下津由良

第20話

にこやかで、優しそうな人。社長の旦那さんだなんて…有太ゆうたの知り合いなんて本当?


「下津さん、写真集はもう出すつもりはないんですか?」


「…はい」


「理由はありますか?」


「自信が、ありません…」


「そうですか。わかりました」


あっさりしてる。


「あ、あの…梅田のこと…なにか聞いてませんか?えっと梅田と言うのは前いたメイクさんで。急に辞めて…あ、それで、今事務の仕事をしてる人たちはほとんど梅田の会社の人なんです!でも皆さん知らないって」


「申し訳ありません。私はまだ社長になりたてでして」


「そうですよね…すみません」


つい、なんか話してしまった。


「何か心配なんですか?」


「いなくなって…連絡も取れなくて…」


「今まで連絡を取り合うくらい仲がよかったんでしょうか?」


…それは…違う。モデル事務所に梅田が入ったから、久しぶりに会った。


「…私と会いたくないのかも…」


「そっとしておいたらどうですか?」


「そう、ですね…すみません」


「下津さん、体調が悪いですか?仕事を続けるのが辛いですか?」


「いえ、大丈夫です。すみません、私勝手に色々考えてしまって。でも、ちょっと安心しました」


「それはよかったです。では、次はクレアさんをお呼び下さい」

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