第4話 素敵な先輩のひみつ
「やあ医クラちゃん、CBTの勉強は
「こんにちはバリバリ先輩。先輩の学年の資料のおかげでCBTの勉強の時間が取れて助かってますよ」
ある日の昼休み、医クラちゃんが図書館前の廊下を歩いていると医学部医学科5年生のバリバリ先輩が話しかけてきました。
バリバリ先輩は旧帝国大学の工学部を卒業後すぐにこの大学に再入学したため同じ学年内でも年齢は高めで、入学時からゴルフ部のエースとして活躍しています。医学部において訳もなく憎まれている部活ランキングで上位に入るゴルフ部ですがバリバリ先輩は5年生のまとめ役として普段から頑張っており、後輩のためにと定期試験の問題再現にも積極的なので医クラちゃんはこの先輩のことは割と尊敬していました。
「実は今度合同会議っていうイベントがあって、そこで僕たち学生の授業や試験に対する要望をまとめて先生方に伝えるんだ。質疑応答の結果次第では教育内容の改善にもつながるから、よかったら今度医クラちゃんの意見も聞かせてくれないかな?」
「へえー、そんなイベントがあるんですね。分かりました、私だけでなく友達からも意見集めてみますね」
「ありがとう! 来週木曜の昼休みにちょうどそこのフリースペースで打ち合わせをするから、もし空いてたらその時に来てくれるといいよ」
バリバリ先輩は学生でありながら教員との意見交換会にも参加して学生側の意見を伝えていると聞き、医クラちゃんは早速数少ない友達から意見を集めることにしました。
「えっとねー、私は授業を早く切り上げるのをやめて欲しいかな。せっかく1コマ45分間も授業時間があるのに、20分とか30分で終わったら時間がもったいないでしょう?」
「うんうん、キラキラちゃんの意見はよく分かったからバリバリ先輩に伝えとくねー」
「ん、医クラとキラキラ、さっきバリバリ先輩とか言ったか?」
例によって意識が高いキラキラちゃんの意見は握りつぶそうと考えつつ医クラちゃんが講義室で意見を集めていると、運動部員の悪口を言うのが大好きな帰宅部員のルサンチくんが話しかけてきました。
「言ったけど、バリバリ先輩がどうかしたの?」
「ああー、詳しくは言わんけどな、これ……」
ルサンチくんは不気味な笑みを浮かべつつそう言うと、医クラちゃんとキラキラちゃんにスマホの画面を見せてきました。
彼がこういう表情をしているのは大抵ろくでもない話題の時ですが、ライン画面のスクリーンショットらしいその画面には「医学部医学科5年生学年ライン」と書かれていて……
バリバリ
>みよた~ん、今日はゴルフ部の練習で遅くなっちった、ゴメン!
>ボクちゃんみよたんのお料理大好きだから、今日はタクシー使って帰っちゃうもんね!
>みよたんはボクのスウィートハニーだょ!ナンチャッテ~
>みよたんみよたんみよたんみよたんみよたんみよたんみよたん~~
バリバリ
>↑今のは送信ミスです。忘れてください
ケンジ
>草
太田
>保存しますた
「やあ医クラちゃん、皆から意見集めてくれたんだね。早速各学年の意見をまとめてみようかな」
「みよtぶふぁふぁふぁっ!! すみません何でもないです」
翌週の木曜日、医クラちゃんは案の定バリバリ先輩の顔を見た瞬間に吹き出してしまったのでした。
(つづく)
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