桜の花びら

雨虹みかん

第1話

この話をみなさんに言っても信じてもらえないかもしれません。でも、これは私が小学6年生のときに起きた本当の話です。


それは、6年生も終わりに近づいてきた3月のこと。私たち6年生は体育館で卒業式の練習をしていた。その日もいつも通り合唱の練習をしていた。⋯ところが、急にめまいがして、気持ちが悪くなり、私はすわりこんでしまった。そのまま保健室に行き、少し休ませてもらった。具合は良くなり、教室にもどろうとした時、保健室の先生がぼそっとつぶやいた。

「やっぱり、あの桜のせいかしら⋯。」

「”桜のせい”ってどういうことですか⋯?」

私が聞くと、先生は、「すみれちゃんになら教えてあげる」と言い、先生は息をはいてから真険な顔で言った。「最近、卒業式の練習をしているときに、急にたおれる子が多いの。それに、すみれちゃんが5日前くりいに学校を休んだときにも、合唱のピアノの音が鳴らなくなったり、雨も降っていないのに雷が鳴ったり、大変だったのよ。⋯まあ、毎年起きることだけど⋯。いつも、ちょうど今ごろの時期に桜の木の周りの土が、青むらさき色に変わるから、桜のせいなんじゃないかって⋯。もちろん信じない先生もいるけど、2週間後、桜の木を切り落としてもらうことになったの。」

「え!?桜の木、切っちゃうんですか!?」

桜の木が呪われている(ウソかもしれないけど)んだとしても、6年間見てきた桜がなくなってしまうのはさびしい。「これからは、幸せな卒業式になるようにって卒業式の前日に切り落とすの。私は反対だけど⋯。」保健室の森川先生が少し悲しい表情をした。「すみれちゃん。ここで話したことは秘密ね。生徒に広まっちゃうと大さわぎになってしまうから。もう具合も良くなったようだから、そろそろもどりなさい。」そう言われたのでもどることにした。卒業式の練習はもう終わっていたので、教室に行くと、教室は大さわぎになっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る