『音楽家』『やさしさ』『畑』




 常なら弾き返した先輩の言葉を受け入れたのは何故か。畑の所有者の言うがままに寝転んでいるのは何故か。何も作付けされていない黒茶のふかふか土の上。微かに冷たい風の中。ぬくぬくの日光の下。あらゆるやさしさに包み込まれた音楽家は不意に流れ落ちた雫を、けれど拭わずに暫くそのままにしていた。






(2023.2.16)


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