第25話 弥生賞2041


若駒ステークスを完勝したフラッシュフォワードは再びクラシック候補として注目された。



2戦1勝のただのオープン馬だが、新馬戦で昨年の2歳王者とハナ差のレースをし、前走のオープンレースでも最後の1ハロンを再び9秒台の脚を繰り出したことから2強の評価をされていた。



その2強のもう1頭のサイレンススタートは弥生賞から始動予定。近年ステップレースを挟まないローテーションが主流の中この馬は昔の王道ローテでクラシックに挑む。



その弥生賞に同馬と同じ父親で昨年の入厩前にはサンデーコミックス最後の大物と呼ばれ、サイレンススタートよりもこちらの評価の方が高い時期もあった。


その馬の名前はセカンドインパクト。

新馬戦と1勝クラスを4馬身差、5馬身差で勝利し2戦2勝。


鞍上の鷹騎手がレース後にディープ以来馬が飛んだとコメントし注目されている。

弥生賞はサイレンススタートとセカンドインパクトの対決で注目されている。


【2041年弥生賞 3月1週 中山11R】

11頭立て

1番人気 サイレンススタート 4戦4勝 1.5倍

2番人気 セカンドインパクト 2戦2勝 2.8倍

3番人気 マイケルレトルト  5戦3勝 5.3倍

4番人気 アドマイヤジパング 3戦2勝 12.3倍

        ・

        ・

7番人気 ブレイブバード   3戦2勝 73.3倍



7番人気のブレイブバードを管理する加藤調教師は弥生賞に自信たっぷりだった。

レース前のインタビューでは世間では2強対決と言われているけどうちの馬の方が全然強い、申し訳ないけど馬なりで勝ちますよとコメント。



元々ビックマウスで有名な調教師だが、これだけ自信満々だと気味が悪く感じている者もいた。果たして加藤の発言はただのビックマウスなのか。



弥生賞ーーー



先頭は大方の予想通りサイレンススタートがハナを切る。

2番手には朝日杯でサイレンススタートの2着に入り、このレースで逆転を狙うマイケルレトルトが同馬をマークしながら追走。


2強食い宣言のブレイブバードは道中6番手。

セカンドインパクトは8番手でレースが進む。


スタートがあまり上手ではないセカンドインパクトは前からの競馬はできないが、レース中盤にまくり気味に上がっていき直線途中で先頭に立ちそのまま押し切る競馬をしてきた。


このレースでも鞍上の鷹はレース中盤にまくり気味に進出開始!


『おおおおお動いた!』


ブレイブバード調教師の加藤

「盛り上がってるけど、あの馬は致命的な弱点があるからね。前走ではキワミ君もごまかしながら乗ってたけど、今回はどうかな?あの馬より強い馬ならウチのも含めて何頭もいるよ」


「いいんですか?勝っちゃいますよ!」


自信満々の加藤調教師の管理するブレイブバードは以前番手を上げず6番手付近に位置にいる、そろそろ上がるのか?

しかしブレイブバードは上がって来れない。


加藤調教師「どうしたブレイブバード?!」


レースは最終コーナー。

先頭はサイレンススタート

祐翠が後ろをチラッと確認した。


2番手にはマイケルレトルト、セカンドインパクトは3番手まで上がってきた。

直線、セカンドインパクトがマイケルレトルトをパスしてサイレンススタートに近づく。まだサイレンススタートは追い出さない。


観戦中の風切と小和田と珍念。

小和田「まだ追い出さないのか?いつもなら早めにスパートかけてるだろ?」

直線中山の急坂の前でも以前馬なりのサイレンススタート。


セカンドインパクトに坂前に並ばれてしまう。

鷹「捕まえたぞ。大丈夫か?」


サイレンススタートが完全に捕まった。

並ばれた祐翠の表情はまさかの笑顔だった。


「ようやく来たね!ここから勝負だ!」


「まさかわざと追いつかせたのか?」


急坂の手前から2頭が同時に仕掛ける!

レース終盤にしてここからヨーイどんの展開!!


「舐めるなよ、逃げ馬が差し勝負して勝てるとでも思ったのか!」


セカンドインパクトが加速する!

坂道で失速することなくむしろ加速していった。

しかしサイレンススタートも全く並走していて抜かせない。


「何っ!」


「すみません、鷹さん!サイレンススタートに勝負根性をつける為に…次の皐月賞で風切の馬に勝つ為に利用させてもらいました。」


サイレンススタートは新馬戦からハナに立ってそのまま先頭でゴールしかしてこなかった為に他の馬と並んで走った経験が無かった。


その為、勝負根性をつけるレースができていなかったのでこのレースではあえて道中2番手以下の馬との差を広げすぎず、最後の直線でもセカンドインパクトとの末脚勝負を試した。


急坂が終わり末脚に若干の鈍りが出たセカンドインパクトと違いスピードが全く落ちないサイレンススタートは頭1つ分抜け出す。

一度優劣が下るとその差は一気に開く。


セカンドインパクトとの差を一瞬にして2馬身3馬身と広げてしまった。

そして加藤厩舎自慢のブレイブバードも自慢の末脚を披露する。

上がり6番目の末脚で直線他馬に抜かれも抜きもせず6着でゴールした。


ーー弥生賞終了ーー


1着にサイレンススタート。

最終的には2着のセカンドインパクトに4馬身の差をつけて完勝。

5戦5勝。堂々たる戦績でクラシック1冠目の皐月賞に駒を進めた。


【弥生賞レース結果】

1着 サイレンススタート レコード

2着 セカンドインパクト 4馬身

3着 アドマイヤジパング クビ

4着 マイケルレトルト  1馬身1/4

5着 ダイワキングコング 1/4


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