7. 理想的な作品の尺は?
韓国行ったときに「騙されたと思って、食べてみて」とガイドさんに言われたことがあります。
それは、高校の修学旅行のことでした。
ガイドさん曰く、
「日本のキムチは酸っぱいけど、韓国のはおいしいから食べてみて」
というので、初日のお昼にみんなして飲食店で出されたキムチを食べてみました。
すると、みんな口々に「かっらっ!」って、とにかく舌にとんでもない刺激が襲い掛かってきたんです。
その翌日、またガイドさんは言いました。
「昨日のキムチは辛かった。でも、次に行く店は大丈夫だから、騙されたと思って食べてみて」
もう、オチわかりますよね?
みんな、食べました。そして、わたしと同じテーブルの友人が口を揃えました。
「騙された」
なんの導入だ、ってかんじなんですが、みなさん、耳にすることないですか?
『最初は我慢して見て』
『〇話まで耐えれば後で面白くなる』
わたしはよく耳にしました。
いえ、目にしました、というのが正しいかもしれませんが。
よくネット上で見かけました。
初めは世界観の設定が長々と続いたり、退屈な展開になったりと、初めの数話で世界観を理解し、人間関係を把握すると、だんだん面白くなってくる、みたいな。
これ、カクヨムでも言われていることですよね。
まず作品を見つけてもらうこと自体が大変なのに、1,2話読んでもらって、「退屈だ」「つまらない」と判断されると、残りの数十話、数百話が読まれない。
最初の数話で面白い、かっこいい、惹き込まれる、そう思われなければ、最後まで読むと「傑作」でも、読者からすれば「駄作」と判断されてしまう。
最初に多少退屈なお話があっても読んでもらえるのは、よっぽどネームバリューがある、「この人の作品だから」と信頼を得ている人くらいではないでしょうか。
「いや、もう少し読んでもらえばバトル始まるんだよ」
「5話からが本番なんで、もうちょっと我慢して…」
同じようなこと思っている人、いると思います。
わたしにも突き刺さってます。特大のブーメランが。
わかりますよ?
まずはこの設定を理解してほしい。唐突にこんなオリジナル設定聞かされてもわからないだろうから、まず説明させて!
わかりますとも。
どんな世界なのか、どんな情勢下なのか、理解してほしいんですよね?
どんな原理で発動した力なのか、丁寧な説明を入れていただいているんですよね?
登場人物を丁寧に描いて、物語の地盤を作っているんですよね?
でも、読んでいる側は「説明ばかり」が続くとしんどいです。
退屈な日常を延々と読んでいるのが、苦痛になるんです。
だから、派手な戦闘や、クライマックスの一部を冒頭に持っていくなどの手法が、読んでいただく秘訣みたいなこと、よく書かれているかと思います。
一話目にインパクトのある話を持ってきて、読者の好みに合えば、以降を読んでもらいやすいわけですね。
ああ、でも自分の作品もそれができていないもの、あります。
またブーメランが刺さってます。
ここまでは「カクヨムでPV稼ぐためには」的な説明をいろいろな人がしているので、ある程度カクヨム歴長い人は似た話を聞いているかもしれません。
なので、ちょっとわたしの感性で、「もういいや」判定されてしまった作品のお話をさせていただこうと思います。
わたしの経験談でいえば、世の中で名作と言われているものでも、自分では「もういいかな」と思っているもの、結構あります。
(以下の作品のファンの皆様、どうか怒らず、心を鎮めてください)
その1、海賊王を目指すお話(ファンの方、すいませんm(__)m)。
わたし、単行本買ってました。数年前までは。中学生の時に友人に薦められて、夢中になって読みました。
でも、途中で読むのを止めました。
なぜか。ネット上でも「同じような展開が続いている」などの声が上がっていますが、わたしの場合もっと単純に、「長すぎる」って思いました。
本当のところはわかりませんが、なんか、食傷気味というか、気持ちが続かなくなってしまいました。
その2、眼鏡の子供探偵のお話(ファンの方、申し訳ありません!m(__)m)。
これも同じです。つい数年前まで、わたしはずっと単行本買ってました。
でも、作品自体は好きなんですよ。劇場版のテレビ放送があれば、録画して見てますし、『純黒の悪夢』は何度も繰り返し見ました(セリフがシャァにしか聞こえねぇ、とか騒いでいただけなんですが)。
小学生の頃からアニメを見て、新刊が出るたびに買いに行っていたのに、数年前、ふっと読むのを止めてしまいました。
なんか、どこまで引っ張るんだこれ?と思ってしまったんです。
商業的観点から人気作が引っ張られるのはわかります。でも、なんか感覚的に『サザエさん』見ている感覚で、歯抜けになっても困らないというか、黒の組織関わりの話だけ集めて読ませてくれないかな、とか思ってしまい……。でも「この流れから組織関わりに繋がるか…!」的な展開もあるので一概には言えないかも。う~ん…。
上二つの作品が、既に完結していれば、楽しいままで、わたしの中で『傑作』のまま終われたのに、と思ってしまいます。
いえ、これ完全に個人の感性の話なんで、作者の先生方を批判する資格などないししているつもりもないのですが、共通する感想が「飽きた」になってしまったんです。例えるならば、課金までしていたソシャゲに対して、ふと「俺は何やってるんだろう」と正気に戻ってしまった感覚でしょうか。
わたしの中で長さ的にちょうどいいな、と思ったのが『約束のネバーランド』や『鬼滅の刃』でして、20巻台で終わっているんですよ。人気作がこの長さだと、「もっと読みたい」って思う人もいるかと思うんですが、それくらい名残惜しい状態で終わった方が、作品として最高潮のまま記憶に残るような気がしています。
小説に話を戻しましょう。
そうすると、わたしは適度に贅肉を落としたものの方が好きかもしれません。
長い作品がいけないわけではなく、「この話いる?」みたいな進行の足踏みが続くことが、読者離れを誘発するのでは……、と勝手に思っているだけなんですが。
これ、プロットも何もなく、だらだらと書いていると陥ってしまうことで、わたしはあまりプロット書かないのですが、こうならないように注意したいです。
中だるみの例として、アニメ化された作品に、いきなり変な話が挿入されたり、脈絡なく温泉シーンが始まったりと、「この話いる?」ってつっこみを聞くことがあります。尺稼ぎ、お色気で視聴者の引き留め狙うなど、目的はいろいろあると思いますが。私は『マブラヴ』大好きなんですが、『トータルイクリプス』のアニメで温泉回がありまして、ちょっと同じこと思ってしまいました。ゲームの『トータルイクリプス』すごい好きなので、アニメのおかげで認知度が少しでも上がったかなという期待と同時に、アニメのせいで駄作認定されてしまうかもと思っていました。
中だるみのない、読んでいて苦痛にならない作品って、書くの難しいなと、改めて思います。
だらだら書いてしまっているので、このお話はこのあたりで切り上げましょう。
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