第22話

「事務の仕事はかどってますか」


「社長!お疲れ様です」


足助社長は、合間を縫って事務室へとやってきた。


「下津さんは、ここを訪ねてきてますか?」


「いや…」


「もう来ないと思う。皆さんも梅田さんのことは、もう忘れた方がいい。その方が、彼女も安心すると思うんです」


「…ですが…」


「傍聴した人から聞いたんですよ。会社の人には迷惑をかけて申し訳なかった、と。でも、私はこうすることしかできなかった」


…梅田さんは、そこまで過去にこだわっていたなんて。誰も知らない過去だ。


「それに、下津さんはもうモデルする気はないかもしれません」


「え」


「残念ですが。小暮くんと仲良かったときはやる気あったんじゃないかな?とは思いますが。今は自信ないとか言ってました」


「?」


どういうことかさっぱりわからない。カメラマンと仲良かったということだろうか。


「だから、ビクビクしないで、やりたいことやって下さいね。案があったら私までお願いします。皆さんには期待してるので」


社長はさっさと出て行った。

下津さんの話はよく知らないが、モデルの世界は複雑ということなのか?

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