第2話 医クラちゃんとタローくん
「タローくん、精神科のプリントなくしたからコピーさせてよ」
「この前のレジュメかい? もちろん、医クラちゃん相手なら全然いいんだな」
医クラちゃんは定期試験にそのまま出ると噂の精神科のプリントをなくしてしまったので、3つ後ろの席にいるタローくんにコピーを要求していました。タローくんは九州の私立男子校を卒業して四浪の上でこの医大に来たので、顔面偏差値が52ぐらいの医クラちゃん相手でも女子に話しかけられると喜びます。
「美術部の先輩から聞いたんだけど、精神科の試験ではこのプリントから記述式問題が出るらしいんだな。特に穴埋めになってる部分は大体出るらしいから丸暗記した方がいいんだな」
「ありがとうタローくん。今度バレンタインデーにチ○ルチョコあげるね」
「本当!? 嬉しいんだな、またなくしたプリントがあれば言って欲しいんだな」
タローくんはバレンタインデーにチョコを貰ったことも以下略なのでチ○ルチョコをあげても大変喜びます。ここであえてチ○ルチョコと予告しておくのも医クラちゃんの戦法なのでした。
医クラちゃんはタローくんにコピーさせて貰ったプリントの内容を丸暗記し、精神科の定期試験に臨みました。
>言語の理解が良好で発話も流暢だが、復唱が不良な状態を( 伝道 )失語という。
>パーキンソニズムと幻視を訴え、認知機能の低下を認める患者は( Levy小体 )型認知症の可能性が高い。
「医クラちゃん、精神科再試かかったみたいで心配なんだな。他のプリントもコピーさせてあげるんだな」
「てめえの板書のせいだコノヤロー!!」
人から貰ったプリントの板書はそのまま信用しない方が身のためです。
(つづく)
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