茶色の兎:二月 後編



 結論から言うと、香月は仕事を辞めないらしい。

 どうにも旦那となる人はフリーランスで軌道に乗り始めたばかりで、収入が安定するまでと、何かあったときの備えとして、今のうちに稼いでおこう、というわけだ。

 籍を入れるのは三月末。年度変わりに合わせた方が、書類の変更などが楽だろうと、会社に配慮をしているようだった。

 そんなもの、上側の仕事だから、好きな時に籍を入れていいんだぞ、と言うと、実は二人の出会いの日に籍を入れたい、と惚気が始まってしまった。

 そういう香月のはにかんだ顔は、新人のころに私が度々、目撃した笑顔だった。



「お、もう時間っすよ。片付けますか。」


 高橋の一声で、動き出す。

 打ち合わせも、資料や情報の交換、クライアントからの指示の共有など、未だ紙媒体でやることは多い。

 そのための出社日である今日も、滞りなく終わろうとしていて、皆、さて、帰るか、と準備を始めていた。


 私は、ひとつ伸びをすると、ふーっ、とゆっくり息を吐く。

 リモートワークに合わせて新調した家のパソコンに慣れていると、どうにも会社のパソコンは使いづらい。

 それをどうにかこうにか、こいつの調子に合わせて作業をするのはなかなかに骨の折れることで、はてさて私も老いたのか、それとも、皆も我慢しているのか。


「先輩、これ、行きません?」


 パソコンから、USBメモリにデータを移していると、高橋から声が掛かる。

 見ると、口元に指を二本当てている。

 煙草だろう。

 

「そうだな。帰りに寄るか。」

「うっす。荷物取ってきます。」


 しっかりデータの移ったのを確認して、USBメモリをしまい込む。

 脇に置いたコートと荷物を取り、忘れ物がないかチェックをして、パソコンをシャットダウン。

 準備を終えた高橋に、お待たせ、というと、いまきたところよ、なんて冗談を言うので、二人で笑いながら喫煙所に向かった。


 朝と同じように、自販機で缶コーヒーを買う。

 横で、物欲しそうに自販機を見ている高橋を見て、やれやれ、と思いながら、これまた朝と同じようにポケットから小銭を何枚か渡す。

 本当に、上手なやつだ。


 喫煙所のスライドドアを開けて、中に入ると、揃ってプルタブを開け、一口。

 お互いに無言で、煙草に火を着けた。


「香月先輩、結婚するんすね」


 そう言った、高橋の目は、どこか遠くを見つめていた。


「なんだ。お前、香月に気があったのか」

「いや、そんなんじゃないですけど」


 高橋は、ふーっ、と大きく煙を吐き出して続ける。


「俺、わかんないんですよね。結婚とか」

「うん?」

「先輩のとこ、お嫁ちゃんとの出会い仲介したの俺じゃないですか」

「仲介? まあ、そうなるか。こればかりはお前の軽薄さに感謝してるよ」

「軽薄って、ひどいなあ」


 きつい言い方をしても、からからと笑ってくれる。

 私の妻の出会いは、高橋が持ち出した合コンもどきだった。

 それがきっかけ、というわけでもなく、正確には、その後の妻との共通の友人の結婚式の二次会がきっかけだったのだが。

 妻ときたら、それまで私のことを忘れていた、というのだから失笑するしかなかった。

 私は、彼女を忘れられなかったというのに。


「なんか、自分の知っている人が、自分の知らないところで、出会って、信頼を重ねて、付き合って、結婚して。

 そんな中、自分だけ取り残されているような気がして。

 同級生とかも結婚ラッシュで、俺とは関係なく時間が過ぎているような気がして、なんだろうなあ」


 そう言う高橋は、自嘲するような困った笑いを浮かべていた。


「主観の問題だよ」

「そうっすかね」

「そうさ。高橋だって、皆の知らないところで色々な出会いや経験をして、前に進んでいく。

 えらそうなこと言うけど、俺から見れば、お前はどんどん成長しているんだぞ。

 自分のことだから、よく見えないんだよ」


 そうかあ、と納得のいかない顔で黙りこくってしまう彼に、なんと声を掛けたらいいのかわからなくなる。

 しばらく、お互いに煙草を吸っては吐いてを繰り返すと、あっ、と高橋が呟いた。


「あー、そっか」

「どうした?」

「俺からの視点と、先輩からの視点って違うんですもんね」

「そりゃあ、そうだろう」

「先輩、香月先輩の結婚、嫌だって思ってません? 俺から見ると、なんか嫌がってるように見えたんですけど」


 なにを、と思うと同時に、どきり、とした。

 なんとなく、自分でもそう感じているのはわかっていた。

 結婚すると、香月に言われたとき、感情に蓋をする音がしたのを気付かないふりをした。


「そりゃあ、香月は新人のときに面倒を見ていたんだから、思うところはあるよ」


 そう言いながら、冷静を装う。


「俺が結婚するってなっても、思うところあります?」


 言われて、考える。

 高橋も新人のときから指導をしている。

 高橋も香月も、それどころか俺が担当した新人は、皆、よくやってくれている。

 高橋とは、たまにプライベートでも付き合いがある。

 そんな彼が結婚したら、私達の仕事仲間を超えた友情は変わるだろうか。

 いや、きっと変わらない。

 それでも、大切にしたい優先順位は変わるだろうし、生活が変わるに伴って、時間だって作れなくなっていく。

 それはきっと、寂しい。

 ああ、そうか、寂しいんだ。


「ある。きっと、寂しい。ごめんな」

「どうしたんすか! 急に謝って!」

「いや、俺が結婚したときも、高橋は同じ気持ちでいてくれたんだろうなって思って。」

「そんなこと……」


 ありますけど、と小さな声で呟く高橋。


「ありがとう」

「いいんすよ! そんなの! いや違いますって。そういう話がしたいんじゃなくて」


 しどろもどろになる彼を見て、自然と笑みが漏れた。


「ぶっちゃけ、俺、入りたてのころ、香月先輩のこと好きだったんですよ」


 唐突に始まる彼の独白。


「しっかりしてて、いつでも明るくて、俺が失敗しても変に怒ったりしなくて。

 女の人に、かっこいいって思ったの初めてだったんですよ。

 俺が入社して三ヶ月くらいのとき、先輩が出張でいなかったときあったじゃないですか」


 そういえば、と思い出す。

 直接の私の受け持ちではなかったが、同期の失態を回復すべく、急遽、私の出張が決まった日があった。

 その頃、私は高橋の教育係をしていたが、高橋は優秀そのもの、飲みこみが早く、言っては悪いがこの業界にしては明るく営業向きな性格もあり、その頃からリーダーの資質を見せていた。

 そうした高橋に、ひとつ軽い案件を任せてみた矢先だった。

 何かあったときのために、香月に引き継ぎを任せたのだ。

 そして、高橋は、やらかしてしまったのだ。

 簡単なミスだった。

 システムの穴をついたミスだった。

 高橋がやらかさなくても、いずれ誰かやらかしたであろうミス。

 それでも、それをしてしまったのは高橋で、この大失態に、上はお冠で、どうしたものかというものだったらしい。

 らしい、というのは、私がそれを知ったのは出張から帰ってきてからで、その頃には香月のカバーの元、うまく解決して事なきを得ていたからだ。


 当時、残業して頑張っていた高橋は、自分のミスに気付くと、すぐさま香月に連絡したという。

 電話に出た香月は、寝ていたのか、微睡んだ声で、どうしたの、と答えたらしい。

 高橋は、自分がやってしまったことを事細かに説明した。

 うん、うん、と眠そうな甘ったるい声で返事をする香月に、出張中の私の方に連絡をすればよかった、と少し後悔をした。

 でも、緊急時の業務連絡の順番は決まっているし、と、自分の職務を全うすべく、話を続けた。

 頑張って、話終わる頃には、本当にこれでどうにかなるのか、自分は首になるんじゃないか、今にも叱責が飛んでくるんじゃないか、いや、その方が、怒られたほうがまだいい、と思いながら、ただただ、ごめんなさい、と繰り返し自分でも泣きそうな声だとわかるほどだったという。


「落ち着いて。それで全部?」


 相変わらず、眠い声で言う香月に、高橋は居ても立っても居られなくなり、どうしたらいいんですか、と声を張り上げた。

 すると返ってきたのは、甘ったるい、眠そうな声ではなく、はっきりと、まるで子どもに言い聞かせるような優しい綺麗な声だった。


「大丈夫。私がいるから。なんとかなるわ。そのために私がいるんだもの。だから、大丈夫よ。」


 すぐに行くから、と電話を切って、タクシーで駆けつけた香月は、昼間と同じしっかりとした表情であれこれと指示を飛ばす。

 途中で連絡を取っていたのだろう、次々と来る他の社員達に謝罪もそこそこに、緊急対策プランを立ち上げ、協力を要請していった。

 来る社員、ひとりひとりに全力で頭を下げ謝る高橋に、いいから手を動かしなさい、と叱責を飛ばす香月。

 それを見た他の社員たちは高橋に、香月さんがこの調子なら大丈夫、新人のころはやらかすもんだ、久々の修羅場でテンション上がるわ、などと軽口を叩いて作業を始める。

 高橋は、このとき、なんて会社だ、と感動したという。

 そして、頼りになるお姉さんに、淡い恋心を抱いたのだ。


「そんな感じだったのか」

「ええ? 先輩、知らなかったんですか」

「香月がくたびれた顔しながら、なんとかしておきました、って言ってたのは覚えてる」


 ひっでえ、と笑っていた高橋が、すっ、っと真面目な顔になる。


「たぶん、先輩も同じことしますよね」


 そう、かもしれない。


「香月先輩、先輩のこと、好きだったんだと思います」


 思い当たる節が、ない、とは言わない。

 黙って、缶コーヒーを口にする私を、高橋は、じっ、と見つめながら続けた。


「俺、そのあと、聞いたんです。なんであんなにできるんですかって。いくら仕事だからって、そんなにポテンシャルを発揮できるものですかって」


 俯いた高橋は、深呼吸するように煙草を吸う。


「そしたら、そうしたかったから、って。

 あの人ならきっとこうするから、私の憧れの人だから、移っちゃった、って。

 すごく、幸せそうな顔で言うんです。

 そう言われて、自然に、先輩のことを思い出したんです。

 ああ、香月さんは先輩のことが好きなんだなって、自然に納得できちゃったから、俺、なんとなく二人の間には入っていけないな、なんて思って」

「そうか」

「そうですよ」

「恨んでるか」

「恨んでたらこんなに懐いてるわけないでしょう!?

 先輩、ずっと死にそうな顔してたのに、嫁ちゃんと付き合いだしてどれだけ生き生きしてたと思ってるんすか?

 そりゃあ、打倒先輩、なんて時期もありましたけど。

 今日の香月先輩見てて思ったんですよ。

 良い人に巡り会えたんだな、って。

 俺は寂しいけど、先輩と香月先輩が幸せなのは嬉しいですから」


 そう言って、拗ねたように口を尖らせながら、もう一本、煙草に火をつけていた。

 私も、つられて、もう一本、取りだす。


「一個だけ、聞いてもいいですか」

「ん」

「先輩、香月先輩のこと、どう思ってたんですか」


 高橋の気持ちを聞いた今、私の心は澄み切っていた。

 憧れや、恋情とは違うと、はっきりと言える。

 だから、結婚の報せを聞いたときのよくわからなかったもやもやとしたものは、もう何かわかっていた。



「大事な後輩だよ。

 それが卒業していくようで、寂しいんだ」


 それを聞いて、高橋は、はぁ、と大きなため息を吐いた。


「父性っすか。父性ですね」

「父性かもな」

「俺にも?」

「そうだな」

「あんた、みんなのお父さんかよ」

 

 珍しく、きつい言葉でツッコミを入れられ、大声で笑ってしまう。


「こんだけ強い父親にはそりゃあ叶わないわ。勝負しようとした俺が間違いだったなあ。もっと早く気付いてアプローチしとけばよかった」


 そうすればチャンスあったかもな、と言うと、俺だってかわいい女の子捕まえて結婚してやる、と叫ぶ高橋。


 そういえば、と、香月からもらった紙袋を思い出す。

 見ないふりをしていたメッセージカードも、今なら見れる気がする。


「え、俺のに入ってないんですけど」

「なんだろうな」

「ていうか、俺の話聞いてました? それで今ここで出します?」

「お前のおかげで見る勇気が出た」

「どうします? ずっとあなたが好きでした、とか書いてあったら」

「重い」

「うわ、ひでえ、この人」


 香月は、きっとそんなことは書かない。

 自惚れかもしれないが、彼女が私に憧れを抱いていたことはあったと思う。

 それでも、私は彼女をそういう目では見ていなかったし、妻は自然と女性として見れた。

 その差が、なんなのか、説明などできないけれど、きっと私は妻と出会うために、一緒に生きるために生きてきたと思っている。

 それは、何があっても、何が書いてあっても変わらない。

 だから、そっとメッセージカードを開いた。


 

『今まで お世話になりました』



「なんて書いてあったんですか」

「内緒だ」

「泣かないでくださいよ、お父さん」

「ああ」

「ちょっと潤んでるじゃないですか」


 うるさいな、浸らせろ。

 子は、巣立つもの。

 それは後輩であっても変わらない。

 目の前の高橋も、いつか、結婚したり、栄転したりで居なくなるかもしれない。

 そう思うと、なんとなく、本当になんとなく、高橋の頭をわしゃわしゃと撫でた。


「うわ、なんすか! セットが乱れる!」

「女子じゃあるまいし、気にすんな」

「俺、これからデートなんですけど!」

「大丈夫だ。いつもよりカッコイイぞ」

「適当だなあ」


 帰るぞ、と煙草を押し消すと、へいへい、と適当に返事がくる。

 また明日、画面越しに、そういって喫煙所をあとにする。




 最寄りの駅に着くまで、考えていた。

 私の感情は、本当に父性だったのだろうか。

 香月が新入社員のとき、高橋ほどではないが失敗をしたことがあった。

 その時、私がとった行動は、香月が高橋にしたそれと同じだった。

 違ったのは、その後、香月と二人で飲みに行く機会があり、そのとき彼女が泣きじゃくったこと。

 酔っていたのもあるのだろう、鼻水まで垂らして泣く彼女を、私は、いいんだよ、と背中を撫で、慰めることしかできなかった。

 抱きしめることもせずに、泣き止むまで。

 ただ、そのとき思ったのは、この子を守ってやりたい、という強い庇護欲だったのを覚えている。

 彼女は、そのときなにを求めていたのだろうか。

 高橋の言っていたことが、本当に彼女の気持ちが私に向いていたとして、私はちゃんと対応していたのだろうか。

 きっと、傷つけていたのだろう。

 私のエゴのような欲で、彼女の気持ちに気づくこともなく、ただ、優しくした。


 そうは言っても、私の気持ちは変わらない。

 私は香月に父性やエゴ以外の感情はなかったし、そうではない感情が妻に向いた。

 私は、自分の中に確固たる気持ちがあるのを確かめて、改札を抜ける。


 最寄りのコンビニの、今どき珍しく好意で設置されている喫煙所に向かう。

 ポケットの中から煙草を出すと、もう残り数本、ということに気付いた。

 コンビニに入って、いつもの番号を言うと、キャッシュレス決済で支払いを済ませる。


 煙草の外側のビニールを剥がし、ゴミ箱に捨てると、ふと、立ち止まる。

 私は、香月からもらった紙袋からおもむろにメッセージカードを取りだした。


『今まで お世話になりました』


 柔らかい、けれども達筆なその文字を読み直すと、私はそれをゴミ箱に捨てた。

 考えすぎでも、私は、彼女が不安になるような種は摘んでおきたいのだ。

 

 帰ろう。

 彼女の元へ。





「ただいま」

「おかえり〜」


 リビングに入ると、妻はソファに乗って、こっちを見て、間延びした声をあげる。

 コートを脱いで、ハンガーに掛ける。

 ネクタイを緩めると私もソファに座る。

 荷物はとりあえず、テーブルの上だ。


「ん?それ、どうしたの?」


 めざとく、青い紙袋を見つける妻。


「ああ、バレンタインだって」

「え、やだ。おモテになりますこと」


 ふふふ、と笑う妻に、義理だよ、と返す。


「開けないなら冷蔵庫に入れないと。せっかくもらったのに溶けちゃうわよ」

「ブラウニーって言ってたぞ。開けてみるか」


 開けてみると、そこには大きめのブラウニーが二切れ。

 端のほうに、可愛らしい茶色のうさぎの飾り紙。


「美味しそうね。これ、手作り?」

「そう言ってた。食べてみようか」


 一口、食べたブラウニーは、とても甘くて、どうしようもないくらい甘かった。

 一口もらっちゃったら悪いかしら、という妻に、ほら、と食べさせる。


「甘っ」


 辛党の妻には甘すぎたようだ。

 私のような甘党にも、ちょっと甘すぎるくらい。

 でも、なんだか疲れていたみたいで、甘さが身体に染みていく。

 箱の隅で、こちらを見つめる飾り紙のうさぎが目に入る。

 なんとなく、それが香月のようで、彼女はきっと、もう泣くこともないだろう、と思った。





 翌日、仕事の準備をするため、パソコンを立ち上げる。

 いつも通りのリモートワーク。

 まるで昨日の出社が嘘のような日常。

 仕事用のアプリケーションを立ち上げて、通話を繋ぐ。

 出勤確認を兼ねての音声通話だ。


 私が通話を繋いだときには、もう皆揃っていた。


「おはよう」

「おはようございます」


 そんないつもの会話をしながら、雑談に混ざる。

 そういえば、と私は、香月に話しかけた。


「香月さん、昨日さっそくいただいたよ。美味しかった。」

「「「えっ」」」


 私の一言に、皆が驚きの声をあげる。

 どうしたことか、なにかやらかしてしまっただろうか。

 思い当たる節はない。

 ちゃんと皆に配っていたし、私だけ貰ったということもない。


「先輩、食べたんですか」


 高橋が、笑いを堪えたように言う。


「ああ、甘かったけど」

「甘かった……」


 そう誰かが、絞るように声を出した。


「あの、先輩」


 香月が、恐る恐る、と言った様子で声をかけてくる。



「砂糖の分量、間違えて倍量入れちゃってて、たぶん食べられる甘さじゃなかったと思うんですけど……」


 ぽかん、としてしまった。

 確かに、甘かった。

 笑いが込み上げてくる。


「あっはははは!」

「ちょ、先輩!?」

「どうやらすごく疲れてたみたいだ。甘かったけど、ちゃんと食べたよ」

「すげえ、俺、無理だったわ」

「私もちょっと……」

「みんな、ごめんって!!」


 ああ、おかしい。

 そうか、失敗してたのか。


 変わっていく後輩の、変わらない部分を見つけて安堵する。

 そうだ。

 私達は、変わっていく。

 それでも変わらない何かは、きっと残る。

 そして、その何かを大事にしていくのだ。

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