第26話 城ヶ崎の付き人

目の前の黒髪イケメンこと、城ヶ崎奏弥は自分は城ヶ崎グループの御曹司だと言った。


 城ヶ崎グループといえば日本五大グループの一つで世界的にホテルビジネスを展開しているホテル業界のトップだ。


(同じ学校にポンポンいて良い存在じゃないのに……私も合わせて三人とか多すぎる。)


 そんなことを思っていると、後から遅れて一人の少女が入ってきた。


「秦弥様!!」


 綺麗な白金色の長い髪に、琥珀色の瞳を持ち、しかもスタイルも良い。エリナと並ぶ美貌の美少女だった。

 

 少女は秦弥の姿を見つけるとに急いで近づいた。


「奏弥様、お怪我はありませんか?」


「ああ、俺はな。 鳳条の娘よお前も大丈夫か?」


「う、うん……大丈夫。 ところでその人は?」


「こいつは俺の付き人の椎名優里だ。 ほらお前からも自己紹介してやれ」

 

 そう言われ、優里は優菜にお辞儀をし、自己紹介をした。


「ご紹介にありました通り、私は城ヶ崎秦弥様の付き人をさせていただいております椎名優里と申します。」


「私は鳳条優菜、よろしくね、でこっちは」


「優菜様の付き人の七瀬エリナです。」


「鳳条グループの御息女の鳳条優菜様にその付き人で有らせられる付き人の七瀬エリナ様ですね、わかりました。私なんかでよろしければよろしくお願いいたします。」


 そういうと優里は丁寧に深いお辞儀をした。


 律儀だなぁと感心していると、秦弥が優里の頭をぽんと軽く叩いた。


「おい優里、堅いぞ。 もっとラフでいい。」


「わ、わかりました。」


「おう、お前ももっと友達を作るべきだ。頑張るように。」


 そう言い秦弥は優里の頭を優しく撫でた。


 撫でられている優里は頬を赤らめ、嬉しそうに微笑んでいた。


 そんなカップルのような二人の様子を眺めていると、再び、二人の男女が会議室に入ってきた。


「すまない、少々遅れた。 ちょっと仕事が多くてね。」


 入ってきた男性が申し訳なさそうに言った。


「会長が役員取らないからですよ。」


 それに女性の方が突っ込む。


「だって、天慶学院の生徒会として生半可な生徒を入れるわけにはいかないだろう?」


「まぁそうですが……それより会長、どうやら何か問題があったようですよ。」


「え? 本当だ」


 会長と呼ばれていた男性は辺りを見渡すと、納得したように「ふむ」と呟いた。


「なるほど、クラスの代表者にとんだ愚者が紛れ込んでいたようだね。 私の出る幕もなく解決したようだが……。」


 そんなことを言いながら会長と呼ばれた男は少し笑っていた。


「ねぇ エリナ。 あの人達って誰?」

 

 優菜も大方予想がついていたが念のためエリナに聞く。


「あの人たちは天慶学院生徒会の生徒会長、天ヶ瀬優と副会長の橘麻耶です。」


「やっぱり生徒会の人達なんだ……」


 そんなことを思っていると、天ヶ瀬会長声が響いた。


「色々あったようだがこれより予定通り会議を開始する。皆席につけ。」

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