第15話 りんごの悲劇 パート➁
※性的表現があります。苦手な方はご注意下さい。また、15才以上の閲覧でお願いしますm(__)m
「えーい!」
パシャパシャ!
「うわっ!りんご、水かけたな?」
「きゃはは!お水冷た〜い!」
3人の兄弟が楽しそうに遊んでいる様子を時折見遣りながら俺は縁側で読書をしていた。
「浩史郎先輩はプール入らなくていいんですか?冷たくて気持ちいいですよー?」
りんごがこちらに呼びかけてきた。
「いーよ。ここ、風が通って十分涼しいし。皆濡れてたら、着替えさせる時大変だろ?」
「それはそうなんですが…。何か申し訳ないな…。」
「いいから、兄弟水入らずで楽しんでこいよ。俺は俺で楽しんでるから、気にするな。」
「そ、そうですか?では、お言葉に甘えて…。」
りんごは再び妹弟と水遊びを始めた。
りんごの水着はひまわり色のフリルのついたセパレートタイプで割に布地多めで、華奢な体つきの胸元に谷間と呼べそうなものはなかった。
年頃の娘の水着姿とは思えない程の安心感よ。
ま、白いお腹と臍がチラッと見えているのは悪くないがな。
「かっくん、スキありぃっ。」
「わぁっ!」
りんごが水鉄砲で柿人くんの背中を狙い撃ちした。
「くっそぉ!怪人め、これでも喰らえ!」
撃たれた柿人くんは仮面○イダーの絵が書かれた水鉄砲でりんごに一撃を食らわせようとしたが、りんごはヒラリと身をを躱した。
「へへーんだっ。当たらないよー?」
「もぉっ。りんごばっかずるいぞ?このやろぉー!!」
怒った柿人くんはそのままりんごに突進して行った。
「うわぁっ。かっくん、危ないって。ああっ!!」
「うおりゃああぁ!!」
「あっ。りんごちゃん!かっくん!」
ドバシャンと水しぶきをあげて、りんごは柿人くんに押し倒された。
柿人くんも倒れそうになりながら、りんごの水着をつかんで必死に踏ん張った。
「りんご、大丈…。!!!」
俺は驚いて声をかけようとしたが、次の瞬間目の前の光景に凍りついた。
「げほっ、もうかっくん危ないで…きゃあああっっ!!」
りんごは水の中から起き上がるも、柿人くんに水着を押し上げられて、両胸が露わになってしまっていた。
慌てて水着を直すと、りんごは柿人くんにゲンコツをくらわせた。
「こおらぁっ!このエロこぞう!二度としたら許さんぞぉ!!」
「うわぁーん。りんごが殴ったぁ!!」
「柿人、ホントデリカシーないんだからぁ。」
その一連の出来事を驚いて見ていた俺は、ハッとしたようにこちらを向いたりんごと目が合った。
「浩…史郎…先輩…。も、もしかして見た……?」
俺の背中を冷や汗が伝う。
激震が走っている心中を隠して、俺は爽やかな笑顔を浮かべた。
「ん?柿人くんにゲンコツを食らわせるところなら見たけど…?」
「えっと、その前、あの、私が転んで…、あの…水着がめくれて…。」
りんごが真っ赤になってしどろもどろで説明しようとする。
「ごめん。読書に集中してて気付かなかった。水の音がしたと思って見たら、柿人くんが殴られて泣いてたけど何かあったのか?」
「あ、うん。気が付かなかったなら、いいの。だ、だったらよかった。」
りんごはホッとしように言った。
その間、苺ちゃんに嗜められていたらしい柿人くんは素直にりんごに謝ってきた。
「グスッ。りんご、ごめんなさい…。」
「う、うん…。いいよ。お姉ちゃんも大人げなかった。ごめんね。また水鉄砲で怪人ごっこやろっか。」
「ん…。」
「りんごちゃん。柿人ばっかずるい。私にも水鉄砲かけてよー。」
「よし、ガハハハ!悪の怪人だ!いっぱいお水かけちゃるぞー!」
「きゃー!!」
「うわ、やったな!倍返しだ!!」
「倍返しだ!!」
「うわぁ!顔にかけるのなしぃ!もういーちゃんまで!双子だけに本当に倍返しだよ。うわはは!やめてーっ!!」
再び繰り広げられている兄弟の楽しい水遊びを見守りつつ、今だ戻らない激しい動悸に胸を抑えながら、俺は同居再開以来最大のピンチを切り抜けた事にホッとしていた。
しかし、先程見てしまった光景が目に焼き付いて離れない。
水しぶき。りんごの悲鳴。倒れる二人。
露わになる小ぶりの白い胸。その先端は小さな花の蕾のような桜色の…。
いや、ダメだ!忘れよう。せっかくうまく誤魔化せたというのに。
目の前の本に集中しよう。
※%&¥@*+"#…。
くそっ!全然集中できない…。
だいたい何でりんごの胸ごときでこんなに動揺してるんだ?
童貞じゃあるまいし、欲求不満か?
今まで遊んでもらったお姉さん達のたわわな胸を思い出せ!
リエさん、あやねさん、さくらさん…。
皆Dカップ以上の巨乳だった。
それからあの人も…。
封印していた初恋の人の苦くて痛いばかりの思い出まで引きずりだしてしまい、胸に深い痛みが走る。
悪魔のように綺麗で恐ろしい人だったな…。
思えば今まで関係してきた女達って体つきも雰囲気もどこかあの人に似ていたような…。
男慣れしていて、自信ありげで、気まぐれで。
気付いてしまうと、あの豊満なボディ達が、急に毒々しく見えてきた。
もう一度さっきの光景を思い返してみた。
それに比べてりんごの白い小さな胸のなんと崇高なことか!
うん。見入ってしまったのは、きっと清涼飲料水のような爽やかで清らかな裸体に心洗われる気がしたからで、決して邪な気持ちではないんだ。
うん。きっと、そう…。
「…ぱい、浩史郎先輩!」
ふと見ると、至近距離にりんごの顔があり、俺は死ぬ程びっくりした。
「うわぁっ!!何だよ!?」
縁側の床に、りんごの髪から水の雫がポタポタと滴り落ちてくる。
りんごは、濡れた体で縁側にいる俺の前に身を乗り出して、腰に手をあてて怒っていた。
「もー、さっきから5回も呼んでるのに…!かっくんといーちゃん上がりますから、そこのホースで足を洗ってやって、タオルで体を拭いてやって下さい。」
「あ、ああ…。分かった。」
動揺しつつ、さっき考えていた事の罪悪感でりんごの顔がまともに見れない。目を逸らしたら、濡れそぼった胸元を見てしまい、目を瞑った。
「じゃ、お願いしますね。」
りんごはそんな不審な俺の様子に頓着する事なく、足早にプールにいる兄弟の元に戻って声をかけた。
「じゃ、いーちゃん、かっくん、お兄さんとこで体拭いてもらってね。」
りんごは妹弟の水着を手早く脱がせて、裸ん坊にすると、マットのしかれているフローリングの床に座らせた。
俺はホースの水で二人の足の汚れを流してやり、順番にタオルで拭いてやった。
「じゃ、奥の部屋に着替えあるから、そこでお着替えしてね。」
「「はーい。」」
二人がパタパタと奥の部屋に駆けていく。
「りんごはいーのか?」
水遊びに使っていたおもちゃを拾い集めて、洗面器にまとめていたりんごは、こちらに笑顔を向けた。
「あ。うん。足だけお願いしまーす。」
妹弟と同じようにホースで足裏についた土の汚れを流してやりながら、まじまじとすらっと白い足の曲線や、小さな足の指、桜貝のような爪に見入ってしまった。
こいつ足の形は綺麗かもしれないな…。
「ふふっ。流石に私は二人みたいにここで脱いでくワケにはいかないですね。できたら楽だけど…。きゃっ!?」
一瞬手元が狂い、ホースの水がりんごの顔を直撃した。
「もう、浩史郎先輩、ひどいー!」
りんごは側に置いているバスタオルを掴むと、顔を拭きながら、文句を言った。
「す、すまん!」
「もう、気をつけて下さいね。ちょっと着替えてきますから、二人の事、お願いします。」
りんごはタオルを体に巻くと、風呂場に駆けて行った。
その後ろ姿を見送りながら、俺はため息をついた。
落ち着け、俺!さっきから動揺し過ぎだ。
*あとがき*
いつも読んで頂き、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます
m(_ _)m
今後ともどうかよろしくお願いします。
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