第4話だって
譲くんは多摩川の土手に寝転がって青空を見上げていました。
仕事先の非常勤の藤井夢乃さんのことを思い浮かべる。
夢乃さんは目立たないけど、魅力的で、年の頃20代半ばくらいでしょうか?
ビートルズの4人は譲くんの側で微笑みながら、静観しています。
ジョンくらいはアドバイスしてくれるかと思いました。
でも4人とも何も言わない。
純情一徹の譲くんは夢乃さんになんらアプローチ出来ません。
仕事を定時に上がり、中央図書館へ向かいました。
今日はボランティアの仕事はなく、本を見に来ました。
「恋、成就するには?」「あの人が気になる」「恋愛客観論」と様々な恋愛指南書をひもといていたのですが、満足な答えは見つかりませんでした。
譲くんは夢乃さんに恋してしまったようです。
大学通りを歩きながら”エリナーリグビー”をハミングしていました。
書店の地下に行きました。哲学関係の本に”恋は一日にして成らず”という一説が載っています。
1Fに上がり少し砕けた「恋愛ぐ~たら日記」という本を手にしました。”
まずは好きな人と話ができるようになること”読み進めていくと”メルアド交換までの道のり”と書かれていて、なるほどと思いました。
仕事場での夢乃さんは元気で溌剌としていて、自分以外にも夢乃さんに想いを抱いている人はいるだろうなと感じさせる。
譲くんの勘は当たっていて、夢乃さんには決まった彼氏が存在していた。
退社する時たまたま夢乃さんと一緒になり、入口には車が止まってる。
夢乃さんは「待った?」と聞き、彼は「5分くらい」といい夢乃さんは助手席に乗り込み……遠ざかっていく車を目で追いながら、譲くんの目からは涙がこぼれた。
夢乃さんが素敵だから僕は泣けてくる。
夢乃さんが遠ざかるから僕は泣けてくる。
また多摩川の土手に寝っ転がり、譲くんはまったりしていました。
ジョンもポールもジョージもリンゴも今回は語ろうとしません。
失恋と呼べるものかわからないけど、また好きな人が通り過ぎていった。
悲しい気持ちになり、また涙が出そうになりましたが、こらえました。
どんなに悲しくても、切なくても、やるせなくても明日はやってくる。
2023(R5)1/17(火)
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