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「
「……ふほーしんにゅー」
シューズストラップにポンポンマムの付いた、
幸子の真鍮のベッドには、ジュンが選んだブックランプが取り付けられていたし、真っ白なシーツの上には、アタシがあげた猫の物語に栞が挟まっていた。
花柄のワンピースからよく知ってるベージュのパーカーに着替えて、
6畳の方のダンスフロアのミラーには、
上手く、言える気がしなかったけど、失いたくなかった。
……失う……?
初めから、手に入れてもいなかったのかもしれないけれど。
それでも、ベッドフレームに移されたペーパーフラワーに背中を押されて、アタシは言葉を紡ぎ出した。
「だ……大丈夫なの……?」
「……本、どう?面白いよね」
こんなことが言いたいわけじゃなくて。
「今日、ホラ、東京湾の例の真珠を見つけて来たんだ。近くでみたら綺麗、だったよ」
違くて……!……喉がつかえるみたいに、言葉が出ない。
「えっと……」
……
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