幕間 休日の過ごし方

 穂乃香の誕生日からいくらか時が流れる。

 やってきたことは、依頼を受けてモンスターを狩る、魔力資源の調達、訓練、休養、など。

 怪我もトラブルもなく順調な日々――

 ありがたいことだ。こんな日々が続けばいい。


 休日の過ごし方。パート1 朝寝!!

 

 俺は、休みの日は外に出て『いやっっほ~う!! 人生最高!! テンション爆上げっ!!』ってなるパリピではない。

 休日は家でのんび~り過ごすのがほとんど。凝った料理作ってみたり、お茶でも飲みながら将棋の勉強したりとか、そんな感じ。穂乃香が来てからは何となく外に行く機会を増やすようにはしているが──

 やはり、基本的には家で「だっら~ん」が至高である! お家最高!!

 でもでも! やっぱり、穂乃香ちゃんに幻滅されないかは心配なのあたちっ!


 ……どうしよう『こんなナメクジ野郎のクランなんかにいられません! 私は別のクランに移らせてもらいまっす!!』なんて言われちゃったら……。

 たぶんオイラ立ち直れないんじゃないかしら? そのまま本当にナメクジになっちゃうんじゃないかしら?? そんなのいや~! すてないで~ほのか~

 

 日差しが入り、ポカポカ気持ちがいいリビング。

「おふとぅ~ん」でくつろぎながら、そんな益体やくたいもないことに思考を巡らせる。

 実に有益な休日の過ごし方である。全く無駄がない!!

*誕生日の夜に使った、「おふとぅ~ん」があまりにも気持ち良かったため、リビングに引っ張り出してきた。


 アオもポンタも主人オレと同じようにナメクジ化している。憂い奴らよ。

「ぽかぽかきもちぃ~。すやぁ~」

「ヴぉふ~。すぴ~~」

 唯一、ナメクジと化していない穂乃香は洗濯をしてくれている……。

 う~ん、穂乃香を働かせて何もしていないオイラ。

 ……。やべぇ。こりゃあクズだね。ガハハハハ!!

 全く笑いごとじゃねぇんだが、「おふとぅ~ん」のせいで動けん!! 何だこれ!! 気持ち良すぎんだろ!!

*一応手伝おうとしたが、やんわり断られた。


「お洗濯おわりましたよ~。今日は天気が良くていいですね~。直ぐに乾いちゃいそうです♪」

 あぁ、エプロン姿でほわほわした感じの家庭的な女神様ほのかじゃ。なんと神々しい……。ありがたや~。

「お疲れ様~。ありがとうほのか~。本当に助かるよ~」

 間延びした声で彼女を労う。

「?あらあら。みんなで気持ちよさそうですね~」

 穂乃香様にナメクジと化したオイラ達を発見されてしまう。

 いや! こんなオイラ達を見ないでっ!! 恥ずかしい!!

「むふふ~私も仲間に入れてもらおうかな~♪」

 彼女がエプロンを畳みながら微笑む。


「おろ?」

 みんなナメクジになって──いや、穂乃香にナメクジ使いたくないな。別の表現にしよう。(益体のないことに思考を巡らせる馬鹿)


「え~い! ごろ~ん♪」

 可愛らしい掛け声と共に彼女が飛び込んでくる。

「はぁ~ポカポカしてるし、お布団ふかふかで気持ちい~。本当にすぐに眠っちゃそうですね~」

 ホントにねぇ~。……すぴ~。

「「「「Zzzz~ Zzzz~」」」」


 みんなで仲良く朝寝しました!!




 休日の過ごし方。パート2 耳かき!!

「漣さ~ん♪ じっとしててくださいね~」

「あい。じっとしてます。うごかないでしゅ」

 穂乃香に膝枕してもらって、また耳かきしてもらってます!

 やったぁ♪ 耳かき大好き~。わ~い♪

「今日は、綿棒にオイルを塗ったものを使って掃除していきます♪ いきますよ~」

 ごそごそごそ


「~~~~~~♪」(歓喜)

 きちゃ~! きんもちぃっ!!

 ごりごりごり

「あへ~~~」(あっぱらぱ~)

「漣さんは耳掃除、本当にお好きですね~」

「はい~好きなんです……。すんごくきもちいですぅ~。あへ~」

 至福、至高、最高yeah♪

「クスッ 漣さんたら今、すごくいい顔されてますよ~」(囁き)

「はへ~。お恥ずかしいです~」

「~♪」


「はい! 右は終了! 次は反対の耳ですよ」

 『とんとんとん』と、彼女が軽く体を叩いて教えてくれる。ちょい意識飛んでたな……。やべっ! 涎――大丈夫だったわ……。あせった。

 まったく気持ち良すぎんだよな~。ったく、ホントによぉ~。

 はぁ~。ゴロン♪

「よろしくお願いします」(キリッ)

「はい、お任せください♪ いきますよ~」

 ごそごそごそ────

 あへ~~



 あれっ??動きが止まった? まだそんなに時間は立ってないけど……。

 もう 終わり? 

「ねぇ漣さん」

 いつもと少し違うねっとりとした穂乃香の声。

「耳掃除、気持ちいいですかぁ?」

「は、はい……。すっごく気持ちいいです」

 なんだか言い知れぬ圧を感じる。気のせいだろうか? 

 なんとなくおどおどしてしまう……。

「そうですかぁ~よかったです♪ でも……わたし、ちょっと疲れちゃったかもです。ここでやめてもいい? 漣さん」


????!!!!


 そんな、そんな……いやだぁ~~やめちゃいや~~~~やめないで~!!

 こんないいところで辞めるなんて……、なんて惨い仕打ちをっ!

 やだやだやだぁ!!

 ……でもさすがに、こんな無様な心境を言葉にすることはできないので──

「あ、あぁ……。穂乃香が疲れちゃったんなら仕方ないなっ。ありがとう。名残惜しいけど──」(震え声)

 精一杯とりつくろ――

「ねぇ漣さん? 本当にやめていいんですか?」

 彼女が俺に最後まで言わせずに言葉をつむぐ。甘く、誘惑するように……。

「ちゃ~んと本当のこと言って、お願いできたら──」

「続き、やってあげますよ♪」(耳元囁き)


 俺は落ちた。快楽かいらくくっした……。

 耳掃除という悦楽えつらくを前に……、矜持きょうじを! 捨てたっ!!

 俺は──敗者だ。ただの浅ましい豚だ……。済まない父さん母さん――


「やめないでくだしゃい! 続きやってほしいですぅ。お願いですぅ」(必死な豚)

「~~!! よくできました♪ いい子ですね~。ご褒美にぃ──」

「続きやってあげますね♪」

「!!くぅーん♪」


 俺は……負け犬で、豚野郎だ……。

 でも、すっごい気持ちよかった。えへへ。




*後書き

 読んでくださりありがとうございます。

「この負け犬に応援、☆、をよろしくお願いします!」*負け犬兼、豚野郎

「コメントも気軽にお願いしますね♪」*小悪魔

 大変励みになります。


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