと思います。こんなん序の口ですよ。私のアーチェリー愛。
第2回はやっぱチョコレートかなあ。
それでは、また。
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