第2話怪奇!!覚悟を決めた月曜日

朝...月曜日の朝...普段なら鬱陶しくて仕方の無いその日を僕は待ち望んでいた。

視界が明るくなり小鳥のさえずりとともに月曜日の朝が来たことを告げる。


「朝だ...」

「朝だよー」


隣から葵の声が聞こえる。普段ならここで嫌がったり離れたがる僕だが今の僕にはそんな余裕はない。


「じゃっ起きるわ」

「えっまだもうちょっと一緒でも...」

「ごめん、今日は早く起きたい」


僕は掴まる前にさっさと起き上がりリビング降りる


「普段なら嫌がっても必ず捕まってたのに...なんか隠してるな?」


部屋で1人ぼっちになった葵は呟く、訝しむように...そして少し寂しそうに...


いつもより早めに支度終え僕は学校へ向かう。


「はあ、はあ、早いよ〜なしな」

「ごめんでも今日は出来るだけ早く学校に行かないと」

「ちょっと待ってよー!」


バスに乗りながら窓を見る


「やっぱりいっぱい人がいる 」

「そんなの当たり前でしょ商店街なんだから」

「いや...そうんだけど」

「そうなんだけど?」

「やっぱりいいや言ってもわかんないだろうし」

「なにそれ、けちんぼ」


そりゃそうだ商店街なんだから人がいて当たり前だ。

だからこそ昨日のアレはなんだったのかと自分の中で疑問が残る。例えばアレが僕の知らない悪魔かなんかで人類にとって危険な存在だとしても日曜日にあんなに綺麗に人が消えるのだろうか...そういう時に限って暴れたがるやつだっているハズだ。色々考えてもますます整合性が合わなくなってくる。


「次は次は宝来高校前、宝来高校前です」

「あれもう着いたのか...」

「案外こういう時間ってあっという間だよね」

「確かに」


目的地についたことを伝えるアナウンスが鳴り、僕達はバスから降りる。


「月曜日ちょっと憂鬱だよね...」

「…」

「ちょっと?なしな?聞いてるー?」

「なしなー!」


僕は聞かなきゃならない...あの事件の真相を


とは言っても真相聞くのは放課後のことなのでそれまではただの月曜日である

だからやや憂鬱気味にドアを開け教室に入る


「あっなしなが来た」

「今日も可愛いですなぁー」

「これで女子じゃないは詐欺なんだな」

「なあ、やっぱ俺告って来るよ! 」

「やめとけやめとけ、前告ったやつはこっぴどく振られた上に葵のやつに埋められたんだな」

「葵ちゃんがいる以上ガード硬いよー」

「なら俺葵ちゃんに告ろうかな」

「「それはもっとやめとけ」」


「可愛いなーなしな君♡」

「でもなしな君狙うのは諦めた方がいいよ、なしな君は葵ちゃんのものなんだから」

「確かに純愛を奪うのは大罪だもんね」

「う、うんそうだからね」


僕が入って来るなり多くの男女が喋り出す、でもそのほとんどが僕の耳には入ってなかった、時々男子から告るとか聞こえるけど聞かないふりをする。

まあ僕のクラスでの扱いは完全にクラスのマドンナのそれだ。それは昔からでお遊戯会ではヒロインの役をいっつもやってた。

葵は僕と恋仲になる男性役ばっかやってた。なんでやねん


「このクラスでの扱いが気に食わない」

「確かに、完全にお姫様だ」

「はあ、いったいいつからこんな扱いに...」


そんなこんなでお昼休み、僕は屋上で1人お昼ご飯を食べていた...だがそんなこと今の僕にとってはどうでもよかった、授業なんて右から左に受け流してずっと昨日の事ばっか考えていたが正解なんて全然わからない。


「なーに悩んでるの」

「別になんでもないよ」


後ろから葵が声をかけてくる。


「なんでもないじゃないよ!なしなの心配事はなんでも把握しておきたいの!」

「なんだよそれ、別に知ったからって何になんだよ」

「助けになるんだよ!」

「はいはい、ありがとう」

「むーつれないなぁ」


葵はいつも相談に乗ってくれようとする、それについては嬉しいんだけどこればかりは相談するような話でもないし話したら話したでもっと厄介なことになりそうだから黙っておこう...


「とりあえず別に悩んでないから!」


僕はそう言い残し急いで教室に戻る。


「えっちょっとなしな!?」


置いてかれた...


「はぁーちょっと構いすぎたのかなー」


昔からそうだ、なしなのことならなんにでも首を突っ込みたくなってしまう。なしなだってもう高校生だ、自分で自分のことを判断すべき年齢だ...ただの幼馴染である私が関わりに行くこと自体あまり褒められた行為では無いのかもしれない。


「しばらくは自重しようかな」


ちゃんと我慢することを決めて私は昼食を食べた



「放課後キター!」

「見て見てなしな君が喜んでるぞ」

「可愛い〜♡」

「やっぱ俺なしなに告白しようと思ってる、クラスのみんなには悪いけど抜け駆けで」

「あー葵スープレックス食らうの楽しみにしてるんだな」

「見事玉砕してこいよー」


恥ずかしい...ついつい興奮してしまった。でも...遂にやっとわかるんだ!興奮せずにはいられない!


「なしな~一緒にかえ」

「ごめん!急ぎの用事があるから!」


僕は葵をさえぎって急いで校長室へと向かう...

校長室の扉をコンコンっとノックする。


「どうぞーっ」

「失礼しまーす」


僕はドアを開き中に入る


「こんにちはっ」

「あっこんにちは」

「昨日以来ねっ」

「そうですね」


早く...早く知りたくてウズウズし、身体がプルプルと震える...


「あらあらそんなに知りたいのっ?体がウズウズしてるわよっ身体は正直ねっ」

「はい教えてください」

「上のお口も正直だった、いいわ今からおしえたげるから一言一句聞き逃さないでね」

「わかりました」


そうして校長先生はあの事件の真相について語り始める。


「次に全裸女から話なら始めようかしらっ」

「実はあの子も被害者なの...」

「被害者?あんな追いかけてきたのに?」

「ええ、催眠って知ってるかしらっ」

「はい、まぁ」

「それにかけられたのよ」



その頃生徒玄関


「はあ、どこいったのかなー」


なにか面倒事に巻き込まれたんじゃないかと心配しながら

私は大急ぎでどこかに行ったなしなを待っていた。

ただ...こう何もしないで待ってるとなにか底知れない不安感に襲われてくる。


「もしかしたらなしなは私の事遠ざけようとしてるのかな」


嫌な想像が頭をよぎる、いやいやあの優しいなしなに限ってそんなことはない、そんな考えはなしなを冒涜してることになると自分を落ち着かせる。


「はぁちゃんと自重しなきゃ!」


私がポツリ独り言をつぶやくと


「そんなことないわよ」

「え?」


後ろから誰かの声がする...


「誰?」

「さぁ?誰でしょう、それより私はあなたのカウンセリングに来たの」

「え?」

「あなたは幼馴染に嫌われたんじゃないかって心配なんでしょう?」

「え...はい」


なんで素直に話ちゃったんだ?なんだろう話してると...落ち着く...



校長室


「催眠をかけられた?まさか先生催眠が実在するなんてオタクの妄想レベルの話をするんじゃないですよね」

「ええそのまさかよっ」


マジかよ...催眠とかリアルで聞くとは思わなかったぞ、とはいえ先生が嘘を言ってるようには見えないし多分催眠も本当の事なんだろう


「だとしたら...誰が催眠を?」

「それが分かれば苦労しないわよっ、現状分かっているのは催眠をかけられた者は自分の奥底にある欲望に忠実に従う怪物になることとそれを止められる方法が直接頭に電流を叩き込むことだけよっ」

「じゃあクワトロハンドって」

「そう対催眠被害者用の治療器具よっ」


あれ治療器具だったんだ...荒療治とかいうレベルではないのでは


「ただね...あの機械には適合資格があってねっ」

「適合資格?」

「女の子にしか見えない男...つまり男の娘しか扱えないの」

「は?」


どういうこと?何故に?


「何故!?」

「何故かと言うとねっ催眠被害者の大半は変態的な欲望を前に出し始めるのっ」

「はい」

「その欲望の大半に...男の娘が当てはまり欲望の餌食になりやすいのっ」

「つまり?」

「撒き餌ってことねっ」

「考えうる限り最悪の答えを出てきやがったなおい」

「ってことでお願い出来る?」

「誰がやるか!!」


僕は大声を上げてその場から逃げ出す、ふざけるな!自分を餌に変態猟なんて誰がやるか!!

色々聞きたいことがあったがつい感情的になって出てきてしまった...


「なんで住民が一人もいなかったのとか色々聞きたかったんだけど...まあいいか」


ドゴーン!!


「うわっ」


急に凄い揺れが起こる、今度はなんなんだ


「なあああああしいいいいなああああああ」

「えっ僕?」


〈「その欲望の大半に...男の娘は当てはまり欲望の餌食になりやすいのっ」〉


「これがそうだって言うのかよ」


どうする、声は生徒玄関の方から聞こえた一応逃げようと思えば逃げられる非常階段から逃げればいい...


「助けて!」

「うわぁぁぁ」


うだうだ考えてる内に大量の生徒が非常階段の方へ向かっていく...みんな死にたくなさそうな必死に顔で...

違う...俺のせいじゃない、じゃないけど


「クソがあああああ」


僕は急いで生徒玄関向かう...


生徒玄関


「なしぃぃぃぃなあぁああああみぃつけぇたァ」

「えっあお、い?」


生徒玄関に着いた僕の目の前には...葵が暴れている光景があった...葵は僕を見つけた瞬間叫びだす


「なしなぁァァ邪険にしないでよぉぉなんでもしてあげるからァァ私の傍から離れないでよぉぉぉ」


葵は叫びながら僕に向かっな抱きつこうとしてくる。僕はそれを間一髪で避けると...


ドゴオオオン


床が壊れ始めた


「相変わらず、いやもうバカ力ってレベルじゃないぞ」

「そっかァなしなの手足をバキバキに叩き折ればいいんだ!そしたら一生私なしじゃ生きて行けなくなるもんね!そうなったらもう私の傍にずっと居てくれるよね」


ブルル!


恐ろしいほどの身震いをする。だがそんなことお構い無しに葵は僕に再び抱きつこうとしてくる。


「ヤバっ」


僕はまた間一髪でよけ床はまたえぐれる。

僕のせいだあの時僕が邪険に扱ったから...


「なあ校長先生どうせ見てるんだろ...」

「あらっバレてたのかしらっ」

「やっぱりあんたみたいなポジションはだいたいどっかから見てるってのがお決まりだからな」

「あらそう随分詳しいのねっ」

「それでクワトロハンドを使えばあいつをどうにか出きるんだよな!」

「ええっでもその代わりっあなたには本当に協力してもらうわよっ!」

「ああいいよ!今葵を助けられるなら!」

「わかったわっ受け取ってっ」


僕は投げられたクワトロハンドを受け取り腕に取りつける。

【クワトロハンズ!!ON!!ON!!⠀】

かっこいい(個人の感想)起動音が流れたところで僕はダイヤマークをおそうとする...すると


「なしなあぁああああ」


葵は壁をぶち破ってぶん投げてきた!もはや殺す気だろ!


「スペードのマークを押してっ」

「はい!」


僕はスペードのマークを押し手を突き出す!

【スペード!!アトミック!!ストライク!!⠀】

起動音が鳴り響く中僕の手が...爆発した

爆発した!?


「痛!くない?」

「安全機能は万全よ、あとそれは人向けたら死ぬわよ」

「んなもん見なくてわかるわ!」


学校の壁が粉々に砕けてることを見れば人に向けたらどうなるかぐらい簡単に想像出来る。


「なしぃなぁ!?」


葵もあの爆発にはさすがに動揺してる。なら今のうちに!

【ダイヤ!!エレキ!!ストライク!!】

ダイヤのスイッチに切り替え葵の元へ走る


「あっなしな来た!なしなー!!」

「葵ゴメン!」


葵が喜んでる隙に頭をつかみ電気を流し込む


「あぁああああああ!!あああ!なアアアしいイイなあァァァ!!!」


バチバチと激しい音が鳴り響き、まばゆいばかりの閃光が辺りを包み、そしてやがて消えて行く


「うっ」


倒れそうになった葵を急いで受け止める


「んっなしなぁ?なんでぇ?用事は終わったの?」

「うん」


どうやら葵には記憶が無いようである、良かった...あんなことをしてたなんて葵が覚えていたら一生癒えない心の傷ができるところだった。


「葵...ごめん、僕ずっと悩んでて...それで、葵のことないがしろしちゃってた。葵はいつも僕のことを考えてくれてるのに」

「いいんだよ別に、私が勝手に考えてるんだしなしなが気を負う必要なんて全然ないんだよ?」

「ありがとう...ほんとにごめん」

「もぉーごめんはいいんだって、あっだったらごめんなさいとして晩御飯はあーんで食べてね」

「それは嫌だ」

「えぇー!釣れないー!」

「それとこれとは話が別」

「ちぇー」


こんな何気ない会話が幸せに感じる...


「ふぅほんとに良かったわねっ」

「あっ校長先生」

「ナナメでいいわよっ」

「じゃあナナメさん、何の用ですか?」

「なしな君っそれを自分意思で使ったってことはわかるわよね?」

「はい、覚悟は決まりました、こうやって苦しむ人がこれからも出てくるんだったら戦ってやりますよ!」

「良かったわっちゃんと自分から戦かうと言ってくれてっ商店街の人たち見たく洗脳するのも大変だからねっ」

「は?」


えっなに?こいつ僕のこと洗脳しようとしてたの?


「何やばいことしようとしてくれてんだよ!?」

「ええそうよっあなたしか戦える人もいないしっ」

「てか商店街のひとたちって」

「そうよ〜っ市と協力して市内放送を会して洗脳したわっ」

「やってる事変わんないじゃん」

「違うわよ〜こっちは避難誘導のためにやってるんだし!」


もしかしたら僕ってヤバい決断をしてしまったんじゃ

多分もう後悔しても遅い



次回予告!


3年生の天才科学者、科林 洋香とばったり出会ったなしなは彼女の研究してるASEに興味津々、でも待って実は催眠中の被害者達にはとある共通点があったようですよ?え?目がハート?そういえば彼女の目も...


次回 科学?天才だって変態したい

お楽しみに〜

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