薄明のハイドロレイダー

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「綺麗……」

　テレビ画面に、真っ赤なサルビアが山一面に咲き乱れている。

　燃えるようなサルビアは、夏の最後の炎みたいだ。

「湯布院か……行ってみたいな」

「サブローさん、僕たちも行きますか？」

　太陽が落ちて、真っ赤なサルビアを更に赤くし、消えない炎が画面一杯に広がっている。

「いや、大丈夫だろう」

　エレクトーンのストリングスのイントロ

「宇宙みたい」

　コランダムレイダーが画面に現れる。

　パイプオルガンの旋律の中にhappilarmcessの声が重なる。

「綺麗……」

　エレクトロビートに涙が誘われる。

「どうしてこんなに違うんだろ……」

　スカーレットブレイズにサルビア（ディストレス）が灼かれていく。

「違くないよ」

　シュウジが、画面を真剣に見つめている。

　この映像はMVとして、HyLA（ハイラ）の広報に使われるのだそうだ。こんな規模のこと、アタシには出来ない。

　赤いレイダーが跳躍して、炎が心を熱くする。

　ひときわ巨大な、欲望（サルビア）。

　スピーカーの幸子（さちこ）の声と、エレクトロビートの上のhappilarmcessの声がリンクする。

「明日、ドキドキするために！」

　水素針（すいそしん）に光が集まる

「あの日を思い出すために！！」

　七色の光が……

「忘れない……」

　花びらになる——！！！

　果てしないプリズムに呼吸が止まった——