第57話 世界の話
異変があってから、世界中の国々では混乱が続いている。
燃料や食糧の輸入。
頼りにしていた国が消失した影響が、国によっては大きかった。
ロシアは高緯度以外のこっておらず、国として混乱は続いていた。
また、消失した大陸や、新たな大陸のおかげで、従来の気象モデルが役に立たず調整作業に時間を要した。
そんな中。
「ええい。目の前に新たなフロンティアが広がっているのに、到着できないというのはどういう事だ」
こんなセリフが聞こえるのは、そう、偉大なるアメリカ。
「監視衛星では、詳細に撮影もでき、いくつも町が確認できます。それに最近国境と思える所に、中国の万里の長城のような壁が突然できました。これは我が国でも不可能なため未知の技術を持った人類? が居住しているだろうと予測されています。又、陸続きになった日本からヘリが幾度か飛んでおり、接触を持ったようです」
「その、日本からの回答はどうなっている」
「現総理大臣。国森からの回答では、友好な関係を構築。日本は3国での共和国化へ移行する予定だそうです」
「3国? 共和国だと? ならあの土地すべてを手に入れたと言う事か?」
「どうやらそのようです」
「あそこには、入れなかったのじゃなかったのか?」
「こちらから、無人偵察機並びに船舶。潜水艦。すべてアタック失敗しました。同一ポイントで進行方向が反転します」
「もう一つの、森林大陸はどうなっておる?」
「日本から情報が来た、魔王の大陸ですね」
「そうだ。デマだと言う事も考え、いくつかのチームがアタックをしただろう」
「こちらは、近づくのも上陸も行えます。ただし、陸海空すべて数日でシグナルロストです。最後の無線は、どれも狂気にあふれていたと報告が来ています」
「狂気だと? 日本の言っていた、魔王の話が本当だと?」
「そうですね。衛星でとらえた町と思える所へ、空から行くと見えない壁にぶつかり近付けない。これは、もう一つの大陸にある壁とは違い進路の反転ではなく、完全なる壁です。試しにミサイルを撃ち込んでも平気なようです。ただしこの攻撃の後、反撃が来始めました。我々は敵国認定されたようです」
「なっばかな。敵国認定されたようです。じゃない。まずいだろう。反撃は無いのか」
「今の所、近寄らなければありません」
軍部に任せたのが間違いだった。
敵国認定。未知のシールドなど、我が国にもぜひ欲しい技術だ。
それを、足がかりを自ら潰すとは。
それにしても、日本め。いったい何を何をどうやって取り入ったのだ。
在日の駐留軍も、新大陸には入れないと言っていたし情報が欲しい。
その頃、アメリカの言う森林大陸。
魔王城。
「魔王メヒティルト。久しぶりだな」
「テスタこそ。こちらの状況を把握しているとの事。わらわに伝えてくれるとはどういう心積もりだ? おぬしらしくもない」
「ああその前に紹介しておこう。わが国の新魔王様。諏訪様だ」
「魔王。諏訪真司だよろしくな。ああとメヒティルトだったな」
挨拶に来るときに、皆から口を酸っぱくして言われた。
下手に出るな。敬称を付けるな。何ならいきなり威圧してぶん殴れと。
最初、テスタに対し行ったのは、間違いではなかったようだ。
現に、今もメヒティルトから威圧が降ってきている。
目の前に居るのはゴルゴン族。頭部が蛇のあいつだ。
目を見ると魅了される。
だが俺には効かない。
横に控えるのは、四天王。
アルヌルフ額に角が生えた女性。氷系統の魔法が得意。
ディートヘルム。こいつは剣士の男。風の剣を使う。鉄をもスッパリ切るらしい。
エーレンフリート。女性。空間系魔法使いで、こいつも有効範囲内の物を切断? するらしい。
ローレンス。男。得意技は不明。すべての理を曲げるらしい。見た目は優男できざな言動。女好きのようだ。
いい加減鬱陶しくなったので、威圧と殺気を返す。
前の様に、いきなりではなくじわじわと。
そして、笑顔でにこやかに。
決して、力いっぱいなど必死な様子ではなく、にこやかにあいさつ程度。
この程度楽勝だよねと言う感じでするのが、決まりらしい。
力が拮抗すれば同盟。でなければ、服従。
負けを認めれば、王座から降りてきて下るのが決まりのようだ。
その後俺が、王座に座り入れ替わる。
テスタの時は、そんな事を知らないから、皆動けなくしてしまったからな。
さて、そう言っている間に、メヒティルトは冷や汗をたらし、髪の毛の蛇たちがのたうっている。
分かりやすくて良いな。
四天王達はすでに膝をつき、後は魔王だけだが? あれ? 燃え尽きた状態になっている?
「おおい。メヒティルトがぶっ倒れたようだが、大丈夫か?」
威圧を解除して、四天王に言葉をかける。
よろよろと、立ち上がり、王座へ駆け寄る。
「メヒティルト様」
アルヌルフが声をかけるが、反応が無い。
「あー駄目だな」
ローレンスがそう言うと、いきなりメヒティルトの手を引っ張る。
王座から転落し、階段を転がり落ちて来る。
さっきまで、自分たちの魔王様だったのに、かわいそうなものだな。
「魔王諏訪様。こちらへどうぞ」
そう言って招かれる。
当然、四天王も俺の手勢の方が上の為、テスタも一緒に階段を上り、メヒティルトの四天王達は階段を下りる。
「さて、この国も私。諏訪が治める。反意あるものはかかって来いよ」
「「「「ございません」」」」
その言葉を貰って、魔王の交代が終了した。
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