天邪鬼な僕たちは
水月つゆ
恋人
◇
中学時代。仲の良い男友達がいた。くだらないことばかり話して、それが意外と楽しくて、一緒にいると気が楽で。自然体でいられた。
いつからか、そんな彼のことを気になりだすようになって、そこから好きになるのはあっという間だった。
でも、好きだと伝える勇気がなかった。振られることよりも、この関係が崩れてしまうのが、怖かったから。
段々と近づく卒業式。お互い別々の高校への進学が決まっていた。今より接点はなくなる。話すことだって減ってくる。
嫌だと、思った。話せなくなるのも、声を聞けなくなるのも。
『あのさ……好きなんだよね、律のこと』
卒業式当日。校舎裏で告白した。もちろんダメ元だった。
そしたら、奇跡が起きた。
『うん、俺も』
恥ずかしそうに、照れくさそうに答えた。あの姿を今でも覚えてる。
嬉しくてたまらなくて、泣きそうなくらい幸せだった。
春休み、たくさん遊んだ。いろんなところに行って、くだらないことで笑い合って楽しかった。
そんなとき。
『お互いちゃんと言いたいこと言わなきゃ他校だと、すれ違って距離ができて、結局別れるはめになるよ』
お姉ちゃんが私に言った。
でも、私は大丈夫だと思った。
絆があれば、どんなことでも乗り越えられると信じてた。
──そう思って、疑わなかった。
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